次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

「すれ違い」を潰さないと結婚はうまくいかないのか

4月1日に結婚して世間をにぎわせた、タレントの有吉弘行さん(46歳)とフリーアナウンサーの夏目三久さん(36歳)。以前噂になったときから5年、ふたりの愛は深く静かに続いていたようだ。

 先日、ふたりはテレビ番組に出演、その中で秋には夏目さんが仕事を辞めて引退すると話した。祝福の声がある一方で、一部の女性たちからは、「報道という仕事に就いていながら、やはり女性が仕事を辞めて引退、という結論になるのか」とがっかりする意見もある。

 その理由として、有吉さんは「みんなの話を聞くと離婚の原因って、すれ違いか価値観の違い。価値観は仕方ないとしても、すれ違いのほうは(そうならないように)つぶしておくかみたいな」としている。

 すれ違いとは生活時間や生活環境のことだろうか。仕事によっては1週間も顔を見ない夫婦も多々いるが、実際にはそれによって離婚にまで追い詰められることがあるのだろうか。

最初から時間がすれ違うとつらい

「結婚当初から“すれ違い”が起こることはわかっていたものの、なんとか乗り切れると思っていたんです」

 そう言うのは、ナオミさん(34歳)だ。30歳のときに同い年の男性と1年の交際を経て結婚した。つきあっている間も時間的なすれ違いが多かったため、一緒に住んだほうがせめて寝顔だけでも見られると思ったのだそう。

「夫は友人と一緒に会社を経営しているんですが、欧米との取引が多いので、半日ずれている感じなんですよね。

 結婚後は職住接近にしたのですが、夫が出社するのは午後から。仕事が大好きなので、そのまま朝近くまで会社にいることも。私が出社するころ帰ってくることもありました。いちばんひどいときは10日もしゃべってなかった」

数ヶ月たって、このままだとよくないねと話し合った。だが、夫は当時、仕事が乗っていて本人もすべての時間を仕事に注入したいというほど。

「男女問わず、仕事の波が来ているというときはあると思います。その気持ちは私もわかるので、思い切って仕事してと励ましたんです。週末はなるべく休むからと言っていましたが、休めるのは日曜日の午後くらいでしたね」