南青山にある、フラワーショップ併設のカフェ「Nicolai Bergmann Nomu」。2010年12月にオープンし、“フルーツタルト”などの見た目が美しい料理・デザートがSNSで話題となりました。また、オーナーのNicolai Bergmann(ニコライ・バーグマン)氏のフラワーデザインに囲まれて食事を楽しみたい!という女性にも大人気のお店です。
今回は、Nicolai Bergmann Nomuの背景や特徴とオーナーであるNicolai Bergmann氏のこと、さらにチーフを務める中井慎二さんに働くうえでの魅力や未来の展望まで幅広く伺いました。
Nicolai Bergmann氏プロデュース!北欧をテーマにした美しすぎるカフェ
——まずは、同席いただいているPRのご担当の方にお聞きしますが「Nicolai Bergmann Nomu」がオープンした経緯を教えてください。
「Nicolai Bergmann Nomu」は、オーナーのNicolai Bergmann氏がフラワーショップのフラッグシップストアをオープンする際に店内のスペースが広かったことから、「半分をカフェにしよう」と考えたのがカフェを併設することになったきっかけです。その理由は、「花をオーダーして待っている間にお茶を楽しんで欲しい」、「花に触れる機会が少ない方にもっと魅力を知ってもらいたい」という想いからカフェの併設を決断したそうです。
また、母国デンマークのことを日本の人たちに知ってもらえる場所を作りたいという想いもありました。そのため、扱っているフードはデンマークでよく食べられている物ばかりですし、家具や食器などもほとんどがデンマークブランドを使用しています。
例えば、食器はロイヤル・コペンハーゲン、カトラリーはジョージ・ジェンセン、照明はルイス・ポールセンといったように、店内の隅々まで世界観を作りこんでいます。オーナーが大切にしている「花」と「デンマーク」がお店の大きなコンセプトになっています。
——Nicolai Bergmannさんは、なぜ日本を拠点にしたのですか?
元々、鉢物の卸売を行っていたお父様の影響を受けてデンマークの花屋さんで修行していたオーナーは、卒業旅行で日本に3か月間滞在したことがあり、その際も修行を兼ねて花屋さんでアルバイトをしていたそうです。その後デンマークに戻ったのですが、日本のフラワーカルチャーや東京という大都市、日本の伝統文化に魅了され、20代で日本へ移住することを決めました。もうかれこれ20年以上こちらに住んでいるため、日本語もペラペラで初めて会う方はたいてい驚きますね。
オーナーのフラワーデザインは北欧と和の融合がコンセプトになっています。北欧スタイルの特徴は、360度どこから見ても美しく見せるためにデザインされていること。そこに、「和」の要素として日本に生息している木の枝や実、コケなどを取り入れています。日本文化をとてもリスペクトしているので、素材だけでなく器も日本の伝統工芸品をよく使っています。
——日本でも、とても有名なフラワーアーティストですよね。
オーナーが日本で有名になったきっかけは、自身が考案した「フラワーボックス」です。今は新しいフラワーギフトの形として定着していますが、当時あまり見かけなかった、“アレンジメントやブーケを店内に飾る”というスタイルの完成された商品を常にディスプレイする、フラワーショップの先駆けでもあります。それまでの一般的なお花屋さんは、ガラス張りの冷蔵庫で種類ごとに花々を保管していました。
それに対してNicolai Bergmann氏は、「デザインが完成された商品で買ってもらいたい」という想いから、売れ行きに関係なく毎日アレンジメントやブーケを店頭に並べ始めました。当時、花は動機がないと買わないものでしたが、オーナーのスタイルが浸透したことで、「何もないけど花を買ってみよう」「この空間づくりを真似したいから自分のために買おう」というように、より生活に馴染む存在になりました。
——お店の内装やディスプレイは、定期的に入れ替えていますか?
バレンタインや母の日・クリスマスなど、季節やイベントごとに変えています。実は店内の装飾はオーナーがコーディネートしていて、定期的にディスプレイや壁のデザインを変更することで、何度来ても楽しい店になるよう、こだわっています。例えば、秋は紅葉・クリスマスはツリーやリースなど、季節を楽しんでいただく工夫もしています。
もちろん、花もフラワーショップのスタッフが毎日メンテナンスしていて、いつでもベストの状態を保つように心がけています。ちなみに、スタッフの服の色を黒で統一しているのも、お花を映えさせるために考えたオーナーのこだわりです。
——オーナーは、よくお店に来るのですか?
オフィスが併設されているので、日本にいるときはよく来ます。その際に、お店のコンセプトが崩れていないか、内装の様子はどうかなどを定期的にチェックしつつ、アドバイスもくれます。内装のプロデュースはオーナーが行っているので、シーズンの切り替わりなどに打ち合わせもしています。フレッシュジュースの「AOYAMA AFFAIR」が好きでよくオーダーされています。カフェスタッフたちに対してもフランクに接してくれる、とても気さくな方です。
大切にしているこだわりは “ サプライズ感 ”
中井慎二 Nakai Shinji
Nicolai Bergmann Nomu チーフ(34歳 )
大学を卒業後、カフェに就職をしていたが、4年前に転職を機に東京の南青山で「Nicolai Bergmann Nomu」と出会う。フラワーショップとカフェが併設されていることに驚きと感動を感じ、偶然発見した求人を見て応募。
——それでは、中井さんにお話をお伺いします。お店の定番メニューから教えてください。
ドリンクメニューの中では、オーダーしてから作るフレッシュジュースやスムージーが人気です。フードメニューではオープン当時から“スモーブロー“というデンマークで愛されている料理が人気です。ライ麦パンに食材を盛り付けるオープンサンドで手軽なメニューですが、オーナーが、素材やデコレーションにもこだわり、フラワーデザインのように美しく仕上げられています。
なぜ定番メニューが親しまれ続けているかというと、具材からライブレットまですべて手作りであることや、旬な食材を用いた期間限定メニューを取り入れることで、リピーターのお客様であっても違った味わいや美しさを楽しめるからです。
“スモーブロー”には、オーナーが大切にしている“サプライズ感”というコンセプトが込められています。そこが、フラワーデザインと料理のデコレーションにおける共通点といえますね。他にも“フルーツタルト”や“フルーツサラダ”も、見た目が美しいため人気のメニューです。
——料理もNicolai氏が、プロデュースしているのですね。
基本的には、北欧料理というコンセプトからブレないように、キッチンスタッフのアイデアも取り入れながらメニューを開発しています。ある程度、完成したところでオーナーにも試食してもらって、納得がいったものを商品化しています。そのため、新商品を企画するごとに試食会が開かれています。
——食材に関しても、こだわりはありますか?
