コロナ禍における新しい演劇のカタチ

舞台のクラスター発生。コロナにより窮地に立たされる演劇業界の未来は?
(画像=『Lovely』より引用)

演劇業界ではコロナ禍における新しい演劇のカタチが求められています。コロナの猛威は止まるところを知らず、今後はコロナとの共存が課題となるでしょう。

もちろん1日も早い終息が求められますが、これ以上の足踏みは演劇業界の衰退につながります。そこで演劇業界が試みる新しい演劇のカタチについてまとめてみました。

舞台構成の変更

新しい演劇のカタチの先駆けとなるのが、東京都渋谷のPARCO劇場で開催される三谷幸喜氏の最新作です。タイトル「台地(Social Distancing Version)」からもソーシャルディスタンスを意識していることがわかるでしょう。

例えばケンカのシーンでは、取っ組み合いを避け枕投げに変更され、セットも換気を意識した作りがなされています。この舞台をヒントに今後開催される舞台では様々な工夫が施されていくことが予想されます。

夏の新舞台も続々上演開始

8月から再開される歌舞伎座では、本来2部性が基本のところ4部制が導入されます。さらに約1800人のキャパを800人程度に縮小され、3密の回避に努めることになりました。

また、「科白劇(かはくげき) 舞台『刀剣乱舞/灯(ともしび)』綺伝(きでん) いくさ世の徒花(いくさゆのあだばな) 改変 いくさ世の徒花の記憶」ではキャストがフェイスシールドを付けての上演、映像を利用したアクションでの新しい舞台構成で7月16日から公演を始めています。

オンライン配信

舞台のオンライン配信も新しい演劇のカタチといえるでしょう。音楽業界では既に様々なアーティストが無観客でのオンライン配信をスタートさせています。演劇の世界でも徐々にオンライン配信が増えているのが実態です。

前出の三谷幸喜氏作の「大地」は劇場と同時のオンライン配信が予定されています。ライブ配信であるため、従来のブルーレイ鑑賞とは違った緊張感が期待できるでしょう。

因みに本多劇場で行われた一人芝居のオンライン配信は約6000人が参加しています。いかにライブを見たい人が多いかが浮き彫りになった事象といえるでしょう。

リモート・オンライン演劇

リモート・オンライン演劇とは、劇場を使用せず会議システムZoomなどを利用して完全リモートで行われる演劇です。小劇団を中心に行われており、YouTubeなどでも視聴できます。

一部のテレビ・ドラマでも苦肉の策として放送されていました。そのため実際に観た人も多いでしょう。リモートならではのストーリー展開と、演者の演劇に対する熱量が芝居に伝わり秀作が多いのが特徴です。

今後は小劇団だけではなく、メジャーな劇団によるリモート・オンライン演劇も期待されています。新たな演劇スタイルとして確立されることもあり得るでしょう。

今後の演劇業界全体への再自粛要請の可能性は?

舞台のクラスター発生。コロナにより窮地に立たされる演劇業界の未来は?
(画像=『Lovely』より引用)

演劇業界は厳しい規制を強いられながらも、ようやく再開され始めました。そうした矢先でのクラスター発生は大きな打撃ですが、再自粛要請の可能性は低いといえるでしょう。

演劇業界はコロナによる自粛の影響で、活動休止に追い込まれる劇場が劇団も想定されています。

2月の自粛の要請に伴い政府は「文化芸術活動の継続支援事業」を実施。10月末までの間、経費の補助を行うことを発表していますが、これ以上の自粛は業界全体のみならず日本の経済の存続危機にもなりえます。

したがって、自粛ではなく新しいカタチでの活動を継続していくでしょう。


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