親の在宅勤務で放課後の過ごし方にも変化が

学童の地域格差、選択肢の少なさに揺れる親心。子ども主体で考える「理想の放課後のあり方」とは?
(画像=『LAXIC』より引用)

小山:学童は家庭に代わって放課後を過ごす場所なわけですが、何というか、受け皿としてのというよりも、もっと本質的なところ…安全で、快適で、楽しい時間を過ごす場所であって欲しいなと思います。

栗林:そうですね。やはり現状のシステムに落とし込んでいくと、安全で楽しい放課後が過ごせているかどうかはばらつきがありますね。

ちなみに我が家の場合は、コロナ禍で私が在宅勤務が増えたこともあり、「学童に行かない」というオプションも取れるようになりました。娘は、帰宅するとランドセルだけを置いて公園へ行く日も時々あります。

編集部:いいですね!学童に毎日通っていた子どもにとっては新しい放課後の過ごし方ですね。

栗林:一方で、大人のいない公園で遊ばせるのは不安もあります。子どもが安心して遊べる環境、という意味でも、信頼できる大人の目が常にそこにあるかどうかはやっぱり大きいですね。

小山:安全を確保しつつ、さまざまな選択肢を柔軟に選べるようになるともっといいですよね。親の働き方によっては、必ずしも学童へ行かなくても、「習いごと」という選択肢もあるかもしれませんね。もちろん、長期休暇月は難しいとは思いますが…。

栗林:私も、もともと週5で学童へ行かせるつもりだったのですが、ふたを開けてみたら在宅勤務が増えて、「このペースで働けるなら、平日に習いごとへ通わせられるのでは?」と気づきました。運よく近所で習いごとが見つかり、今も通わせています。大人の働き方が柔軟になると、子どもの選択肢も広がってくるのは実感しています。

小山:「子どもが学童を嫌がるけれど、仕事の都合上行ってもらわなければならないし…」といった葛藤も見聞きしますが、親も心苦しいんですよね…。

栗林:本来はそこに負い目を感じるのもおかしいし、親が当たり前に働いて、子どもも当たり前に好きな過ごし方ができるとよいのですが、なかなかうまくいかない。親御さんも、自分を責めてしまって苦しいですよね。

編集部:御法人でも、アフタースクールに通うご家庭の働き方や、子どもの通う頻度に変化を感じますか?

栗林:親御さんの在宅勤務が増えているのは、全体的に感じます。一方で、「ただ預ける場所」という機能的な部分だけではなく、「子どもが来たくて来る場所」というところに価値を感じて通わせてくださっている保護者の方が増えている気もしています。

コロナによる活動制限はあるものの、スタッフがいかに子どもにとって居心地よく、自由に過ごせる場所をつくるかを意識して工夫しているので、継続して来てくれているお子さんは多くいる印象です。プログラムのひとつに「子ども会議」という子ども自身で放課後をどうしたいかアイデア出しするようなものがあり、できるだけ子どもの主体性を引き出す取り組みを大切にしているのも大きいと思います。

編集部:最後に、読者へのメッセ―ジをお願いします!

栗林:住む場所によって選択肢が限られてしまったり、民間学童に行くにも費用が高額になってしまうなかで、選択肢は本当に少ない状況です。1、2年生だと自分で決めて選ぶことも難しいとは思うのですが、なるべく子どもが自由に決められる「余白の時間」を作ってあげたいですね。

学童で過ごす時間の中にも自由があるのが理想ですが、もし仮に子どもが居心地よく過ごせないのであれば、学童以外の場所でどういうふうに落ち着ける時間をつくっていくか。少ない選択肢の中でいろいろなリソースを組み合わせて子どもが安心できる時間をつくってみてはいかがでしょうか。なるべく本人に任せながら、そこを意識して放課後の時間をつくっていけるといいなと、私自身は思っています。

編集部:貴重なお話をありがとうございました!

 

子どもにとっての理想の放課後のあり方について、改めて考え直すきっかけとなった栗林さんへのインタビュー。小学生の娘さんをもつ栗林さんと、まさにこの冬に学童選びを終え、息子さんの入学を控えるLAXIC編集長・小山の掛け合いに、共感した読者も多いのではないでしょうか。文科省と厚労省の連携は、たとえば保育園と幼稚園が融合した「認定こども園」の例をとっても、決して不可能ではないことのように思います。学校という閉ざされた環境をもっとオープンにし、子どもの居場所を地域全体で確保できるよう、私もひとりの母親としてできることを模索していきたいです。

栗林真由美さんプロフィール

㈱日立システムズ、㈱ビジネスブレイン太田昭和を経て2017年より現職 事務局にて組織のICTシステム、仕組みづくりを中心に担当しつつ、自治体の放課後事業支援にも参画。子どものころ放課後好きだった遊びは、妄想ドラマごっこと読書。 家族構成は、夫と小学校2年生の娘(7歳)

提供・LAXIC

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