バブルが崩壊するたびに見直されるグレアム

グレアムの投資原則が話題になるのは、決まって成長株のバブルがはじけた時である。米国では、1968年にIBMを代表とする「エレクトロニクスバブル」が崩壊した。2000年にはAOLやネットスケープを代表とする「インターネットバブル」が崩壊した。バブルが崩壊するたびに、グレアムの投資原則が再注目される。

短期的に成長株投資のヒーロー的なファンドが生まれたとしても、長期で生き残るファンドはバリュー投資のファンドが多いのである。日本でも今はマザーズ市場などの成長株に目が向いているかもしれないが、過去のバブル崩壊の教訓とグレアムの投資原則を胸に刻んでおきたい。

色褪せない投資バイブルの中から「6つの言葉」をお届け

個人投資家の力になる6つの有名な言葉を紹介しておこう。

1「過去57年間を振り返れば世界を揺るがすような時代の浮き沈みや悲惨な出来事にもかかわらず、堅実な投資原則に従えば概して手堅い結果を得られるという事実は常に変わることがなかった」

2「日々の株価、時々刻々と変わる株価の動きを見ながら毎日を過ごさなければならないと誤解している人が少なくない。もしその人が投機家ならそれもいいだろう」

3「現在の収益と目先の見通しは悪くても将来の状態を冷静に評価すると、現在の価格よりもはるかに高い価値を示すことがある。以上のことから、市場が低迷している時期にこそ勇気を持つことがいかに賢明かということが経験だけではなく、信頼できる価値分析法によっても証明できる」

4「過去50年以上にわたる経験と市場観察によれば、『テクニカル・アプローチ』によって、長期にわたり利益を上げた者などひとりもいない。」

5「感情をコントロール出来ないならば、投資のプロセスには向いていない」

6「個人投資家にできないことは『プロのゲームでプロに勝つこと』、自分のゲームで自分にコントロールできることで勝てば良いのだ」

グレアムの教えを活かしたいこと

今年の株式相場は過去にも増して変動率が上がっている。長期投資家の存在感が薄くなり、短期志向の投資家が増えていることもその動きを助長しているに違いない。

長期の資産形成を考えた場合、ブレナムの言葉のもう一度よく考えてみよう。「世界を揺るがすような時代の浮き沈みや悲惨な出来事」にもぶれない投資行動を続けること、世界を揺るがすような時こそ割安株のエントリーチャンスと考えるべきことなど投資に生かせる考え方は多い。

長期の個人投資家が、米国雇用統計などで一喜一憂する必要があるのだろうか?日々の株価の動きにあまり惑わされず、長い目で考えることを身につけたい。徹底したバリュー投資にならないまでも、投機家とならず賢明なる投資家として堅実な投資原則をもって株式市場に接していきたいものだ。

文・ZUU online編集部/ZUU online

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