菅田将暉と野田洋次郎のコラボは…

 さて、もうひとつ新作映画でコラボが話題になっています。8月6日公開の『キネマの神様』。この主題歌「うたかた歌」を、RADWIMPSと菅田将暉が歌うことが決まり、4月30日に一部動画で公開されました。  1分あまりのトレーラー映像で、泣きまくる出演陣。そのうしろで流れる「うたかた歌」、これがまた“いい”曲なのです。「ならず者」(イーグルス)を彷彿とさせる曲調に、いつも通りにまっすぐ熱い菅田将暉の歌。『君の名は。』、『天気の子』でヒットを飛ばした野田洋次郎にとって、新たな代表曲となるでしょう。

たった数十秒ほどですが、「うたかた歌」が商品として高いクオリティを持つことに疑いの余地はありません。エンドロールで曲が流れれば、みんな涙すること請け合いです。

“想定の範囲内”なのがもったいない

 しかし、この“よすぎる”曲からは、新たなワクワク感が漂ってこない。なぜかというと、これまでに菅田将暉は“いい”曲ばかりを歌いすぎてきたからです。米津玄師との「灰色と青」、あいみょんとの「キスだけで」、石崎ひゅーいの「さよならエレジー」に「虹」。どれもJポップの王道で、おおまかに言えばフォークロックの名曲です。「うたかた歌」も、その系譜に連なると言えるでしょう。

 だとすれば、RADWIMPSと菅田将暉のコラボに、どれだけのレア感が生まれるでしょうか? 相手が変わっただけで、ずっと同じことを繰り返しているだけなのではないだろうか。

つまり、菅田将暉の音楽活動全般が想定の範囲内で収まってしまっているのですね。あいみょん、Creepy Nuts、石崎ひゅーい、米津、野田。みんな、優れているのです。それは間違いない。  けれども、悲しいかな、だいたい同じ角度と太さのベクトルの人たちが集まってしまっている。意外性がないから、突き抜けるものがないのですね。  これは、菅田将暉という稀代のキャラクターにとって、あまりにももったいないことではないでしょうか。いつか、等身大の表現から離れて、誰も思いつかないような人の曲を歌ってほしいと期待してしまいます。

 「想いはらはらと」と「うたかた歌」。コラボ全盛の時代に、論点を与えてくれる2曲でした。

<文/音楽批評・石黒隆之> 石黒隆之 音楽批評。カラオケの十八番は『誰より好きなのに』(古内東子)

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