芸人に芝居上手が多いワケ

――芸人さんには演技が上手い方が多いです。齊藤監督は、その理由をどう感じますか?

齊藤工“監督”が惚れ込んだ若手芸人・九条ジョー「圧倒的な何かに惹かれた」
(画像=『ゾッキ』より,『女子SPA!』より引用)

齊藤「僕もそれをずっと考えていました。『日10☆演芸パレード』という演芸バラエティ番組のMCを、伊東四朗さんと今田耕司さんと3人でやらせていただいたとき、自分は代わりの利くポジションだという恐怖感がありました。同時に、8時間くらい前から入って、ずっと非常階段で練習している芸人さんとか、袖の緊張感を肌身で感じて、命がけだと思った。

 ただカンペを読んでいるだけではなく、関わらせてほしくなって、バイきんぐさんとかニッチェさんとかと一緒にコントをやらせていただきました。番組だけじゃなく、20~30人でいっぱいになるようなローカルな劇場に出たり。そこから『MASKMEN』というドキュメンタリードラマをやって、覆面の芸人としてR1を目指したり。探りたくて」

――何か分かりましたか?

齊藤「お客さんのリアクションを感じて瞬間瞬間のジャッジをしながら、自分を捨てられるかどうかかなと。そこの優先順位が俳優とは違う。素晴らしい芸人さんは、身を捨てられるんです」

九条「わあ、嬉しいです。工さんは、すごく芸人をリスペクトされてる方だと感じていて。僕も、一瞬で自分を捨てられる先輩をたくさん見てきましたが、それが芸人ならではの動きで、稀有に映るのかもしれません。でもだからって、それを体現するために自分で劇場に出るとか、覆面してR1目指すとか、頭おかしいです(笑)。でもほんと、僕らのこと、すごくよく分かってくださってるなと思います。嬉しいです」