ミカさん「アイスの消費量は、7、8月に多いわ」

みかくん「うん、そうだね」

朝ご飯を食べると頭が良くなる?~統計と嘘~1.png
(画像=『味覚ステーション』より引用)

ミカさん「そして、熱中症の発症も7、8月に多いわ」

みかくん「うん、そうだね」

ミカさん「つまり、アイスをよく食べる7、8月に、熱中症になりやすいのよ」

みかくん「うん」

ミカさん「これは、アイスを食べるせいで熱中症になりやすくなる、って言えると思う?」

みかくん「いやいや。アイスを食べたからって熱中症にならないでしょ」

ミカさん「なんで?朝食と学力のデータと同様に、アイス消費量と熱中症にも相関があるわよ」

みかくん「いやいや、常識的に考えて違うでしょ。7、8月は夏で暑いから、アイスも売れるし、熱中症にもなるんだよ」

ミカさん「朝食と学力の関係も、同じよ」

みかくん「え?」

ミカさん「おそらく学力は、親の教育(しつけ)に依るところが大きくて、教育熱心な家庭は、朝食をちゃんと食べてるのよ。それに、朝食を食べる家庭の方が、裕福で、教育費(塾など)もたくさん使ってる可能性も高いわ」

みかくん「でも、朝食自体が学力に影響を与えてる可能性もあるんだよね?」

ミカさん「もちろんその可能性は否定できないわ。でも、同様に、アイス自体が熱中症リスクを高めている可能性も否定できない、と言えるわね」

みかくん「うーん・・・」

ミカさん「だから、このデータだけで結論付けるのは危険なのよ」

統計は嘘?

ミカさん「アメリカの作家、マーク・トウェインが世に広めた名言があるわ」


There are three kinds of lies: lies, damned lies, and statistics

(世の中には3種類の嘘がある::嘘、大嘘、そして統計だ)

みかくん「なるほど。この名言は考えさせられるね」

ミカさん「そうね。まず、”嘘”と”大嘘”は何が違うの!?って思うわよね」

みかくん「え、そこ!?」

ミカさん「”嘘”と”統計”の2種類、でいいわ」

みかくん「まあ、そう言われればそうだね」

ミカさん「それに、3種類の”嘘”がある、って言ってるのに、その3種の中の1つに、”嘘”をカウントするのはおかしいわよね。嘘、というカテゴリーの中に、また嘘を入れちゃダメでしょ」

みかくん「細かいツッコミをするのはやめてください」

ミカさん「えっと、何の話をしてたんだっけ?」

みかくん「だから、”統計が嘘の一種だ”、ってことだよ」

統計は嘘をつかない?

みかくん「ミカさんは、統計に否定的なんだね」

ミカさん「そうじゃないわ」

みかくん「ちがうの?」

ミカさん「私は、統計は非常に重要だと思ってるわ」

みかくん「あれ、さっきは、”統計は嘘の一種だ”って言われてたけど、どっち?」

ミカさん「アメリカの有名な数学者であるオルトワイドさんは、以下の名言を残したわ」


統計は嘘をつかない。嘘をつくのは人である。

ミカさん「この言葉のほうが、私は好きだわ」

みかくん「たしかに、良い言葉だね」

ミカさん「統計自体は、適切に使えば、事実を示す非常に有用なツールなのよ。統計を悪用して嘘をつく、人の方が問題なの」

みかくん「そうだね」

ミカさん「ちなみに、オルトワイドなんて人はいないわ」

みかくん「嘘なんかい」

無意識に嘘ついてる人も多い?

ミカさん「そもそも、統計は、自分の考えや主張の根拠とするために活用することが多いわ」

みかくん「そうだね」

ミカさん「だから、自分の考えが正しい、と思い込んでいると、冷静に考えればツッコミどころ満載な統計データも、無意識に、自分の都合の良いように解釈しがちなのよ」

みかくん「確かに、自分の考えが正しいと思い込んでいたら、そうなっちゃうかもね」

ミカさん「それに、さっきの”朝食と学力の関係”のように、感覚的に妥当っぽいと思われるものは、微妙な統計データでも信用されやすい傾向があるわ」

みかくん「たしかに。データを見て、やっぱりそうだよね、ってなるからね」

ミカさん「例えば、”エゴマ油は体に良い”、”食品添加物は体に悪い”、”海藻を食べると髪が生える”、のような主張は、実際は本当かどうか分からないけど、それっぽいから、その結論に導けるような統計データを活用されがちな気がするわ」

みかくん「たしかに、全部それっぽいから、統計データもあると信じてしまいそうだよ」

ミカさん「ただ、ここで問題があるわ」

みかくん「何?」

ミカさん「統計データが本当に妥当かどうかを判断するには、すごく面倒くさいのよ」

みかくん「どういうこと?」

ミカさん「例えば、論文をよーく読めば、どんな条件でデータを収集しているのかが分かるわ。でも、テレビやメディアでは、そんな細かいとこまで紹介されないものなの。シンプルな、すごく分かりやすい図やグラフを1つ載せるくらいになっちゃう。そうすると、そのデータだけでは何ともいえない、というものばかりになってしまうわ」

みかくん「まあ、テレビで複雑なデータや条件を出されてもよく分からないし」

ミカさん「テレビだと、インパクトのあるデータを出すことが多いわね」

みかくん「うん、そのほうが、視聴率が高くなりそうだしね」

ミカさん「そうなると、それが本当に妥当かどうかを確認するには、論文や文献を読み返さないといけないわ。中には英語論文も多いし、全部見るのはほぼ無理よ」

みかくん「そりゃ、確認のために、英語の論文なんで読みたくないよ」

ミカさん「だから、実際に、”~を食べると健康に良い”、とか”~を食べると危険だ”、っていうのは、もちろん正しそうなものもあるけど、正しいかどうか疑わしいものも多く溢れていると私は思うわ」

みかくん「そうなんだね」

以上、今日は統計に関する様々な考えをお話しさせていただきました。

今は、情報が溢れている時代です。どの情報が正しいのかをしっかり考えて、「それっぽい意見」に流されない人が増えると、より日本が素敵な国になっていくと思います。長文拙文となり恐縮ですが、今日の話を少しでも参考にしていただけますと嬉しいです。

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本日のまとめ
・朝食を食べると頭が良くなるわけではない(と思います)。
・統計は嘘をつかない。嘘をつくのは人である。
・怪しいデータを見極める目を持ちましょう!
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提供・味覚ステーション

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