今回の相談者は、妊娠発覚をきっかけに急にこれからのお金のことが不安になってきたというKさん(夫)とYさん(妻)です。2人はともに35歳、5年前に職場結婚して一緒に住み始め、Yさんは妊娠4ヵ月を迎えていました。

今の貯金額は2人合わせても20万円弱。2人とも「さすがにこれでは心もとない」と感じているものの、どうすればいいのかがわからないというお悩みでした。

共働きでもお金が貯まらない家庭は意外と多い

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もともと2人ともお金に無頓着なタイプで、共働きで2人暮らしには充分な収入があったこともあり、今まで特に節約を意識することなく過ごしてこられたそうです。

「共働きなら、2人で働くから1人だけ働くよりもお金が貯まりやすいだろう」と思うのが普通ですが、
実際はそうとも限りません。切羽詰まっていないぶん、お互いに相手の支出や貯金額に対して気に掛けず、普段なんとなく「相手が貯金しているだろう」とか「なんとかなるだろう」と思っていて、あとで実態を知ったときには想定外にまずい状況になっているということがあります。

KさんとYさんの家庭ではこれまで「入ってきた金額はほぼ使って残らない」ということが多かったようです。産休や育休に入れば収入がダウンするでしょうし、支出には子どもの生活費も新たに追加されます。今までと同じような生活をしてはすぐに赤字になり、20万円の貯金も底を尽きてしまうかもしれません。

まずは子育てに「かかるお金」と「もらえるお金」を知っておこう

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漠然と「お金、足りないかも」とだけ感じている状態では、余計に不安が募ります。KさんとYさんの場合はまず、今後の出産や育児に関するお金についてざっくり把握することから始めましょう。

妊娠・出産にかかるお金ともらえるお金

  • 妊婦検診費用……母子手帳と一緒に自治体の検査費チケット(10万円分程度)がもらえることがほとんどです。ただし、それでもまかないきれず出産までに10万円近い程度の自己負担が発生することも。
  • 出産費用……基本的に出産育児一時金として42万円がもらえますが、中にはそれ以上の出産費用がかかる病院もあり、超えた分は原則自己負担になります。出産予定の病院の相場を確認しておきましょう。
  • 産休を取ったら……出産手当金として、出産予定日以前42日~出産の翌日以後56日までの98日間の範囲で、お給料の3分の2程度が受け取れます。(双子など多胎妊娠はさらに対象期間が長くなります。)
  • 育休を取ったら……育児休業給付金として、育児休業開始から180日まではお給料の67%、180日以降はお給料の50%が受け取れます。 そのほか、各市町村が独自で支援策を用意していることもあります。手分けして調べてみましょう。
    おむつなど新たに赤ちゃんのために必要になる生活費は、月1万円程度ということが多いようです。

    育児にかかるお金ともらえるお金

    教育費は、子どもの進路にもよりますが1人あたり1,000万円~2,000万円とも言われています。妊娠中の今から、中学生あたりまでが特に貯金の頑張り時です。高校からは児童手当もなくなり食費や交遊費もかさみますし、大学入学となると入学金や授業料だけで年間百万円単位で飛んでいきます。

    目的と目標が明確だと貯金もはかどります。目的はすでに「子どものため」と定まっているので、あとはいつ頃までにいくらくらいの貯金を目指すべきなのか、2人で話し合って具体的な数字に落とし込みましょう。そのうえで、それをクリアするには何をどのくらい削ってどんなペースで貯めていけばいいのか考えていくといいですよ。