他の自治体でも高額報酬の職員募集が続々と

宮崎県日向市は9月に開設する予定の中小企業支援施設「ひむか-Biz」のセンター長を募り、選考中だ。応募者は116人。全国から大手メーカーの出身者や起業経験を持つ人材が応募してきている。1次選考の通過者を5月末に面接し、7月に正式採用する。

採用者の年収は1020万円。契約は1年ごとの更新だが、市役所内では副市長より高く、市長に次ぐ報酬になる。それなりの人材でないと、中小企業の育成や起業支援は難しいと判断したからだ。市の財政事情は楽ではないが、支出可能な最大限の報酬を準備したという。

市内には3500以上の事業所があるものの、人口減少や高齢化で中小企業を取り巻く環境は厳しさを増している。中小企業に経営上のアドバイスをし、起業したい人を支援するのが、新センター長の役割だ。

日向市商工港湾課は「優秀な人材が応募してくれているが、採用したセンター長には地道に地元企業を育成し、地域の苦境を打開してほしい」と期待を込めた。

岐阜県美濃加茂市は、まちづくりコーディネーター1人を採用、5月10日から活動に入った。任用期間は最長5年。月額給与は実務経験や実績に応じて1号給(37万円)とした。これとは別に地域手当や通勤手当、期末手当もつける。

総務省がまとめた2015年4月現在の地方公務員平均給与月額は、諸手当込みで約37万円。新上五島町や日向市には劣るものの、地方公務員の平均支給額を上回る報酬となり、市の本気度がはっきりとうかがえる。

市内には住民が地域の課題解決に立ち向かうまちづくり協議会が5つある。まちづくりコーディネーターは各地のまちづくり協議会や地域活動を支援し、地域が抱える課題解決に腕を振るうとともに、新しく協議会を設置する地域を支援する。

美濃加茂市人事課は「地域の課題を解決できる優秀な人材を確保するためには、それなりの報酬を出すしかない。採用した職員には地域活性化に向け、精一杯取り組んでもらう」と期待している。

背景に見え隠れする自治体の危機感

地域づくりの基本は人づくりだといわれる。歴史遺産を地域活性化に活用した長野県小布施町や、サテライトオフィス、芸術家の誘致で地域を活性化させた徳島県神山町など成功事例には、仕掛け人となったキーパーソンの活躍が欠かせなかった。

だがそうしたキーパーソンはどこにでもいるわけではない。急激な人口減少や高齢化にあえぐ自治体では、悠長に人材育成している時間もない。このままでは自治体自体が消滅しかねないという危機感から、急いで即戦力となる人材を求めているわけだ。

優秀な人材が地域づくりを手がけたとしても、成功させるためには自治体間の激しい競争を勝ち抜かなければならない。優秀な人材を手に入れただけでは、地域づくり競争のスタート点に立っただけに過ぎない。人口減少を食い止め、地域経済に活力を与えるためには、これからが正念場といえそうだ。

文・高田泰(政治ジャーナリスト)/ZUU online

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