ガーデニングやアウトドア用品が充実しているだけでなく、ペットショップやカフェ、飲食店までそろっていることから、お出かけ先としても人気のホームセンター。中でも使い勝手の良いプライベートブランド(PB)商品を数多く取り揃え、かゆいところに手が届くサービスが自慢の「カインズホーム」(本社・埼玉県本庄市)が人気だ。
まるでテーマパーク?
ホームセンターの魅力は何と言っても、「誰にとってもほしいものがすべて手に入る」という安心感だろう。たとえば家族で出かけても、パパと息子は日曜大工のための工具や材料、キャンプ用品などを、ママと娘はガーデニング関連や調理器具、生活用品などをじっくり選ぶことができる。お昼どきには集まって併設された飲食店やフードコートで食事をし、午後には一緒にペットショップへ。家族で丸一日ゆったりと買い物したり、普段はなかなか見られない大型家具や農業器具などを眺めたりして楽しめるのは、まるでテーマパークのようだ。
一般社団法人「日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会」によると、ホームセンターが日本で初めてオープンしたのは1972年。その後、年間100~200店のペースで増え続け、2015年には4650軒になり、4兆円マーケットに成長した。
最近はどの運営会社も競うように店舗を大型化する傾向にある。みずほ銀行の調査「ホームセンター業界の競争環境変化と中期展望(2016年3月28日)」では、「ホームセンター商材は食品などと比べ、商材での差別化が困難。品揃えが多いほど集客力を生むという特徴がある」と理由を分析している。
そんな大型店舗を中心に、関東を地盤に全国で200店舗を展開している「カインズホーム」は、2016年2月期の売上高は3937億円。規模は4377億円のDCMホールディングスの後塵を拝するが、DCMはホーマック、カーマ、ダイキが統合したもので屋号は別々なので、実質的に業界ナンバーワンといえる。
カインズが注目されたのは2014年10月。外壁からインテリアまで植物を前面に出し、多肉植物の寄せ植えやガーデニング用品、初心者向けDIYグッズ、リビング商品などを展示する期間限定ショップ「CAINZ LiveGreen STORE」を東京・表参道に出店した。情報発信地でこうした提案をすることで、ホームセンターの新たな楽しみ方を提示するとともに、カインズの認知度を上げた。その後も、10万種以上の品数を誇り、「カインズに行けばなんでもそろう」などとメディアで伝えられ、DIY用具を買うだけでなく家族で一日過ごせるお出かけ先としても人気を博してきた。