盆踊り会場へ

それでは、夜も更けた9時過ぎに盆踊り会場へ。ふだんはひっそりとした小さな商店街から、お囃子が聞こえてきます。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

お囃子が聞こえる方向に歩いていくと、あかみがかった灯りが、ぼやぁっと街を照らして幻想的です。お囃子の音と相まって、脳内が痺れた不思議な感覚になってきます。

会場へ向かう道路には、ご当地マンホールが。この柄もバッチリ西馬音内盆踊り柄です。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

艶やかで幻想的な盆踊り

会場につくと、商店街の小さな道路に点々とかがり火をたいて、そのまわりを踊り子たちが一列になって踊っています。

根強いファンが、カメラを片手に踊り子を接写しています。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

何が西馬音内盆踊りの特徴なのか?一回見てしまうと強烈な印象を植え付ける西馬音内盆踊りの特徴を解説していきましょう。

衣装

まず最初に「えーっ?」とびっくりするのが衣装。なんといっても、亡者を連想させるこちらの頭巾にインパクトがあります。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

こちらの頭巾は、真っ黒に見えますが藍染の一枚布です。これをスポっと被り、目の部分をくりぬいた亡霊的な衣装は、かなりのインパクトですよね。なんの予備知識もなく見ると「あの世にきちゃったかなあ」と思わせるビジュアルだと思います。ずうっと頭巾の踊り子の動きを目で追っていると、なんだか超自然的なものにいざなわれて、あやかしの世界に迷い込んだ感じがしてきます。

もう一つは編み笠を深くかぶった衣装。全国に同じような半月形の編み笠がありますが、西馬音内のものは弧を描いて反っているので、優美さが強調されています。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

どちらも徹底的に顔を隠すのが西馬音内流。顔を隠す理由は諸説あるようですが、その一つに人から神に近づくために、顔を隠すというシャーマン的な説があるそう。

そして着物。パッチワーク的なこの衣装は、端縫い(はぬい)と言われていて、4、5種類の布を端縫いしたものなんです。この中には、100年以上も代々伝わる衣装も珍しくはないんですよ。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

お囃子

西馬音内盆踊りには、「音頭」と「がんけ」の2種類の曲があります。

「音頭」は、民謡に馴染みのある人であれば、「あれ?どこかで聞いたことあるな?」というメロディー。同じ秋田の「秋田音頭」と似たメロディーです。

もともと秋田音頭は、日本のラップの異名を持ち、西馬音内盆踊りの「音頭」も即興的な内容を秋田弁でラップ調にワイルドに歌い上げます。内容も、世の中を風刺したもの、ご近所との世間話、ちょっとエッチな内容と多岐にわたり、なかなか面白いですよ。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

「がんけ」は、月夜を飛ぶ雁の姿からきた雁形、または仏の教えを広める意味である勧化(かんげ)、来世の幸せを願う願生化生(がんしょうけしょう)から来たと諸説あるようです。

「音頭」との大きな違いはテンポ。音頭のテンポに対して、がんけはかなり早く、しかも一定ではありません。次第に早まったり、遅くなったりと、踊っているほうは大変だろうなあという感じですが、踊り子を見ていると、むしろ積極的に楽しんでいるような雰囲気です。

踊り

さて、肝心の踊りは・・・?

ワイルドで激しいお囃子と全く逆な、ゆっくりとした優美な踊りで、この経験したことのないアンバランスさが、余計幻想的なんです。激しい曲を聞きながら、ゆっくりした踊りを見ていると、今まで経験したことのない組み合わせに、どんどん脳がじんわり痺れてくる感じになります。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

途中、左手で袖をもち、人差し指をたてて天を差す振りや、左足を軸にして、くるりと一回転するのが特徴です。とにかく、流れるように動いているかと思えば、ピタっと止まる静と動、曲とのアンバランスさ、何もかもが今まで見た盆踊りとは一線を画しています。

ピタッと止まるときには、反り返った指先の美しさが目を引きます。これも西馬音内盆踊りの特徴。この指のしなりが美しさの基準なんですよ。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

一回転するときには、会場内を摺り足の音が包みます。足元を見てみると、この音が出るように、かつ回転しやすいように砂が撒かれています。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=えいぶゆう/TossyPhoto トリップノートより引用)

この回転の動きがあるために、昔はワラ草履を履いていましたが、一晩で何足も履きつぶすので、腰に2、3足ぶら下げて踊ったそうですよ!現在は、足袋に雪駄(せった)になりました。

実は関東でも見られるんです!

冒頭でご紹介したとおり、アクセス、宿泊の難易度が高い盆踊りですが、一度見た後の中毒性が強いので、本当に人生で一回は見て頂きたい踊りです。

関東圏であれば、気軽に身に行ける場所で、西馬音内盆踊りが見られるって知ってました?箱根駅伝の通過点として有名な神奈川県藤沢市にある「遊行寺(ゆぎょうじ)」で毎年見られるんです。

あやかしの世界観あふれる日本三大盆踊り【秋田・西馬音内盆踊り】
(画像=PIXTA トリップノートより引用)

なぜ藤沢市で西馬音内盆踊りが踊られるんでしょう?実は遊行寺、全国各地の盆踊りの起源として伝えられている「踊り念仏」を広めた一遍上人が作ったお寺なんです。

藤沢商工会議所が、この踊り念仏を地域資源として活用しようと、盆踊りイベントを立ち上げるために、全国各地の著名な盆踊りの招致活動として西馬音内盆踊りを知ったんだとか。

毎年開かれる、盆踊りイベント「藤沢宿遊行の盆」には西馬音内盆踊りが必ず出演しています。

雪国のイメージが強い秋田県でも、さらに県内有数の豪雪地帯である西馬音内と、湘南海岸に面した陽気な藤沢市のつながりは、なんだか不思議な感じがしますね。

羽後町観光物産協会、藤沢商工会議所では、盆踊り以外にも、「災害時応援、文化・産業振興交流協定」を結んでいて、なんだか遠く離れた絆の深い友達という感じなんです。

2019年「藤沢宿遊行の盆」日程
7月26日(金)・27日(土)・28日(日)
西馬音内盆踊りは27(土)開催予定
※詳しくは藤沢宿遊行の盆ホームページをご覧ください。

おわりに

いかがでしたか?

なかなか気軽に見に行けない踊りではありますが、三大盆踊りに数えられるだけはあるな!というとっても魅力に満ちた盆踊りです。

とっても中毒性が高い踊りなので、一生に一度は見に行っていただきたい踊りです。毎年行きたくなりますよ!

提供:トリップノート



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