コーヒーの廃棄物はこれまで再利用が難しいとされ、焼却処分もしくは埋め立て地に捨てられてきました。しかし、科学技術が発展したおかげで新たな活路を見出しつつあるようです。そこで本記事では、コーヒーの廃棄物の再利用法の一例として、コロンビアで生まれたコーヒー豆の殻からできた住宅をご紹介します。
コーヒーの廃棄物の再利用が必要な理由は?
そもそも、なぜコーヒーの廃棄物を再利用しなければならないのでしょうか? 主な2つの理由をご紹介します。
コーヒーの廃棄物が地球温暖化をもたらす
世界中で排出されたコーヒー豆の殻やコーヒーかすの多くは、再利用されることなく埋め立て地に捨てられています。コーヒーが生産されてから消費されるまでに生まれる廃棄物の量は、年間2,300万トンにもなるのだそう。埋め立て地に捨てられたコーヒーの廃棄物は、温室効果ガスであるメタンガスを生成して地球温暖化をもたらすため、再利用法を探さなければなりません。
世界で増え続けるコーヒー消費量
国際コーヒー機関の統計によると、2018年度の日本のコーヒー消費量は約47万トンでした。コーヒーの消費量は日本だけではなく、世界規模で増加しています。アメリカでは、なんと毎日4億カップものコーヒーが消費されているのだとか。このままコーヒー消費量が増え続けると、コーヒーから生まれる廃棄物の山をどう処理するのかが世界的に重大な課題になるでしょう。
コーヒーの廃棄物が住宅不足問題を救う?
近年深刻な住宅不足の問題に直面しているコロンビアですが、コーヒーの廃棄物が解決策になるかもしれません。
コーヒー大国コロンビアの住宅不足問題
コーヒーの栽培に適した土地を有するコロンビアは、世界第3位のコーヒー生産国です。豊かな自然に恵まれたコロンビアで栽培されているのはアラビカ種で、ブラジルとベトナムに次いで、コーヒーを日本に輸出している国でもあります。
農業が盛んな国コロンビアですが、近年住宅不足に悩まされているそうです。住宅価格と給与水準が釣り合っていない、世界的不況で銀行が融資を渋っているなど住宅不足になる原因はさまざまですが、コーヒーの廃棄物が住宅不足問題を解決する救世主になる可能性が見出されました。
コーヒーの廃棄物が魅力的な建築資材に変身
コロンビアは日本より3倍も広い国土を有する国ですが、豊かな自然が交通網の発達を阻害しています。そのため、都市部以外ではセメントやコンクリート、レンガなど従来の建築資材よりも、より軽量な建築資材が求められてきました。
そのような背景から、コロンビアの首都ボゴタを拠点にする建設会社「Woodpecker」は、再生プラスチックをはじめ、おがくずやヤシの葉などの天然素材から建築資材を開発しようと努力を重ねます。そうして長年の研究開発の末に入手可能性や耐火性、防虫性や防水性を考慮し、最終的にコーヒー豆の殻が選ばれました。
世界的なコーヒー生産国であるコロンビアでは、コーヒー焙煎時に発生するコーヒー豆の殻が大量に廃棄されています。通常、コーヒーを精製する過程でたくさんの廃棄物が生まれますが、コーヒー豆の殻もそれらの廃棄物同様、埋め立て地に廃棄されてきました。しかし、「Woodpecker」は、廃棄されるコーヒー豆の殻と再生プラスチックを組み合わせて新しい建築資材のパネルを開発することに成功します。