世界でも有数の山岳観光ルート、立山黒部アルペンルート。季節によって、いろいろな楽しみ方がありますが、今回は紅葉を楽しみながら、長野県側で前泊し、富山県側に通り抜ける一泊二日のモデルコースをご紹介します。

立山黒部アルペンルートとは

北アルプスを貫き、長野県と富山県を結ぶ「立山黒部アルペンルート」。「山岳観光ルート」と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、標高3,000メートル級の山々が連なる登山者憧れの「北アルプス」をケーブルカー、ロープーウェイ、 トロリーバスなどを乗り継ぎながら、誰でもラクラク通り抜けすることができるルートなんです。

1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)

秋旅がおすすめ!

除雪によってできた巨大な雪の壁「雪の大谷(ゆきのおおたに)」が楽しめる春、下界の暑さを忘れて新緑と高山植物の絶景を堪能できる夏も魅力的ですが、筆者がお勧めしたいのは「秋旅」です。

1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=PIXTA トリップノートより引用)
1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=PIXTA トリップノートより引用)

紅葉は、その年の気候によって早くなったり、遅くなったりしますよね。早々と旅行の計画を立て、「さて明日!」となった時に、「まだ早すぎる」とか「もう紅葉終わっちゃった」なんてこともありがちですが、「立山黒部アルペンルート」は麓から山頂までの標高差が2,000メートル以上あり、9月中旬から11月上旬まで、どこかしらで紅葉が楽しめます。

1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)

それでは早速、モデルコースをご紹介していきましょう。

大町温泉郷で前泊

混雑を避けて通り抜けするためには、アルペンルート長野県側の起点である「扇沢」出発は早ければ早いほどいいので、通り抜けの前日に大町温泉郷に泊まります。

公共交通機関を利用する場合、名古屋以西からは、まず新幹線で名古屋へ行き、「特急ワイドビューしなの」(約2時間)で松本へ、松本から信濃大町へはJR大糸線(約55分)、信濃大町で路線バスに乗り換えて大町温泉郷に向かいます。

東京以東からは、新幹線で長野へ、長野駅東口から扇沢行き特急バス(約1時間15分)で大町温泉郷に向かうのが速いですが、長野から「特急ワイドビューしなの」(約50分)で松本に出て、JR大糸線に乗ることもできます。

1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)
1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)

左の写真がJR信濃大町駅。「大町温泉郷行き」のバスは出口を出て左側にあります。温泉郷には宿以外の飲食店はあまりないので、ランチは温泉郷に着くまでに済ませ、夕食は宿泊先で、というようにするのがいいでしょう。

大町温泉郷には、約20軒の宿があります。鹿島川沿いや、シラカバ、カラマツ林を抜ける散歩道があり、観光地というより、のんびりゆったりできる温泉地です。

翌朝は9時半までに出発!荷物は手荷物回送が便利

アルペンルートは乗り継ぎがたくさんありますが、スムースに移動できるような時刻表になっています。

扇沢からの電気バスは朝10時以降、混雑しますから、大町温泉郷からは以下のバスのどれかに乗ることをお勧めします。

扇沢行きバス・大町温泉郷 出発時刻
7:23、8:13、9:13(9/1〜11/3の土日には8:43もあり)
※繁忙期(4/15〜11/3の毎日)には6:28発、超繁忙期(秋は9/19〜21、10/10のみ)には5:51発
もあり

手荷物が多い人は手荷物回送サービスを利用しましょう。朝8時半までにホテルのフロントに預ければ、下の受け取り場所(料金)のうち、指定の場所で受け取ることができます。

  • 宇奈月温泉、富山市内ホテル、富山電鉄・電鉄富山駅(1,500円)
  • 立山総合案内センター、立山山麓ホテル(1,800円)
  • ホテル立山、阿弥陀ヶ原ホテル(2,000円)

扇沢から【電気バス】で黒部ダムへ

下の写真は、ゆっくりして9時13分のバスに乗った時の様子です。扇沢駅には9時40分に到着です。切符を持っていない人は、一階の入口の左にある切符売り場で切符を手に入れて、二階改札口に行きましょう。黒部ダムへの電気バスは10時出発なので、時間的には十分余裕があります。

1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)
1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)

ご覧のように駐車場はまだガラガラ状態ですが、ツアーバスなどで来た観光客がかなりいて、改札口はこのぐらいの混雑具合でした。扇沢から黒部ダムまでの所要時間は16分です。

電気バス・扇沢 出発時刻
始発8:30、繁忙期(4/15〜11/3の毎日)には7:30、8:00の便もあり。その後、30分毎に1便
※超繁忙期(秋は9/19〜21、10/10のみ運行)には6:30、7:00の便もあり

アルペンルート・ウンチク話

この電気バス、正式名は「関電トンネル電気バス」と言います。ご存知の方も多いかと思いますが、第二次大戦以降の復興期に、関西地方の電力不足を補うために、黒部渓谷にダムを造り、水力発電を行うことにしました。

1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=commons.wikimedia.org トリップノートより引用)
1日で立山黒部アルペンルートを通り抜けるモデルコース!紅葉シーズンにもおすすめ
(画像=Booboo56 トリップノートより引用)

この電気バスは、発電所建設の資材を運ぶために作られたトンネル内を走っています。以前は電車のように屋根に取り付けられたパンタグラフから電気を取り入れて走る「トロリーバス」でしたが、2019年からは電気バスに替わりました。国立公園内にある交通機関ということで、CO2を排出しない「環境と地球に優しいバス」が運行されているんだそうです。

しばらく行くとトンネル内に「破砕帯」の表示が青く浮かび上がります。この「はさいたい」というのは、岩盤の中で岩が細かく砕け、地下水を大量に溜め込んだ土壌のことで、たった80メートルのこの破砕帯を掘り進むのに、なんと7か月もの月日を費やすほどの難工事だったんだそうです。