竹中直人さん、山田孝之さん、齊藤工さんが共同監督を務め、早くから注目を集める映画『ゾッキ』。『超能力研究部の3人』などの原作で知られる漫画家・大橋裕之さんの初期短編集から選りすぐりのエピソードをピックアップし、再構築させた実写映画です。
齊藤監督と、齊藤監督が演出したエピソードで少々クセの強い男の子「伴くん」を演じて俳優初挑戦を果たした、今注目のお笑いコンビ・コウテイの九条ジョーさんに話を聞きました。
空間を支配する九条くんに惹かれた(齊藤)
――いくつかのエピソードが語られていきますが、伴くんの話が一番印象に残りました。
九条ジョーさん(以下、九条)「うわ、本当ですか! 嬉しい」
齊藤工監督(以下、齊藤)「みんなに、そう言ってるかもしれないよ」
九条「そうか! アブナ!」
――本当です(笑)。齊藤監督、九条さんを抜擢されたわけは?
齊藤「伴くんのエピソードは原作の第1話ですし、原作ファンの方にとっても印象的なキャラクターです。僕も好きすぎて、最初は違うエピソードをやろうとしてたくらい。時間軸としても3つの時を渡っていて難しい。でも、脚本の倉持裕さんが、むしろ伴くんの時間軸を生かして全体を集約させていこうと。だけど肝心の伴くんがいないと思っていたとき、たまたま『ネタパレ』というバラエティ番組に出させていただいて、コウテイを見てめちゃくちゃ印象に残ったんです」
九条「(嬉しそうに)工さん……」
齊藤「完全に空間を支配してたんです。僕が芸人さんとよくお仕事させていただく理由のひとつは、お笑いが好きということ以上に、その人が空間を支配する圧倒的な何かに惹かれるのだと思います。伴くんの圧倒的なキャラクターを乗り越えるエネルギーが、九条さんにはありました」
自分が選ばれたことが腑に落ちた(九条)
――九条さんにとっては、濃いキャラクターだったことが、逆に演じやすかったのでしょうか?
自分が選ばれたことが腑に落ちた(九条)
九条「自分にとって馴染みのないキャラクターではなくて、僕のなかにあるものだったので、選ばれたことが腑に落ちました。原作を読んでいても伴は自分っぽいと思っていました。だから嬉しかったし、楽しみながら挑めました」
――監督から何かアドバイスは。
九条「それが言わないんですよ。『好きにやってくれたらいい』と。現場に山田孝之さんもいらしたので、『どうしたらいいですか』と相談したら、やっぱり『やりたいようにやったらいいだけだよ』と。誰も教えてくれなくて(苦笑)。でも、相手役の森優作さんの優しさとか佇まいから、ちょっとずつ誘発されて、どんどん伴にしてもらいました」