鎌倉にある「光則寺」は、数々の自然美をあわせもつ鎌倉寺院の中でも、境内の草木の種類が他の寺院よりも圧倒的に多く(約200種類超え)、「花の寺」と呼ばれています。季節ごとに彩りの異なる花が咲き、通年を通して趣深い景色を楽しめるので、鎌倉通は何度もリピートしている魅力的なお寺です。境内には美しい花々だけでなく、日蓮の弟子が幽閉された牢や、関わる人々の記録を伝える石碑が残り、鎌倉の歴史をしっかり学べるお寺でもあります。光則寺の自然美の見どころと、歴史をご案内します。
鎌倉でも代表的な「花の寺」
光則寺は数々の自然美をあわせもつ鎌倉の寺院の中でも、境内の草木の種類が圧倒的に多く、「花の寺」と呼ばれています。
特に、200種類を超える花々や、鎌倉市の天然記念物のカイドウの古木をお目当てに、季節のうつろいを花とともに楽しみたい参拝客が訪れます。
光則寺は全体的に境内の雰囲気がとっても明るく、いつどんな気分で行ってもリフレッシュできるお寺なんです。
その秘密は、光則寺が山に面していて、周囲に比べて小高い場所にあるから。空からの陽光がまっすぐに降りそそいで、鎌倉の他の寺院よりも境内の草木にパワーを与えている印象があります。訪れた参拝客も、そんな草木を眺めて自然と朗らかな気分になり、パワーをもらえる場所です。
そんな光則寺、「さぞ訪れる人が多いんだろうなあ」と想像してしまいますが、心配はご無用!
幸か不幸か、この付近を訪れる観光客のほとんどは、光則寺の近くにある鎌倉大仏で有名な高徳院や、広大な境内を持つ長谷寺に行ってしまいます。一般のガイドブックでも、なかなか紙面の都合上かじっくり取り上げられることが少ないので、光則寺をご存じない方も多いのです。
つまり光則寺は、多彩な草木が春夏秋冬を彩る魅力的なお寺でありながら、人混みを気にせずのんびりと静かな時間を過ごすことができる穴場スポットなんですよ。
さて、ここまで読むと「美しい草花に囲まれた穏やかなお寺」というイメージですが、実は光則寺の歴史の中では幽閉の地として使われていたこともあり、境内にはその形跡も残っていることから、歴史的見どころも備えたお寺でもあります。
それではさっそく、鎌倉を代表すべき花の寺「光則寺」を散策してみましょう。
山門と藤
こちらが光則寺の入り口、山門です。落ち着いた厳かな鎌倉のお寺という気配です。さっそく山門をくぐり、境内の中に入りたいところですが、そこはグッとこらえて!
実は山門の前から、既に光則寺が誇る自然美のお出迎えが始まっているんですよ。
山門前には立派な藤棚があり、毎年4月下旬から5月にかけて、頭上から艶やかに覆いかぶさる藤が楽しめるんです。
真下に入って眺めてみると、真上から降り注ぐ陽光がやわらかに藤色に染まって、一瞬で別世界に来たような気分になってきます。目に映る光景だけでなく、藤の爽やかで甘い香りが全身を包んで、ずーっとここに居たくなってしまうほど。
ぜひぜひ、光則寺の山門をくぐる前に、藤のシャンデリアを楽しんでくださいね。
十分藤を堪能した後は、いよいよ山門をくぐって境内に入ります。