FPは「傾聴力」を武器に対抗
ロボアドの技術やサービス力は日進月歩で進化しているため、あえて「現在」という言い方をするが、現在はFPの持つ傾聴力はロボアドに勝っていると思う。最も顧客の信頼を得てから聞くべき話が「財産状況」。
ただ単に「どれくらいの資産を持っていますか。それをどうするつもりですか」と聞かれても、相談者は心を開かない。
筆者の先輩で個人相談を得意とするFPは、顧客の信頼する紹介者の案件だとしても、初回面談の前にメールで丁寧に関係を築き、資産状況を聞ける土壌を作るという。
「お金や相続といったナイーブな部分への尋ね方」がFPの腕を確認できるという話は、同業者からよく聞く話だ。聞くときの表情、言葉遣い、抑揚、そして相手との会話が成り立つかどうか。信頼関係はとても単純だが、このようなところから生まれる。
手数料勝負よりも共存して高め合う道を
ロボアドに参入する企業も増え、よりサービスの差別化や、それぞれのロボアドの「特色」が出てくるだろう。今後、既存のFPも巻き込んで「資産活用の専門家を顧客が選ぶ時代」が到来するのかもしれない。
ロボアド企業の経営者や実際の現場責任者に話を聞くと、「もうロボアドだけでは差別化できない」という話を聞くことも多い。インデックス、新興市場など投資対象を限定したロボアド、コモディディ紹介に特化したロボアドといった、「専門性」が問われる流れがあり、それはFPも一緒だ。
「相談に乗ります」だけではなく、どのような専門性を持っているのか。ロボアドが勝つか、FPが勝つかではなく、専門性を顧客に評価され、信頼を得たものが残っていく。そんな「切磋琢磨」を期待したい。
手数料を安くという「価格競争」ではなく、サービスの良さで勝負し、良さを磨きあっていくことがそのサービスを使う側にとっては望ましい。
文・工藤 崇(FP-MYS代表取締役社長CEO、ファイナンシャルプランナー)/ZUU online
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