「代替肉=マズい」は、時代遅れ。
ここ数年、健康志向や環境配慮の観点から「ミートフリー(肉を食べない習慣)」という考え方が浸透してきています。これらの食べ物は大きくくくると、「プラントベースフード(植物性原料から作られる食品)」と呼ばれますが、その代表として目立つのが「大豆ミート」。
正直「マズい」と思っていた大豆ミート。でも…
実は、以前からビーガンやマクロビオティックの世界では身近に存在していましたが、その味に疑問を抱く人は少なくありません(正直私もその一人でした)。ところがです……。
3月17日から販売されているイオンの「トップバリュ 大豆からつくったハンバーグ」を食べて、そのイメージが大きく覆ってしまいました。声を上げてしまうほど、めちゃくちゃおいしかったのです。
そこで今回は、イオンの大豆ハンバーグにクローズアップ。おいしさの秘密をイオンリテール広報部に聞いてみました。
ジューシーで濃厚味。なのに、軽やかでもたれない
購入したのは2種。東京・千葉・神奈川・埼玉の「イオン」「イオンスタイル」「まいばすけっと」などの49店限定で発売されています。シンプルなハンバーグと、中に豆乳クリームが入ったタイプで、いずれも100グラムのハンバーグが2個入って321円(税込)という価格です。早速、パッケージの記載通りにフライパンに油をひいて焼いてみました。
焼き上がったハンバーグは、お好みのソースをかけて食べることが推奨されています。今回は、プレーンをデミグラスソース、豆乳クリーム入りをてりやきソースと合わせて食べてみることに。
牛ハンバーグとは別次元でウマい!秘密は「発芽大豆」
一口食べてみたところ、文句なくおいしくて驚いてしまいました。従来の大豆ミートで感じた“独特の大豆臭さ”や“ボソボソ感”はまったくありません。
牛や豚のハンバーグとは大きく異なりますが、大豆ゆえの軽やかさがかえって新たな味わいに。「大豆ミートはマズい」を払拭できたカギをイオンに質問してみると……。
「マズイ=お肉感がないということの裏返しと考えています。よりジューシーさや食感を出すための原材料や組み合わせなど、すべてにこだわりをもって開発しています。具体的には“発芽大豆”を原料に加えることで、肉らしいジューシーな味わいと食べ応えのある食感を出すことに成功しました」(イオンリテール広報担当者、以下同じ)
なるほど、「発芽大豆」でしたか。この答えを参考にすれば、おいしい大豆ミート商品を選ぶ一つの指標になりそうです。
冷めても脂が固まらない。これぞ植物性の強み
もう一つ感動したのは、冷めても食感や風味が劣化せずにおいしいということ。また、食べた後の脂っこさや胃もたれ感がありません。このハンバーグの活用法についても聞いてみました。
「お皿に盛ってそのままはもちろん、パンにはさんでハンバーガーや、どんぶりに乗せてロコモコ丼など、お肉のハンバーグと同じように使っていただけたらと思います。チルド・冷凍のハンバーグも発売しているので、シーンや用途に応じて使い分けていただきたいです」
確かに肉にありがちなしつこさがまったくないので、朝ごはん時にも無理なく食べられて、たんぱく質が摂取できます。これは豆と肉のいいとこ取りからくる強みでしょう。私の場合、朝はサンドイッチやハンバーガーの具材として、昼はお弁当のメインおかずとして積極的に使っています。
レトルトタイプがあることを知り、料理をしたくない日に使ってみようと思いました。おなじ大豆ハンバーグでもチルド、レトルト、冷凍の3タイプがあると選択肢が広がりますね。
「ヘルシーフードは高い」は昔の話に?
そしてもう一つ、秀逸なのが「価格」。
「お肉のハンバーグと比較しても同等の値ごろ感であり、お客さまが手に取っていただきやすい価格にしています」
これまで、「ヘルシーフードは高い」「ダイエットフードはお金がかかる」という印象がつきまといがちでしたが、この定説が崩れつつあるのかも。コロナ禍の“長時間自宅生活”で強まる健康意識に優しく応えてくれる価格と言っても過言ではありません。
イオンのほか、他スーパーでも大豆を使ったミートフリーな商品は増えていますから、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ> スギアカツキ 食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12