今こそバブル時代に学ぼう。新型コロナの経験を無駄にしないために
(画像=『さくマガ』より引用)

後世に伝わるバブルのイメージ

僕にとって、バブルとは華やかでエロティックな大人の世界、アホやバカでもそれなりにお金が稼げる楽な世の中である。夢である。憧れである。最高である。だから、そういう時代を生きてきた人からは「バリバリ働いたから、成功できた!」という、頑張ったから結果が出せたという原因と結果が明確な、クソ面白くない当たり前の話を聞きたくなかった。

「何もしなくても稼げる良い時代だった。」「俺バカだけど喫茶店でコーヒー飲んでいればガンガン契約を取れたよ」というバカによるバカのためのバカな夢物語を語ってほしかったのだ。

でも、夢を語る先輩はいなかった。「俺たちはやった」というクソつまらない話ばかりであった。転職をした先でも、得意先でも、バブルを生きた人たちの感想はどれも武勇伝ばかりで、似たり寄ったりだった。

今でもときどき考える。なぜ、《バカがバカなことばかりやってバカみたいに稼げた》という素晴らしい夢物語を先輩たちは話してくれなかったのだろう?と。自分をバカと認めて後輩に話をすることは難しいからだろうか。

でも、努力!根性!気合!といった精神論に立脚した、低質な仕事の方法しか教えられない時点で、「この人たいしたことない…。もしかして仕事できない人ではないの?」とバカぶりに僕らは気付いていたし、そのうえ、パワハラまがいの厳しいことばかりを言ってきてウザがられていたのだから、彼らにとっても利はなかったはずである。

こうやって、バブルは、僕が深夜番組を通じて知ったような、「無意味に景気がよく、バカ騒ぎしていた時代」という大きなイメージが後世に伝わっていく。僕の先輩のように、たいしたことのない人もいれば、バリバリの人もいた。バブルという強烈な光で、その下にあるものが影になって見えない。

僕はバブルの直後にいた世代だけれども、強烈なバブルの印象だけが残像で残ってしまった。あの時代を生きた人たちの多くは(僕の親もそうだが)、お立ち台で踊り狂っていた自分を顧みていない。総括をしていないのだ。失われた30年と言われるけれども、こういう見栄によって失われてしまったものは案外大きいと僕は考えている。

雑なまとめかたではなく「総括」を

何が言いたいのかというと、皆には、特に僕よりも若い人たちには、新型コロナで混乱している今の時代のことを、新型コロナという強いワードでくくらずに総括してほしいということだ。

何年か経って、「ソーシャルディスタンスとかマスク会食とかバカみたいだったねー」と笑いながら、「まあ新型コロナだから」と雑なまとめかたをしないでほしいのだ。

アフターコロナとかコロナ前/後という言葉で語られるようになると思う。そうやって雑に総括せずに、ありのままを語れるようにして、バブルを笑うことで無駄にしてしまったように、新型コロナ時代を思い出したくない時代にして忘れないようにしてもらいたい。

この文章は働いている人向けに書いているけれども、「新型コロナをきっかけに多くの人が新しい働き方に移行した」と雑に語るのではなく、生の経験を後輩に話をしてもらいたいと思う。何十年か経ったら、マスク警察や自粛警察といった今の時代のイヤな部分は忘れられるか、笑い話にされてしまうが、本当に醜悪な人間の行動であったということを語っていくことが、この時代を空白にしないことになる。

コロナをバブルのようにしない。コロナの時代であっても、まったくの暗黒時代ではなく良かったことも明るいこともあったことは伝えていく。

明るい時代に暗い部分、暗い時代に明るい部分を見つけていけるようになれば、人生100年時代であっても楽しく働きながら生きていけると僕は思うのだ。


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