(本記事は、佐藤達夫氏の著書『外食もお酒もやめたくない人の「せめてこれだけ」食事術』=株式会社ウェッジ、2020年1月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

日本人は卵のコレステロールを気にする必要はない

卵(鶏卵)も、その栄養成分だけで受精卵がひよこにまで育つのだから、相当に栄養素バランスの優れた食材だといえる。イメージ的には、白身よりも黄身のほうが栄養素がたくさんあるかのように見えるが、大きな差はない。普通に両方ともを食べるのがよかろう。

鶏卵は、卵を産む鶏に与えるエサの成分が、比較的すんなりと卵に反映される。栄養素だけではなく、黄身の色もエサに強く影響を受ける。たとえば、カロテン(黄色い色素)をエサとしてたくさん与えると卵黄の色が濃い卵ができるなど。そのため、様々な特徴を持った、いろいろな価格の鶏卵が誕生することになる。しかし、価格の差ほどには健康効果に違いはないというのが筆者の評価。普通の価格の普通の鶏卵をすすめる。

卵の摂取で(栄養的に)気になることはコレステロールだろう。いっとき (今でも?)「鶏卵は(血中)コレステロール値を上げるので食べないようにしましょう。食べても一日1個以下にしましょう」という情報(栄養指導)が広まった。しかし、この栄養情報は、少なくとも日本人には当てはまらないようだ。

明らかな疾病を持っていて、かつ、主治医から「食事制限を指示されている人」以外は、食べた卵のコレステロールがその人の血中コレステロール値を上げることはまずなさそうだ。仮に少し上げたとしても、それがその人の健康を害することには(どうやら)ならないらしい、ことが明らかにされつつあるからだ。普通の人は「鶏卵を一日に1個」食べることは、むしろ好ましい食習慣であると考えてよい。

牛乳と卵は「食べやすさ」「手に入りやすさ」も抜群!

食べ物の価値は栄養素だけでは、もちろんない。おいしさ・利便性・価格など、総合的な判断が必要だ。おいしさは個人の好みなので触れずにおくとして、ここでは食べやすさについて考えてみる。

牛乳・乳製品と卵は、食べやすさは群を抜いている。牛乳は何も調理せずにそのまま飲める。こんな食材はそうあるものではない。卵も似たところがあり、生でも食べられる。煮ても焼いても茹でても揚げても食べられ、しかもいずれの場合でも調理にそれほど手がかからない。

この点は、獣肉のように栄養的には価値が高くても加熱しなければいけなかったり、魚介類のように生で食べるには高度な技術や知識が必要だったりする食材との、大きな違いだ。

外食もお酒もやめたくない人の「せめてこれだけ」食事術
佐藤達夫(さとう たつお)
1947年千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアや各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、前食生活ジャーナリストの会代表幹事、元女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)。著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)ほか多数。

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