個人型確定拠出年金(iDeCo)は、老後のための資産形成において非常にメリットの多い制度ですが、老後資金以外の用途には使いづらく、毎年口座を管理するための手数料がかかるなどのデメリットもあります。今回はiDeCo(イデコ)を始める前に知っておきたい注意点をご紹介します。

60歳まで引き出すことができない

(写真=PIXTA)

個人型確定拠出年金の一番有名な注意点は、原則として60歳までは自分の資産なのに引き出すことができない、ということです。更にいったん加入すると、毎月5,000円以上の掛け金を払う必要があります。

イデコに拠出したお金は間違いなく自分のお金ですが、急に大きな出費があっても引き出すことはできません。住宅を買う、転職するなど大きなイベントを控えている人は、月々どのぐらいなら余裕を持って拠出できるかを慎重に考えましょう。

控除のメリットを生かせない場合もある

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そもそも所得税が少ないと控除も少ない

イデコの大きなメリットの一つが、拠出した掛け金を課税所得から全額控除できることです。例えば毎月の1万円の掛け金を拠出した場合、年間12万円が所得軽減の対象となり、所得税・住民税が共に10%の人なら、合計2万4,000円の税金が軽減されます。結果として、12万円分の運用を9万6,000円でできることになります。

ただし現在支払っている所得税が少ない場合は、このメリットを生かしきれない可能性があります。上記の例で言うと、支払っている所得税が1万2,000円未満である場合などです。

自分がいくら所得税を払っているか、給与明細などを見て確認しておきましょう。

転職や結婚・出産を控える場合

今はそれなりの所得税を払っていても、将来的に収入の変化がありそうな人も気をつけましょう。例えば、近々転職を考えている人や、結婚や出産などで退職を考えている人などです。

前述したように、確定拠出年金はいったん加入すると、よほどのことがないと途中で脱退することができません。加入している間は口座管理手数料などを払う必要がありますので、所得控除が受けられないと、手数料の分だけ損をすることにもなりかねません。

住宅ローンなどの所得控除も調べよう

収入がある人でも、他で所得控除を受けているので、実際にはそれほど所得税を払っていない場合もあります。

利用している方が多い所得控除の例は、生命保険料や個人年金保険料などを払っている人の生命保険料控除や、住宅や分譲マンションなどを購入した人が受けられる住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などです。

これらの控除額が大きく所得税が少ない場合は、同じようにイデコによる所得控除のメリットが少なくなるので、心当たりがある人は源泉徴収票などで確認しましょう。