「期待されてない」育休明けに落ち込むワーママへ…キャリアカウンセリングから脱出策を考える
(画像=『LAXIC』より引用)

〔本原稿は、カエルチカラ・プロジェクトの一環として「なかのまどか言語化塾」に参加した女性たちが書いたものです。ライターや専門家ではなく、問題の当事者が当事者自身の言葉で発信することで、社会への問題提起や似たような立場に置かれた方々への情報共有を目指しています。編集協力:中野円佳〕

これがマミートラックか……と実感

「期待されてない」育休明けに落ち込むワーママへ…キャリアカウンセリングから脱出策を考える
(画像=『LAXIC』より引用)

「ワーキングマザー」が注目され、女性活躍推進が叫ばれるようになって数年。時間はたち議論も深まっているのに、実際に働く環境にはあまり変化なく悩みを抱える人がまだまだ多いと思いませんか?

私もその一人です。

育休中にキャリアカウンセラーの資格を取得した私が、そこでの学びを活かして悩みの解決の糸口を見つけた経験をお話しします。今、ワーキングマザーとしての働き方にモヤモヤを抱えている方はぜひ一緒に考えてみてください。

私は大学卒業後、日本を代表するメーカーに営業職として入社し、お客様や良い上司・同僚に恵まれ仕事が楽しく、没頭していました。自分の仕事に誇りとやりがいを感じていたため、深夜残業や休日出勤もつらくなかったし、部内表彰をいただくような成果もあげ、忙しくても自然と笑顔で仕事をする毎日でした。人事異動による環境の変化もありましたが、年次とともに昇格を見据え、より重要なミッションや若手の育成など期待されることが増えていきました。

そんな中、社会人7年目に第一子を妊娠・出産し、1年半後に復職しました。それまで、同じ会社で子育てしながら働きつづけている人は数人見ていました。その人たちがバリバリと働いていたいたので、両立への漠然とした疑問はありながらも、会社の制度を活用したり、担当業務を少し減らす・緊急時のフォロー体制を組むなどのちょっとした調整で、今までと同じように働けるんだろうと思っていました。

休職前と変わらず営業職として復職した私は、フルタイムではなく短時間勤務を選択しました。フルタイムではこれまでと同じように残業が当たり前となることが予想され、通勤時間の長さもあり、しわ寄せは子どもにいくなど、いずれ立ち行かなくなるだろうと考えたからです。

復職当日、組織長に言われたのが「もう、一線は引くんでしょ?」という言葉でした。

新しいプロジェクトに配属となりましたが、私の配置は「お手伝い」を期待されているのがうかがえるポジションでした。お客様との打ち合わせが夕方に設定され、出席できないこともしばしば。「これやります」と申し出ても、「あ、大丈夫だよ。こっちでやるから」という返事。同僚はいつも快くフォローしてくれ感謝はしていましたが、私自身が考える一人前の仕事ができる日は来ませんでした。あまりに「期待されていない」と感じることの連続で、私はようやく自分が置かれた状況を理解しました。

「そうか、これがマミートラックなのだ。」と。

もともと働くことが好きで、復職を楽しみにし、やる気に満ちていた私は激しく落ち込みました。

私と同じような経験をされている方は多いのではないでしょうか。

落ち込んだ3つの理由

私がなぜそこまで落ち込んだのか。それには以下の3つの理由がありました。

昇格の見込みがないこと

年次的には同期の多くが昇格するタイミングでしたが、私はそもそも対象と認識されてもいないようでした。「お手伝い」の仕事しかできない状況で、評価に値する成果は出せません。本来配置や昇格における判断材料になっていいはずの、休職前の実績やスキルは無視され、何よりも今現在コミットできる時間の長さが評価に直結していました。そのため、このままではいつまでも昇格することはない、と希望が持てませんでした。

職場、特に管理職層に「女性活躍推進」の風が吹いていなかったこと

会社の経営陣は時々女性活躍を応援する旨の発言をしていました。しかし、実際は建前的なものであり、各職場の組織長や管理職にはまったく浸透していませんでした。夜遅くまで残業している社員が「頑張っている」とされ、お酒の席に付き合う部下がかわいいという価値観がいまだにしっかり根付いていました。

私自身が環境を変えづらいタイミングであったこと

柔軟な働き方が浸透しそれにあった評価制度も整っていて、制約がある社員でも活躍できる土壌がある会社は増えてきました。転職や異動をするのが一番早い解決策かと思いましたが、近いうちに第二子を希望していたこと、会社の評価制度の設計上、異動するとまた評価がゼロベースに戻ってしまうこと、配偶者の仕事の関係などから、アグレッシブな動きは躊躇してしまうタイミングでした。

 

自分なりに頑張ったところで、時間的制約がない人に比べたら成果も評価もたかが知れている。しかし抜け出すにも問題がある。とどまっていてもいつまでも悔しい思いをしている未来しか見えない…… 毎日何度もぐるぐるとこのループに思いを巡らせ、気分は落ち込む一方でした。そして、私と同じようなループにはまっているワーキングマザーにたくさん会いました。

なぜループにはまってしまうのか

「期待されてない」育休明けに落ち込むワーママへ…キャリアカウンセリングから脱出策を考える
(画像=『LAXIC』より引用)

ワーキングマザーがこのパターンにはまってしまうのは、なぜでしょうか?

会社側の問題としては、各職場の管理職がダイバーシティ思考に変化できていないことが挙げられると思います。かつ、そのような会社の管理職はこれまでの成功体験や価値観が根強く、簡単には変化しないことも考えられます。「子育て中の女性はこういうもの」というイメージにとらわれていることにすら気づかない、または認めないかもしれません。こういった無意識の偏見は、外からのはたらきかけでは是正が難しいものです。

管理職たちが「理解ある世代」に交代し新陳代謝が進めば変わってくるでしょうが、それには5年、10年がかかり、現状においては何も解決されません。評価制度が、多様な働き方をフラットに評価することができる仕組みになれば一定の効果は得られそうですが、それもまた、経営層に高い意識がなければ実現しません。

いずれも、ワーキングマザー自身の自力ではどうにもならないか、どうにかするためには相当な努力とリスクの覚悟が必要なことです。

これらの壁を前に、立ち尽くしてしまう……

しかし立ち尽くしていてはループから抜け出せませんし、その姿を見て「これだから子持ちの女はたいして仕事もしないのに文句ばかり言って面倒くさい」というような声があるのも否めません。