ビジネススピードを加速させるために必要なのはインスピレーションとネットワーク

「パーソナライズ絵本」で起業した夫婦に学ぶ、新規事業の作り方と起業ステップ
(画像=「一人じゃできないことも、メンバーがいれば挑戦できる」とふくみさん。、『LAXIC』より引用)

編集部:ここまでの経緯を伺って、お二人にはスピード感があるというか、トライ&エラーも含めてビジネスのサイクルが速いと感じます。

ふくみ:3社目のベンチャー起業で、社長に「スモールスタートでいいから、完璧を目指すよりもとにかく動くこと」と教えられていました。あとは、夫とのチームワークの効果もあると思いますね。

私はインスピレーションを大事にしていて、感覚で突っ走るところがあるんです。一方で、夫はロジックを組み立てたり、戦略を立てることが得意。右脳と左脳のような関係性なんです。

編集部:直感で行動するふくみさんを、戦略家のイゴールさんがサポートされたのですね。素晴らしいパートナーシップ!

イゴール:とはいえ、1人や2人でできることは限られています。実際、最初に取り組んだ3つのプロジェクトはうまくいきませんでした。BUKIは、お互いのネットワークを活用して信頼できる人間を巻き込むことで軌道に乗りました。私の故郷であるベラルーシにいる開発チームがまさにそうですね。メンバーの考えが一致していたのもスピード感の理由だと思います。

編集部:周囲の人を巻き込んだ結果、チームができ、回転率が速まったのですね。

イゴール:巻き込む人は、必ずしも夫や妻である必要はないと思いますが、まずは自分のことを知ってもらうという意味でネットワークを広げることが大事です。たとえば、ディスカッション用のアイディアをいくつか準備して、同じ考えをもつ人たちが集まるコミュニティに入る、とか。すると、たいてい自分と同じことに興味を持っている人がいるんですよ。その人たちと意見交換をして仲良くなり、一緒にステップを踏み出す感じです。

編集部:なるほど、仲良くなった人に壁打ちしてもらうのですね!

イゴール:仮に起業したい女性が100人いて、みんながマニュアル通りに資金調達から進めたとしたら、成功するのは1人か2人くらいでしょう。1人を5人に増やすには、第一ステップとしてまず自分のスキルを補い、きちんと意見を言ってくれる人を見つけることです。そうすれば、フリーランスや起業を志す人が、何倍にも増えると思いますよ。

編集部:こういうお話はいわゆる「起業マニュアル」にはあまり載っていないことだと思います。ちなみに、資金調達はどのように?

ふくみ:ほぼインハウスでやっていて、外部からの資金調達はしていません。

編集部:「ネットワークが大切」とお二人がおっしゃっるように、起業にはヒト・モノ・カネのバランスというか、リソースをうまく活用するスキルが必要なのかもしれないですね。

ふくみ:仮に私ひとりで起業したら、自分だけでできることには限界があったと思います。そこで身近な人から説得して巻き込んでいき、その人がまた周囲を巻き込んでうまい具合にパズルとパズルがくっつくように、チームが出来上がりました。

ファミリービジネスだからこそ、子育ても暮らしも楽しめる

「パーソナライズ絵本」で起業した夫婦に学ぶ、新規事業の作り方と起業ステップ
(画像=仕事も生活も、ぜんぶ家族一緒に。、『LAXIC』より引用)

編集部:お二人は普段、シェアオフィスでお仕事をされているそうですね。

ふくみ:コロナ禍で夫がリモートワークになったので、週5~6日はシェアオフィスの「マフィス(※)を利用しています。実はこの地域に引っ越してきたのも、マフィスを使いたいからなんです。2階がオフィスで3階が保育園なので、息子がお散歩へ行く姿も見えるし、日中、狂喜乱舞している声も聞こえる(笑)。

絵本を制作するうえで、息子の存在がインスピレーションの源になっているので、子どもの存在を常に感じられるマフィスでは、絵本のアイディアも浮かびやすいんです。

編集部:普通はなかなか見られない子どもの園での様子を垣間見られるのは、マフィスならではですね。ところで、今後は、イゴールさんが正式に事業参画されるのでしょうか?

イゴール:今はまだスタートしたばかりで、お客さんの反応は良いものの、現実的なことを考えると、今年あと3~4冊出してもっと規模が拡大してからと考えています。今は休むヒマもありませんが、そうなれば、週末も休めるかな?(笑)

ふくみ:ファミリービジネスとしてやっていけているのは、お互いがゴールを共有しているからだと思います。これは私の妄想なんですが、ゆくゆくは1階が子供が集まる場所、2階がオフィス、3階が自宅のように、家族も仕事も生活も、すべて回せる環境をつくりたいですね。

編集部:それは素敵ですね! ぜひその妄想を現実のものにしてください。最後に、読者へのメッセージをお願いします。

ふくみ:自分が思い描いていたこと、叶わないと思っていたことでも、周りの協力が得られれば「案外叶うものだな」と実感してきました。「起業」というと自らのハードルを高く設定してしまいがちですが、身近なことから一歩踏み出してみるといいと思います。夫や友人に話してみるとか、ブログやSNSを始めてみるとか。子どもたちにも、そうやって夢を実現できるような環境を提供していきたいです。

編集部:本日は、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

(※)※ママと家族のためのシェアオフィス「マフィス」

「インスピレーションを大切に、考えるよりもまず行動に移す」というふくみさんと、「起業の第一段階としては、ネットワークづくりが最も大事だ」と考えるイゴールさん。まずは、自分の身の周りにある「人」や「もの」を最大限に活用して、足りないものを補っていく。リアルな成功例を伺えたことで、起業へのハードルが下がったように感じます。感覚的にご自身の想いをお話されるふくみさんの言葉を、要所要所で補足するイゴールさんの姿も印象的でした。起業にかぎらず、何か新しいことにチャレンジする際にも、コズロブさんご夫妻の考えをお手本にしたいですね。

コズロブふくみさんプロフィール

早稲田大学卒業後、コンサルティング会社やベンチャー企業などでマーケティング担当として従事した後、独立。フリーランスのマーケティングコンサルタントとして企業のマーケティング線略立案を支援。出産後の2019年に、ビジネス戦略を担当する夫と、イマジネーションの源である息子と一緒に、家族で起業。

提供・LAXIC

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