年を取ると、ちょっと運動するだけで息が切れたり、近くの物が見えにくくなったりと、身体的な能力は衰えていきます。 逆に、“職人”と呼ばれる方の持つ技術は、年を取るにつれて(経験を重ねるにつれて)磨かれていくように思います。
では、「味覚」は、年を取るにつれて衰えるのでしょうか? あるいは、経験を重ねるにつれて磨かれていくものでしょうか?
ちょっとお腹がすいたな、っと思ってキッチンに行き、 冷蔵庫の前に立ったら、 あれ、何しに来たんだっけ? って思うこと、よくありますよね。
そして、その後にこう思うんです。 あー、年だから物覚えが悪くなっちゃってるなー、と。
でも、厳密には、“覚える力”が衰えている訳ではないってこと、知ってましたか?
記憶力は、次の3種類に分類することができるのですが、
- 覚える力(情報をインプットする力)
- インプットした情報を保存する力
- 保存した情報を取り出す力
年を取ると、3番目の、“情報を取り出す力”が衰えてしまうのです。
いや、衰える、というのは正確ではないのかもしれません。
年を取ると、重ねてきた経験により色々なことを覚えるので、脳に多くの情報が保存されます。 しかし、脳は、情報の整理が下手なので、 保存された情報が多ければ多いほど、うまく取り出しにくくなってしまうのです。
つまり、 物忘れをしてしまったときには、 あー、年だから物覚えが悪くなっちゃってるなー、と思うのではなく、 あー、これまでの人生、色々なことを覚えすぎてしまったな・・・ と、感傷に浸るのが正解なのでした。。
と、前置きはこのくらいにして、、、味覚は衰えるか?という話でしたね。
結論から言うと、年を取るほど、味覚は衰えます。
大阪府に住む若者(18~27歳)及び高齢者(65歳以上)計110名を対象とした実験によると、
五味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)のそれぞれにおいて、 若者の方が高齢者より味覚感度が高いことが確かめられました。
味覚が衰える原因としては、 年を取るにつれて、味蕾(みらい)の数が減少する、という説が有力です。