おすすめの春の俳句《恋》
感情や思いをしたためる「俳句」と「恋」は、とても相性が良いと言われています。片思いの心情を込めた切ないものや、恋焦がれる気持ちを表したものまで、比喩表現が美しく魅力的な俳句ばかりです。
俳句に難しいイメージがあっても、恋を題材にした俳句は感情移入しやすく、身近に感じられるものが多いですよね。恋心を詠んだ、心に沁み込むような俳句に思いをはせ、うっとりとその世界に浸ってみましょう。
俳人たちのように、複雑な恋心を17文字で表現できたらかっこいいですよね。
女性のナチュラルな美しさ
春の野に 心ある人の 素顔かな
斯波園女(しばそのめ)
江戸時代の女流俳人、斯波園女のおすすめの俳句です。季語は「春の野」で美しく着飾り、お化粧した女性たちの姿が描かれています。中でも、「心ある人(教養や品位のある人)」が素顔でいるところを見て、ナチュラルな美しさに心惹かれたのですね。
春色の着物を身にまとう、清楚なお顔立ちが美しい女性の姿が浮かんできます。園女は「伊勢の小町」と称されるほどの美人で、人格も賞される俳人だったそうです。俳句からは、そんな美しい心を感じられますね。
雨の日のしっとりとした恋の俳句
春雨の 衣桁に重し 恋衣
高浜虚子(たかはまきょし)
高浜虚子の、恋心を詠んだ俳句です。季語は「春雨」で、「衣桁(いこう)」とは、室内で衣類などを掛けておくための道具です。春の日、戸外では止みそうにない春雨が降り続いていて、衣桁には恋する人の「恋衣」が掛かっています。
衣桁に掛かっている衣の重さと、恋心の大きさという2つの意味を掛け合わせた、比喩表現が美しいおすすめの俳句です。雨の日のしっとりとした雰囲気にもぴったり合っていますよね。
力強い愛のメッセージ
鞦韆(しゅうせん)は 漕ぐべし愛は 奪ふべし
三橋鷹女(みつはしたかじょ)
昭和に活躍した女流俳人、三橋鷹女による情念豊かな俳句です。季語は「鞦韆」で、鞦韆とは、公園などにある遊具「ぶらんこ」を表しています。中国から伝わったぶらんこは、もともとは春の遊具として大人たちが楽しむものであったそうです。
衣を翻してこぐ様子から、艶やかな情景を表す季語として使用されていました。「ブランコはこぐもの、そして愛は奪うもの」という、強いメッセージが込められたおすすめの俳句です。
早春の情景と危うい恋心
会いたくて 逢いたくて踏む 薄氷
黛まどか(まゆずみまどか)
現代を代表する女性俳人の、黛まどかによるおすすめの俳句です。季語は「薄氷」で、まだ肌寒さの残る早春、そして溶けやすい氷の儚いイメージを与えます。
「薄氷を踏む」という表現からは危うげな状況や、「許されない恋心を抱きつつ思い人に会いに行く」といった情景が浮かびます。「会う」と「逢う」という二つの言葉を重ねている点からは、思いの強さや勢いを感じますね。あえて薄氷を踏むという、決意も感じられるような一句です。
猫に例えた面白い表現
恋猫の 恋する猫で 押し通す
永田耕衣(ながたこうい)
昭和から平成時代の俳人、永田耕衣によるユーモアのある一句です。季語は「恋猫」で、仕事や勉強に忙しい自分と、メスを探しまわる猫を比べ「自分も猫のようにひたすら貪欲に恋ができたらなぁ」と詠んでいる恋の俳句です。
「恋猫」という季語を繰り返すことで、俳句全体に心地よいリズム感があり、季語自体を詠んだユーモラスな表現が魅力的。春に戸外から猫の鳴き声が聞こえたら、この俳句を思い出しますね。
おすすめの春の俳句のまとめ
今回は情緒あふれる、おすすめの春の俳句をご紹介しました。短い言葉の中には、俳人たちの豊かな感情や思いが感じられ、日本語特有の美しさに魅了されますね。
同じテーマを詠んでいても、男女で表現の仕方が異なる点も、俳句の面白いところ。魅力ある俳句の数々からは、鮮やかな色彩や、ユーモアも感じられますね。有名な俳人たちのように、旅先で感じたことを題材に俳句をしたためるのも良いですね。
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