キャリアカウンセリングで解決策を考える
私たちはどうしたらよいのでしょうか。女性活躍社会への変化を会社や他人に求めず、自分からできることはないのでしょうか。
キャリアカウンセリングのテクニックを少し使って、自分がとれるアクションを考えてみましたので、ぜひやってみてください。
① 何かひとつだけ、改善するとしたら?
理想と現実のギャップが大きくその道のりすらも描きづらい場合、一気に理想のかたちに持っていくのは難しいです。では、たくさんある不満要素の何かひとつだけ改善できるとしたらまず何を改善したいでしょうか。どんなことならできるでしょうか。
仕事の難易度、内容そのもの、評価、収入、同僚、上司、勤務時間、勤務スタイル…… など。
私の場合、改善したいものは「仕事の内容そのもの」でした。
② 本当に到達したいところは?どんな毎日を送りたい?
例えば役職などはどこまで到達したいのか、どんな暮らしがしたいのか。「ありたい姿を考えて!」といわれると、なにやら壮大な夢や高い目標を設定しなくてはいけないような気がしてきます。そうではなく、「どんな毎日を過ごしたいか」を自分の本音に耳を傾けできるだけ具体的に想像してみてください。 例えば、毎日子供と夕食をとりたい、柔軟な働き方がしたい、〇人くらいの部下をもちたい、経営陣に物申せる地位に就きたい、などなど…… 人によってこのイメージはかなり異なるはずです。
私の場合、ここは「部長クラスにはなりたい」「できれば週2くらいは在宅勤務をして子どもにおかえりを言いたい」でした。
①・②の結果を踏まえ、優先順位や取れるべきアクションを考える
①②それぞれの答えを踏まえて、優先順位やとれそうなアクションを考えてみましょう。
上司とのコミュニケーション、目標設定と成果アピールのテクニック、人間関係の改善、転職、現状維持、ペースダウン、退職、取れそうな選択肢は色々あると思います。
どんな選択肢であったとしても、自分で考えて決めることで納得感が生まれます。
劇的に理想の形にならなくても、どんなに小さくても、自分で考えた一歩が踏み出せれば、自信に繋がります。壁を前に立ち尽くすのではなく、一歩前に出て眺めてみたら、見える世界は変わってくるかもしれません。
自分らしく輝く!
私の場合、まず仕事の内容を変えたかった。
復職後の配属先のビジネス、ミッションにどうしても興味が湧きませんでした。好きな仕事だけできるわけない、今はこれが仕事なのだからと、真面目に取り組もうとしましたが、さっぱり関心が持てません。そして、子育てをしながら働くためにかけるコストとエネルギーを上回るモチベーションも湧きません。
熾烈な保活競争や、毎日の送迎、帰宅後息をつく間もなくこなす家事育児、日々両立に悩み工夫することなど、様々な覚悟をして働くことを選んだからこそ、「それでもやりたい」と思えないことが辛かった。
一方で「いつかこの分野の仕事がしたい」「部長クラスくらいにはなりたい」というぼんやりした希望があり、そのために細々と勉強もしていました。
そこで、私が決めた最初のステップは、肩書きや収入には目をつぶり、「希望の分野で、在宅勤務可の会社に転職すること」でした。
前述の事情からすぐに転職することは難しかったのですが、タイミングが来たらすぐに動こうと意思を固め、いまは準備期間としてできることをやろう、とスタンスを決めました。
それからは、所属部署と全く関係のないところで希望する分野に通じる活動を始め自分のスキルを発揮できる場所を作ったり、社外の勉強の場に積極的に参加しています。
転職しても苦労が多いかもしれませんが、心から共感できる仕事の方がやりがいを感じながら短い時間で高いパフォーマンスを発揮できるはずですし、長期的な視点では高評価・昇進が期待できるかもしれません。
この準備期間、仕事は最低限に抑えるため、よい評価は得られないでしょうし、処遇の改善もないかもしれません。でも、自分で決めてこの場にいること、この先の未来のための我慢なのだと腹落ちしているので、耐えられます。
自分の気持ちを整理して直近の目標をしぼり、スタンスを決めたことで、気持ちの上では負のループから抜け出すことができました。その後、本業とは別にはじめた活動が認められ約10万人の社員中、年間5,6組が受賞する社長表彰を受賞し、人脈も広がるなど、自ら決めた目標に向かって着実に前進しています。
「女性活躍推進」には、国や企業に求められる要素がもちろん多くあります。しかし、一人一人が納得感のある選択をし、自分らしく自信をもってまい進することこそが「活躍」「輝く」ということなのではないでしょうか。
「なんか違う」と思いながら日々過ごしている方、ぜひ一度考えてみてください。
(著者)林由美
埼玉県出身、東京都在住。大学卒業後、メーカー営業職として勤務。自営業の夫、3歳女児、0歳女児の4人家族。長女出産後、育児休業中にキャリアカウンセラー資格を取得。特に女性のキャリア構築支援と自己肯定感の向上に使命感を燃やし活動中。
「カエルチカラ・プロジェクト」は、目の前の課題を変えるための一歩を踏み出せる人を増やすことを目指すプロジェクトです。女性を中心に何らかの困難を抱える当事者が、個人の問題を社会課題として認識し、適切に言語化し、データを集め、発信することで、少しでも改善の一途につなげたい。「どうせ変わらない」という諦念、泣き寝入りから「問題を解決できる」「社会は変えられる」と信じることができる人が増えることを願っています。
発起人: WILL Lab 小安美和、研究機関勤務 大嶋寧子、ジャーナリスト 中野円佳
提供・LAXIC
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