こんな人は相続対策に保険を選ぼう

4相続対策を保険で行うことで得られる7つのメリットを徹底解説
(画像=ohayou/stock.adobe.com,『UpU』より引用)

向いている人

上述してきたように生命保険金は納税資金として活用できます。そのため財産を継承させる相続人が納税に充分な資金を保有していないケースでは、相続税対策として生命保険という選択肢は積極的に考えていったほうがいいでしょう。非課税枠の利用も合わせれば節税の効果も相まり、納税する相続人にとってもメリットとなります。

また遺言などで複数いる相続人のうち、特定の人物に不動産や上場されていない自社株式などを取得させる場合、それらを取得する相続人は他の相続人に遺留分侵害額請求への対応としての代償金を支払うケースもあります。そうしたケースでも相続対策として保険の活用が有効です。

向いていない人

税制改正後も相続財産が基礎控除の範囲内に収まる人の場合、そもそも相続税の納付が発生しません。そのため相続税対策としての保険加入は不要です。また生命保険料を暦年贈与で贈与する方法は、すでに相続時精算課税制度の利用をしていた人の場合、同じ人からの贈与について暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできません。

ケーススタディ

5相続対策を保険で行うことで得られる7つのメリットを徹底解説
(画像=tamayura39/stock.adobe.com,『UpU』より引用)

以下のケースであてはめてみましょう。
(あくまで架空の事例です)

被相続人:夫(65歳)
相続人:妻(61歳)・長男(38歳)・二男(35歳)
相続財産:預金4,000万円・不動産4,000万円
(解説の便宜上、配偶者控除以外の詳細な税務上の優遇措置・控除などは考えないこととします)

相続人が3人となるため基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。相続財産は預金と不動産の合計で8,000万円となるため、8,000万円-(3,000万円+600万円×3)=3,200万円が課税遺産総額となります。各人の相続税対象財産は以下の通りです。

・妻(法定相続分2分の1):1,600万円(3,200万円×2分の1)
・長男(法定相続分4分の1):800万円(3,200万円×4分の1)
・二男(法定相続分4分の1):800万円(3,200万円×4分の1)

配偶者には1億6,000万円、あるいは配偶者の法定相続分相当額まで相続税が課税されないという配偶者控除があるものの長男・二男にはそれぞれ800万円に対して相続税が課されます。しかし相続税対象として現金預金4,000万円のうち、相続人3人それぞれを受取人とする生命保険(1人につき500万円)に加入したらどうなるでしょうか。

相続税対象は8,000万円-500万円×3-(3,000万円+600万円×3)=1,700万円となり相続税対象財産は以下のようになります。

・妻(法定相続分2分の1):850万円(1,700万円×2分の1)
・長男(法定相続分4分の1):425万円(1,700万円×4分の1)
・二男(法定相続分4分の1):425万円(1,700万円×4分の1)

しかも長男・二男はともに被相続人の生命保険金が500万円まで非課税で受け取ることが可能です。そのため相続税対象財産を圧縮できただけでなく、納税資金として非課税で受け取った生命保険金を活用できることにもなります。

手続きの方法

保険契約の加入・変更・保険金請求については、各生命保険会社が自社HPなどで案内をしています。それらを都度確認したり付き合いのある代理店や保険パーソンを通じて手続きしたりするのが良いでしょう。

必ず専門家に相談を

生命保険は、相続税対策に大きな効果を発揮し得ます。もっとも上記はあくまで一般的な解説ですので具体的な対策については必ず税理士や保険の専門家へご相談ください。生命保険を活用した対策が皆様の笑顔相続の実現に寄与することを祈念しております。

佐々木 達憲(ささき・たつのり)
弁護士、AFP、相続診断士
早稲田大学法学部卒。立命館大学法科大学院卒。交通事故、相続・事業承継、米国株投資のアドバイス・セミナーを主要対応分野とし、弁護士だけでなくFPとしても活動。法的問題だけでなく、資産運用等やお金に関する実践的知識についても顧客へアドバイスを提供。主要対応地域として、京都を中心とした近畿地方に加え、沖縄のスタートアップ企業支援も数多く手掛けている。

提供・UpU

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