コーヒーの「銘柄」ってみなさんも目にしたことありますよね? 銘柄といえばお酒やタバコ、ひいては株まで、それぞれの所属するブランドのことを指しますが、コーヒーにおいてはその呼び方には様々なルールが。それぞれの大まかな特徴と読み方などをご紹介します。
国名のみが銘柄名になっているもの
単一の産地のみで生産されているコーヒーのユニークさを楽しむシングルオリジン(ストレートコーヒー)が身近な存在になって久しいですが、細かな産地のみは明記せずに「ブラジル」や「エチオピア」と国名のみを銘柄として販売しているお店は多くあります。
このようなコーヒー豆は普及品のグレードであることが多いようです。ただし、単一の地方や農場の生産なのにただ記載をしていないだけというお店もありますので、気になる方はお店の方に聞いてみると良いでしょう。
生産地方・農場の名前が付いているもの
「エチオピア シダモ」や「ケニア キリニャガ」といった記載がされている場合、国名の後の単語は地方や農場の名前であることが多いです。地方の名前なのか、農場の名前なのか、生産組合の名前なのかはお店の人に聞いてみないとなかなか判断がつきませんが……。
またよく目にするケースとして「イルガチェフ」や「イルガチェフェ」など、そのカフェに生豆を卸している業者によって産地の表記方法が異なることも。イントネーションの問題ですので、どちらが正解というものではありません。
グレード名が付いているもの
国や地方の慣例によって、コーヒー豆にグレードをつけて品質評価を行っていることがあります。これら評価方法は国によってまちまちで、味の評価に直結する指標ではありません。
例えばグアテマラやコスタリカでは、極めて高い高度で生産された豆に対して「SHB(ストリクトリー・ハード・ビーン)」というグレード名を付けていますが、メキシコでは「SHG(ストリクトリー・ハイ・グロウン)」という呼び名が付けられます。
一方コスタリカやケニアでは豆の大きさでグレードが存在し、最上級とされる豆はそれぞれ「スプレモ」「AA」となどと呼ばれます。これが国名や地方と合わさって「グアテマラSHB」とか「ケニアAA」とかと呼ばれることになるのです。
じゃあ、有名なブルーマウンテンとかキリマンジャロって?
コーヒー好き以外の人に浸透しているほど有名な通称「キリマン」「ブルマン」。国名のわからないこの名前は一体なんなのかと疑問に思った方も多いはず。実はこれらは生産地方がブランド名として付けられた銘柄なのです。
キリマンジャロはタンザニアの名峰であり、ブルーマウンテンはジャマイカのブルーマウンテン地方で生産されていることに由来します。
なぜ近年まで単一農園のシングルオリジンがそれほど一般的ではなかったのに、これらのブランド名だけこれほど有名なのでしょうか。おそらく、日本でまだストレートコーヒーが浸透していない時代にこれらの豆は最高級品として紹介され、一部のコーヒーファンに神格化された名残と言えるでしょう。現在でもこのブランドは強力で、驚くような値段で取引されている豆もあります。