食材は、できる限りナチュラルな食材を使用するようにしています。ドリンクメニューに関しては、ドリップコーヒーの豆をオーナーに組み合わせてもらい、エスプレッソは、清澄白河にあるオールプレス・エスプレッソから仕入れています。
紅茶は、デンマーク王室御用達のA.Cパークスから仕入れた茶葉を使用して、デンマークのコンセプトに合わせて提供しています。
——さまざまな面で、他店と差別化を図っているのですね。
食材もですが、他店との一番の違いは、やはり日本にいてデンマークを感じられる空間であることです。ここにもオーナーのこだわり、母国への想いが詰まっていると思います。他にも、スイーツがデンマークらしくボリュ―ムがありホームメイドな味わいも他にはない『Nomu』らしさだと思います。Instagramなどの写真を見てからご来店されるお客様が、本物の大きさにびっくりしていることもありますよ。
——フードやドリンクの写真を見てご来店するお客様もいるのですね。
SNSがなかった時代は、お客様個人の思い出として綺麗な料理やデザート、内装を写真に撮って帰るケースが主流でした。その後、スマホを使った情報のシェアが広がり、“インスタ映え”などが流行する時代になると、SNSにアップされている写真を持ってきて、「この商品をください!」とご注文される方も多くなりました。特に“フルーツタルト”の写真を撮るお客様が多く、皆さんに宣伝していただいたおかげで、たくさんの方にご注文いただきました。コロナ以前は朝から行列で、20組待ちの時もあったので、とてもありがたかったです。
スタッフには“自分の好きなこと”“やりたいこと”を伸ばして欲しい
——「Nicolai Bergmann Nomu」で働く魅力を教えてください。
やはり、お店のディスプレイや壁のデザインをシーズンごとに変更しているので、働く側としてもいつも新鮮な気持ちで仕事ができる空間だと思います。リピートしてくださるお客様が、毎回違う店内にビックリしている表情を見ることができるのも、私たちにとってやりがいに繋がっています。また、一人ひとりがさまざまなことにチャレンジできる機会が多いところも魅力のひとつです。
ワーク・ライフ・バランスの観点でいうと、飲食などのサービス業では珍しいくらいお休みをしっかりとれるところも魅力です。有給休暇もしっかり取れますし、オーナーがデンマーク出身ということもあり、夏休みなどの長期休みも大切にしています。このような働きやすい部分が多いので、スタッフの定着率も良く、長く働く方が多いのだと思います。
——いま働いている仲間たちはどんな方ですか?
現在のスタッフ数は、ホールに約10名、キッチン4名の計14名ほどでお客様をお迎えしています。私と同じくカフェで働いていた方もいますが、未経験からスタートしたスタッフもいます。みんなに共通していることは、お花が好きだったり、コーヒーに詳しかったりと、Nomuのコンセプトに関連した興味やこだわりをもっていることです。そのため、一人ひとりが自分の得意分野や好きなことを活かして働いている姿が印象的です。オーナーが最終的な判断をしますが、「どんどん発案して、みんなでいいお店を創っていこう」という想いを持っているスタッフが大半だと思います。
——中井チーフが働き始めた当初は、育成プログラムはあったのですか?
私がここに入った当初は、店長もいなくて、スタッフも海外から来た方が多かったです。そういう職場で働くのが初めてだったので、すべて手探りでした。現在は育成にも力を入れていますが、“自信を持って働いてほしい”“自分のやりたいことや好きなことを伸ばしてほしい”というメッセージを日々伝えています。20代前半のスタッフが多いので、自分の過去の教訓から「一人ひとりのやりたいことを聞いて、伸ばしてあげたい」と思っています。
——チーフ自身は、サポート役に徹しているのですね。
チーフという立場にいますが、実は商品を考えることがあまり得意ではありません。そのため、スタッフ自身のやりたいことやアイデアを出すサポートをして、生まれた案がお店の方向性と間違っていないかをチェックしています。また、スタッフとは定期的に面談も行っていますし、夜の落ちついた時間に個々の要望や意見を聞くようにしています。そこから新しい企画の実現に向けて協力し合うことを通じて、スタッフの“好き”や“得意”を伸ばしていけるようにサポートしています。
——新たな仲間を採用する際に大切にしていることはありますか?
現在、女性スタッフが多いですが、男女共に活躍できるカフェにしたいですね。今はコロナ禍ということもあり減っていますが、海外から来るお客様も多いので、英語などの語学が活かせるシーンも沢山あります。求める人物像としては、明るい接客が出来て、コミュニケーションがしっかり取れる方であればどなたでも歓迎したいと考えています。難しい仕事が多いわけではないので、カフェスタッフの経験がなくても全く問題ありません。実際、未経験から始めたスタッフも沢山いますよ。