奈良県明日香村にある岡寺は、日本最初の厄除け霊場と言われており、多くの参拝者を集めています。境内では、春にはシャクナゲやボタンの花が楽しめるほか、池や鉢にダリアの花を浮かべるイベントもあり、花の名所としても知られています。
岡寺とは
岡寺は、奈良県明日香村にある真言宗豊山派の寺院です。天智天皇2年(633年)、義淵僧正(ぎえんそうじょう)が草壁皇子の宮殿の岡宮をもらい受けて創建したため、このように呼ばれていますが、正式には龍蓋寺(りゅうがいじ)という名称だそうです。
ご本尊の如意輪観音は、厄除けの観音様として古くから信仰を集めており、現在でも厄年にあたる人、家内安全や病気平癒などを願う人々が日々訪れています。
境内では、春にはシャクナゲやボタンの花が咲き誇り、秋になると紅葉を楽しめることから、花の名所としても知られています。またこれらの花や紅葉が見頃を迎える季節には、多くの人でにぎわいます。
境内を散策しよう
仁王門
仁王門は、寺院などの入口に建てられている門で、正面両脇に仁王像が安置されています。ここ岡寺のものは、慶長17年(1612年)に建てられたもので、国の重要文化財にも指定されています。門の四隅には、左右の獅子、龍、虎が彫られていますが、これは大変珍しい形態だそうです。
本堂
本堂は、ご本尊をお祀りしている岡寺の中心的建造物です。現在のものは、文化2年(1805年)に上棟されたもので、すべての完成までに30年ほどかかったことが分かっています。
こちらに鎮座しているご本尊の如意輪観音は、弘法大師が日本・中国・インドの3つの国の土で造ったと言い伝えられているもので、高さは4.85メートルもあります。これは、塑像(そぞう)と呼ばれる土の仏像の中では、日本最大となるそうで、重要文化財にも指定されています。
楼門
楼門は、本堂左側の書院前にある建造物です。慶長年間(1596年~1615年)頃の建立と考えられており、奈良県の指定文化財となっています。かつては内部に鐘を吊るした鐘楼門であったそうです。また過去の写真等から、2階部分には現在本堂で陳列されている兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)が祀られていたことも分かっています。
鐘楼堂(しょうろうどう)
本堂のそばにある鐘楼堂は、釣鐘がかけられている建物です。建立時期は不明ですが、釣鐘に文化5年(1808年)と刻まれていることから、本堂と同時期の建立と考えられています。厄除けの鐘として親しまれており、参拝者がつく姿が年中見られます。
三重宝塔
三重宝塔は、境内の南西の丘にある三重塔です。岡寺の三重塔は、古くから東側の旧境内地に建っていましたが、文明4年(1472年)に強風によって倒壊しました。翌年より再建に取り組みますが、完成せず解体転用され、その後も長い間復興されませんでした。
しかし、昭和59年に弘法大師の1150年遠忌をきっかけに復興することとなり、昭和61年に再建。その後、扉絵、壁画、琴の作成に着手し、平成13年に完成しました。
奥之院
本堂東側には、奥之院へと続く参道があります。小さな谷に沿った道を歩き、山中へと進んで行きましょう。
途中には、十三重石塔や井戸があります。こちらの井戸は「瑠璃井」と呼ばれ、古くから弘法大師ゆかりの厄除けの水として知られています。残念ながら飲むことはできませんが、現在でも清らかな水が湧き出ています。
鎮守社の稲荷明神社の前を通り、谷を渡って階段を少し登ると、奥之院石窟があわられます。この石窟の内部には、弥勒菩薩(みろくぼさつ)が祀られています。少々狭いですが、中に入ってこの石仏を見ることもできますよ。