みなさんにも趣味や好きなモノの1つや2つはあると思いますが、残念ながら必ず共感や理解を得られるわけではありません。そのため、なかには「周りから引かれたどうしよう……」と隠している人もいるのではないでしょうか。
バイオ関連会社に勤める後藤映美さん(仮名・32歳)は、鉄道ファンだった父親の影響で自身も子供のころから大の鉄道好きに。ただし、思春期を迎えると「周囲に鉄オタとバレたら恥ずかしい」と思うようになり、親しいごく一部の友達を除いて隠し続けていたといいます。
先輩社員の鉄道話に食いついて自爆
「美容やファッション、スイーツとか同年代の女性が好きなものにも興味は人並みに持っていました。でも、私の中でやっぱりマストは鉄道。 『タモリ倶楽部』の鉄道特集などテレビの鉄道番組はひと通り録画していたし、YouTubeも鉄道系動画で有名なやつはもちろんチャンネル登録。就職後は寝る前にそういう番組や動画を観ては、鉄道の旅に出かけたいなあって想いをふくらませていました(笑)」
社会人になってからも隠れ鉄子としてたまの連休などには鉄道旅行に出かける日々。職場の上司や同僚との関係は悪くなかったそうですが、一切秘密にしていたとか。しかし、入社3年目の部署の飲み会で自分が大の鉄道ファンであることがバレてしまいます。
「ほかの企業とのプレゼン競争に勝ち、大きな契約を取った打ち上げのときのことです。複数の部署が関わっていた案件で、各部署のみんなも仕事をやり遂げた達成感ですごく盛り上がっていました。
このときちょうど翌週末に連休を控えていたんですけど、隣の席に座っていた販売事業部のサブマネージャーが連休中にSLに乗りに行くって話をしたんです。年は私より4つ上で聞いたら大学時代に鉄道サークルに所属していたほどの鉄道好き。私もお酒が入っていたせいかもしれませんが、うれしくてその話に思い切り食いついちゃったんです」
フォローしてくれたおかげで恥をかかずに済んだ
そして、スマホに保存していたお気に入りの観光列車や秘境駅の画像を見せては鉄道談義に花を咲かせていたそうです。ところが、途中で同じ部署の先輩社員から「後藤さん、鉄道詳しいんだね」と話しかけられ、やらかしてしまったことに気づきます。
「さらにいつも一緒にランチを食べていた同期入社のコにも『映美、鉄道好きなんて全然言ってなかったじゃない! ていうか詳しすぎっ!』ってツッコまれちゃうし、自爆したようなものですがバレたショックと恥ずかしさもあり、両手で顔でおおってました」
すると、それまで上機嫌だった彼女の急なヘコみっぷりにさすがに察したのかマネージャーが「けど、最近って女性の鉄道ファンも多いよね」とすかさずフォロー。
これに同期の女性社員も「そういえば松井玲奈とかテレビの鉄道番組によく出てるよね」と当時の人気アイドルが鉄道ファンだったことを思い出したらしく、まわりの社員たちもこれに同意。周囲から引かれずに済んだといいます。
「結果的にはひとりで勝手に恥ずかしがっていただけですけど、周りがそんな風に言ってくれてもやっぱり恥ずかしくて。マネージャーなんか自分は悪くないのに『こっちが鉄道の話をしちゃったばっかりにゴメンね』って謝られるし、それに余計申し訳ない気持ちになりました」