既存の事業内容もSDGs視点で見直すことで新たな発見がある

【座談会企画 前編】小学校の教科書にも載っている“SDGs”。自分ごとにするヒントとは?
(画像=左/斎藤 明日香さん 右/永見薫、『LAXIC』より引用)

矢澤:齋藤さんはそれほどSDGsには詳しくないとのことでしたが、ここまでの話を聞いていかがですか?

齋藤明日香さん(以下、敬称略。齋藤):社内でのSDGsの推進って難しいですよね。「最近話題だからやるんでしょ?」と思われそうですし。みんなが納得できるように、会社としてどう推進したらいいのかなとちょうど試行錯誤していたところでした。今のお話を聞いて、自分の会社でもできることがありそうだな、と思いました。弊社ではECナビというサイトを運営していまして、そこで貯まるポイントは募金できるのですが、この仕組みなんかはSDGsのテーマに絡めるとより具体的な発信ができそうだと思いました。

矢澤:永見さんは会社の事業にSDGsが絡むことで、変化がありましたか?

永見薫(以下、永見):私が勤務しているのは、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの事業会社です。東日本大震災の原発事故を契機として、環境を守りたいという信念で創業しました。まもなく10年になるので、SDGsが話題になる以前から会社として取り組んできた領域だけに、「ようやく追い風が吹いてきた」と感じています。

矢澤:まさに再生可能エネルギーは注目されているテーマの一つですよね。

永見:SDGsという共通言語が広がってきたことで。取引先の方や発電所のある地域の方はもちろん、社員の家族や友だちに対しても、「私たちのやっていることってSDGsにつながっていることなんです!」と伝えやすくなりました。事業の面では、金融機関からの資金調達もしやすくなりましたし、総じてより身近に理解をしてもらえるようになったと感じています。

矢澤:なるほど、SDGsって考え方を緩めると、身近に感じられるものなのかもしれないですね。

佐々木:SDGs協会には企業の方から質問もいただいていまして、たとえば、「CSRとSDGsってどう違う?」という質問はよくありますね。この2つは全然違うのですが(苦笑)、ちゃんと理解していないと、SDGsウォッシュ(※)の人が増えてしまうのではと心配になります。

矢澤:CSRは得た利益を使って社会貢献をすることで、ボランティアに似ていますよね。一方、SDGsは企業活動そのものが社会利益を生みながら、よい影響も生み出すものと理解していますが…日下部さん、合ってますか?

日下部:はい、その通りです。今までは、営利活動とボランティアや社会貢献ってリンクしないと思われていたんですが、今は社会の概念が変わっていて。社会によいことをすればするほど、事業も発展し企業も成長していく。両輪で回るイメージです。

小山:どんな例があるのでしょうか。

日下部:たとえば消費財メーカーさんで、「サスティナブルブランド」を作っていますが、これってどこの素材を使っているか、どういう行程で作っているかなどしっかり分かり、誰にも負担がかからないサイクルで物を作っているんですよね。そうした商品が消費者の共感を呼んでいて、通常の商品より売上が伸びているんです。

矢澤:消費者も「自分も社会に対して良いことをしたい」って意識が向いてるからサスティナブルな商品を選ぶし、需要と供給のよい流れが生まれるんでしょうね。

日下部:企業も「悪いことをやっている企業とはお取引しません」という流れになっています。サスティナブルな事業作りは、やるメリットもあるし、やらないことはもはやリスクなんですね。

小山:CSRって特に大企業で取り組まれることが多くて、どうしても限定的でしたよね。でも、SDGsは企業の規模や仕事などに関係なく、暮らしの中でみんなが推進できるテーマなんだろうなと感じます。

(※)SDGsウォッシュ(SDGsウォッシング)とは、国連が定める17の持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいるように見えて、実態が伴っていないビジネスのことを揶揄する言葉のこと

座談会が始まるまでは17の目標があり、さらに169の基準があると聞くと、なんだか壮大すぎてどこから理解すればいいのかなと思っていました。こうしてお話を聞いてみると、17の目標はあくまで「枠」の話、実際に日常生活の仕事や暮らしなどの身近なことに、もっともっと結びつけられそうなんだなと感じました。本当はそんなに難しくないんですよね。後半は暮らしの実例に落とし込み、ママたちが子育てに絡めるためのアイデアを出し合っていきます。どうぞお楽しみください!

提供・LAXIC

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