2020年1~2月にかけて、小泉進次郎環境相が日本の男性閣僚で初となる育休を取得し、大きな注目を浴びました。一般企業においても男性が育児休暇を取得するケースが増加しつつあります。そこで今回は、将来的に育休取得を検討する可能性のある20代独身のビジネスパーソンに向けて、男性育休に関する知識を解説します。男性育休の現状や問題点を確認していきましょう!

意外と知らない?男性育休の基礎知識

そもそも「育児休暇(育児休業)=育休」とは、どのような内容のものなのでしょうか。

育休は性別に関係なく取得できる

育児・介護休業法では「子が1歳に達するまでの間(子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が最長2歳に達するまで)、育児休業をすることができる」とされています。そこに性別の規定はなく、女性同様に男性も取得できる制度なんです!

休暇取得のためには事業主への申請が必要で、期限は育休開始1ヵ月前となっています。育休を取得する場合、配偶者の職業は関係ありません。配偶者が正社員やパートとして収入を得ているケースだけでなく、専業主婦(主夫)であっても休業はできるのです。そのため「妻が専業主婦だから男性は育休をとれない」というのは間違いです。

「パパ・ママ育休プラス」夫婦で育休取得も!

さらに、夫婦共に育休を利用することで子どもが1歳2ヵ月を迎えるまで休業できる「パパ・ママ育休プラス」もあります。妻の産前産後休業(産休)中に夫が育休制度を利用した場合、夫はもう一度育休を取得できるという制度です。この制度を利用すれば、夫も育児に参加する機会を増やすことが期待できるでしょう。

育休中の収入は?

休業となると給与など収入面が気になるところですが、期間中は育児休業給付を利用することで収入を得られます。

対象は雇用保険加入者で、給付率は休業前に受け取っていた賃金の67%が原則です。さらに育休中は、年金事務所もしくは健康保険組合へ事業主が申し出ることで社会保険料の支払いも免除可能です。被保険者の負担分だけでなく事業主の負担分も対象となります。

取得率の低さに政府も対策を検討

日本では以前から女性と同じく男性も育休を取得できますが、実際に男性で取得した人の割合は低い傾向にあるのが実情です。2018年度、育休給付金を受給した女性が34万5,000人であったのに対し男性は1万9,000人と、女性に比べて約20分の1という数にとどまったというデータもあります。

男性の育児参加への実態調査、その結果は……

日本労働組合総連合会は、2019年9月有職者の男性1,000人を対象に「男性の家事・育児参加に関する実態調査2019」を実施。この調査によると、「育児のために休業・休暇を取得していない」男性の割合は45.6%で、育児休業を取得した人の割合7.2%を大きく上回っています。

また育休取得者72人の平均休業取得日数は32.6日。55.6%は1週間以下という結果です。取得できたとしても短期間しか休めない人の割合が高くなりました。

また同調査において育休未取得者928人のうち30.2%は「取得したかったが、取得できなかった」と回答。「取得するつもりもなく、取得しなかった」という人は69.8%もいることから、男性の育休に対する意識はまだまだ低い傾向にあるといえるでしょう。

男性の育休取得率アップを目指して

そんな男性の育休取得率の低さを問題視する日本政府は、国家公務員として勤務する男性を対象に、育休の取得推進制度の検討を開始。部下の育休取得率を上司の人事評価と関連付けるなどして一人あたり1ヵ月以上の休業確保を目指しています。

加えて政府は2020年までに男性の育休取得率を13%まで上げるとの目標を設定。しかし先述の調査では全体の約65%がこの政府目標を「知らない」と回答しており男性の育休取得率アップまではほど遠いのが現状です。