新興市場銘柄に投資する際の注意点とは

新興市場銘柄の場合、業績が大きく変化するタイミング、いわゆるビッグチェンジで株価が上昇する可能性が高い。ミクシィ <2121> のように、ビッグチェンジによって業績が激変することは新興市場銘柄の場合には少なくない。

成長性のある有望銘柄を見つけ、タイミングよく投資することができれば大きな利益を得ることができるため、新興市場に上場している企業の株式に投資したいと考える個人投資家も多いだろう。しかし、新興市場銘柄への投資は利益が大きい反面、リスクも高い。新興市場銘柄の株式に投資する時には一層の注意が必要になる。

上場企業が発行している株式数に株価を掛けたものが時価総額である。新興市場銘柄の場合、東証一部銘柄に比べると時価総額が低く、流動性が低くなりやすい。流動性の低い銘柄の場合、株式を取引する投資家が少ないため、流動性の高い銘柄に比べると、株価は上昇しやすく、下落しやすい。株価が一日で動く値幅は大きくなりやすく、乱高下をしがちである。

万一、決算発表で業績の下方修正が行われた場合、株式が高ければ高いほど割高だと判断され、株式を売却したいと考える投資家が増える。流動性が高い銘柄であれば、安いタイミングを狙って株式を買いたいと考える投資家も多く存在するため、売りたい時も、比較的株式をすぐに売ることができる。しかし、流動性が低い銘柄の場合には、売りたいと考える投資家に対して買いたいと考える投資家が圧倒的に少なくなりがちだ。そのため、株式をすぐにでも売りたいと考えても、売りたい投資家が圧倒的に多く、売るに売れないという事態が起こり得る。

ファーストリテイリング <9983> は2017年1月5日、12月の国内ユニクロ既存店売上高が前年比5%減少したことを発表した。業績への影響が懸念されて翌日は売り注文が殺到し、株価は5%ほど下落した。東証一部に上場している時価総額の大きい企業でも、株価は大幅に下落する。

流動性の低い企業は株式分割を行うことで、流動性を高めることができる。その姿勢が好感されて、株式を買いたいと考える人が増えて株価は上昇するわけだが、新興市場銘柄が株式分割の発表を行うと、買い注文が殺到し、株価が急騰するケースが散見される。ミクシィのように業績が伴っての株式分割であれば問題ない。しかし過去には、資金調達するために株式分割を頻繁に行う企業が現れ、業績如何に関わらず株式を分割するだけで株価が上昇する株式分割バブルが起こった。時価総額が大きくても株価は大幅に下落するのだから、株式分割バブルが弾けた時の、時価総額の低い銘柄の株価下落の凄まじさは想像に難くないだろう。

新興市場銘柄すべてが優良企業で、企業業績が順調に拡大するとは限らない。さらに、業績が良好な企業であっても、景気変動等によって、いつでも業績が悪化する可能性はある。新興市場銘柄に投資する場合には、業績の動向に常に注意して、株価上昇が業績に裏打ちされたものなのかを見極める努力をすることが大切になるだろう。

文・横山利香(CFTe、ファイナンシャル・プランナー)/ZUU online

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