緊急事態宣言の発令により、公開延期になってしまった映画『ヒノマルソウル ~舞台裏の英雄たち~』。一足先に、MISIAの歌う主題歌「想いはらはらと」が4月28日に配信リリースされました。「ゲスの極み乙女」の川谷絵音との異色コラボが話題の一曲ですが、想像以上に好相性の化学反応が楽しい仕上がりになっています。

MISIAとゲス極・川谷絵音の異色コラボが、ハッとする“抜け感”だった
(画像=『女子SPA!』より引用)

いつものMISIAと違う軽さ

 「Everything」や「逢いたくていま」などバラードの名手とのイメージが根強いMISIAは、昨年の紅白歌合戦でも大トリを務め、名実ともに日本の歌姫的存在です。しかし、「想いはらはら」では、格式張った雰囲気から一変。洒脱(しゃだつ)な新境地に、ハッとさせられました。

というわけで、作曲をした川谷絵音の働きに触れないわけにはいきません。MISIA本来の歌い上げる魅力を保ちつつ、歯切れ良さをプラスしたバランス感覚は絶妙。バイオリンのように伸びる歌声だけでなく、パーカッションやギターのカッティングのように細かくリズムを刻むボーカルは、より親密さを増したように感じます。

川谷の曲で“抜け感”が

「Everything」も「逢いたくていま」も、美しいハーモニーを持つスケールの大きな曲です。しかし、そこに圧倒的なMISIAの歌が加わると、息苦しさを覚えることもありました。すべてがカチッとハマりすぎていて、逃げ場がないのですね。完璧にドレスアップした人が、他人を遠ざけてしまうような感覚といえばいいでしょうか。

 そこに、川谷絵音は風穴を開けました。MISIAの歌と音楽に、着崩す余裕をプラスしてみせたわけです。感傷に偏れば重くなるところを、クリスプなリズムを持つ歌詞で中和する。“抜け”を作るのが、実に上手なのですね。  「想いはらはらと」は、「トレンディガール」(私立恵比寿中学)に続いて、川谷絵音の確かな手腕を証明する一曲だと言えるでしょう。  なにより、お腹いっぱいに感動させないMISIAが新鮮。意外なコラボだからこそ生まれた、嬉しい驚きでした。