Kさんは30歳を迎えたのを機に、かねて希望だった「実家を出て1人暮らし」を実行してみたいと考え始めました。でも、1人暮らしにはお金がかかると聞くし、貯金は得意ではないし、100万円の貯金が消えてしまうのもつらいし……、と金銭的な不安があって踏み切れずにいます。

>>コロナ禍で変化はあった?「お金」「資産運用」に関する読者アンケート実施中(所要時間1~2分程度)

1人暮らしにかかる費用は?

(写真=PIXTA)

Kさんの夢を実現する方法を考えてみましょう。漠然としたお金の不安を抱えているときは、今後いくらくらいのお金が必要になるのか、できるだけ具体的に知ることが解決への第一歩です。

1人暮らしを始めるための「初期費用」

1人暮らしを始めるには、実際に家の候補地探しをして、契約して、家具家電をそろえて、引っ越しするという工程が必要です。それぞれにかかる費用の目安は以下のとおりです。

・家探し
物件はインターネットでも探せますし、不動産業者まで行けば車に乗せて案内してくれます。この段階では、現地の不動産業者までの交通費くらいで済みます。

・家の契約
最もお金がかかるのがこのときです。希望の家が見つかったら契約をしますが、それには敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料などさまざまな費用がかかります。もちろん物件などによって差はありますが、トータルで家賃の5ヵ月分程度は見ておきましょう。

・家具家電
暮らしやすさやインテリアのおしゃれさにどれくらいこだわるかでかなり変わってきます。家電は手頃なものであれば、5万円から10万円ほどで一式そろえられます。最初は実家にある物を持って行くなどして出費を最小限に抑えて、あとから少しずつ買い足すようにすると無駄なく済みますよ。

・引っ越し
1人暮らしの場合、業者に頼むと3万円から5万円程度におさまることが多いです。引っ越し時期や運ぶ距離、荷物量などによっても変わります。複数の業者で見積もりを取って比較する、荷造りはなるべく自分で行う、曜日や時間などは業者の都合に合わせるなどすると費用を抑えられます。

すべて合わせて50万円ほどあれば、念願の1人暮らしはひとまずスタートできそうです。

1人暮らしを続けるための「毎月の生活費」

せっかく始められても続けられないと意味がありません。毎月必要になるお金も見ていきましょう。総務省統計局が2019年に行った「家計調査」によると、34歳以下の単身世帯の平均支出額は以下のとおりです。
 

費目 1ヵ月あたりの支出額
食費 4万4,000円
住居 3万3,000円
光熱・水道 7,000円
家具・家事用品 4,000円
衣服類 8,000円
保健医療 5,000円
交通・自動車 2万円
通信費 7,000円
教養娯楽 2万円
その他 2万4,000円
合計 17万2,000円

Kさんは貯金が100万円あるということなので、1人暮らしを始めることはできるでしょう。ただし、実家暮らしと違って、家賃に光熱費、その他日用品など、さまざまな費用が今後毎月かかるようになります。

確実に支出が増えますので、今までと同じお金の使い方や管理方法では貯金ができないか、赤字になってしまう可能性もあります。