機内でも踏んだり蹴ったり

 制服のサイズアップ計画が失敗に終わると、今度は機内でも悲劇が! 悪いことは続くものです。

 その日は出発便のゲート業務に入っていて、ほとんどのお客様の搭乗が終わりホッと一息ついた頃のことでした。そろそろドアクローズだ、というときです。

“太ってはいけない”空港スタッフ女性の苦労「制服のサイズ交換もNGだった」
(画像=『女子SPA!』より引用)

シップサイド(飛行機に乗る手前の位置)にスタンバイしているグランドスタッフからのヘルプ要請で機内に呼ばれると、お客様と客室乗務員がもめているではありませんか。聞くと、自分の座席の真上のオーバーヘッドビンにスペースがなく、荷物が後方に置かれることに納得がいっていない様子。

 3-3の座席配列の、大きいとは言えない機内ではよくあることです。

 通路に立ち、お客様と話しをしていると……。

別のお客様「ちょっと、狭いよ。通れないよ」

私「申し訳ございません(身体を座席に寄せて避ける)」

別のお客様「だから、狭いって」

私「(これも太ったからだ)」

「あなたちょっと太ってるわね」客室乗務員「あなたちょっと太ってるわね。こっちに避けて」

私「え?(今、太ってるって耳打ちした?)」

 それを見ていた例のお客様。座席にスッと腰を下ろし、私のはち切れんばかりの上着のボタンを切ない顔でじっくりと眺めてから。

例のお客様「ごめんね、困らせて。荷物のことはいいから、早く戻りなよ」

 こんな問題解決の仕方って……! いや、結果として定刻運航できたから良かったんだけどプライドはズタズタです。

 この一件、いや二件?がそうさせたのか、食欲は徐々に落ち着いていき体型がすっかり戻ったのは1か月後のことでした。

 在職中に太ったのは後にも先にもこのときだけ。当時の写真は今も大事にとってあります。一生誰にも見せないけれど。

―グランドスタッフの裏話 VOL42―

<文/高木沙織> 高木沙織 美容ライター/ヨガインストラクター/ビューティーフードアドバイザー/スーパーフードマイスター。多角的に美容・健康をサポートする活動を行っている。過去には『AneCan』『Oggi』の読者モデル、ファッションモデル、ナレーター等も経験。Instagram:@saori_takagi

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