出産は女性にとってとても大変。しかし、大変なのは出産のときだけでなく、産後ママにはさまざまな理由からストレスがたまりやすくなっています。重症化すると育児にも支障が出てしまうため、ストレスは早期に解決するのが一番。

この記事では、産後ストレスの要因を解説します。家族が産後ママにできることも紹介しますので、家族の皆さんもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

産後にストレスがたまる原因

産後のママや身内が普段よりもイライラしているように見える、話しかけてもつっけんどんに返されたという経験がある人も多いのではないでしょうか。産後の女性は心身を取り巻く環境の大きな変化に直面しており、自分ではコントロールが難しいストレス要因に囲まれています。ここからは、産後にストレスがたまりやすくなる4つの原因について説明します。

ホルモンバランスが変化する

産後にストレスがたまる原因のひとつが「ホルモンバランスの変化」です。妊娠中は、脳からエストロゲンと呼ばれる妊娠ホルモンが分泌されます。

エストロゲンは出産に備えて子宮を大きくするために分泌されるものであり、産後は分泌量が急激に減少します。妊娠ホルモンバランスの急激な乱れは気分の浮き沈みにも影響を及ぼすため、結果としてストレスがたまりやすくなるのです。

中には、妊娠ホルモンの急激な減少によって、産後うつを経験するママもいます。ホルモンバランスはママ自身で調整できるものではありません。妊娠や出産のために必要な変化だと周囲が理解し、誰よりもつらいママに寄り添ってあげることが大事です。

睡眠不足が続く

産後に睡眠不足が続くこともストレスの要因となります。出産による体のダメージから回復しきれていない中、育児が始まります。

特に生まれたての赤ちゃんはお世話に手がかかり、2〜3時間おきの授乳が必要だったり、頻繁にオムツ交換が必要だったりするもの。さらに、夜中に赤ちゃんの泣き声で起こされることも多く、産後ママたちは睡眠不足に陥りがちです。中には、赤ちゃんのお世話で気が張っており、ちょっと物音がしただけでも赤ちゃんの泣き声のように聞こえて熟睡できないママもいます。

最初のうちは頑張ることができても、満足に眠れない日が長く続くと、どんなに元気なママでも体力的につらくなってしまいます。睡眠不足でフラフラの中、「こんな日々が一体いつまで続くのか」と考えると、気持ちも滅入ってきてしまうでしょう。つわりなど妊娠中の症状が重かった人では、妊娠期間中からもう何カ月も安眠できていないケースもあります。

育児がうまくいかない

育児がスムーズにいかないことに悩むママも多くいます。赤ちゃんが思うようにミルクを飲んでくれなかったり、なかなか寝てくれなかったりと育児は教科書通りにいかないことも多々あります。当然ながら、初めての育児の場合は、ママ自身もわからないことだらけですよね。子育ての経験がないと、このくらいは手を抜いても良いという匙加減も難しく、全力投球になりがちです。

まだ幼い赤ちゃんには、ママの気持ちを理解して協力することはできません。たとえば、苦労して飲ませたミルクを布団のうえですべて吐いてしまうなんてことも珍しくありません。そうなると、ママはもう一度授乳をやり直すだけでなく洗濯や掃除も必要になります。睡眠不足で疲れ切っているときだと、徒労感でいっぱいになってしまうのではないでしょうか。特に、ひとりで育児に奮闘しているママの場合、悩みやつらさを周囲に相談できない孤独感からストレスを募らせてしまいがちです。

外出できない

外出がままならないことがストレスになる場合もあります。産後は朝から晩まで赤ちゃんのお世話にかかりきりになってしまうため、近所にちょっと外出するのも難しいこともあるでしょう。

また、赤ちゃんの健康管理のためにも、赤ちゃんを連れての外出は生後1カ月後以降が望ましいとされていますよね。ストレスがたまっているときには適度な気分転換も必要です。しかし、新生児の子育て中は外出が難しく、さらに他人と話す機会も限られてしまうことで、リフレッシュできずにストレスがたまるという悪循環を招いてしまいがちです。

たとえ30分でも、近くのコンビニ程度の外出でも良いので、少しの間だけひとりになりたいと考えているママは案外多くいます。自由に外出できない生活において、とりわけストレスをためやすいのはもともとアクティブなタイプのママです。

ストレスがたまることによるリスク 前述のとおり産後のママは何かとストレスがたまりやすい状況にありますが、たかがストレスと放っておくことはおすすめしません。ストレスをためてしまうことで心身の健康を害する恐れもあるのです。ここでは、産後のストレス過多によって引き起こされる可能性の高い2大リスクを説明します。

太りやすくなる

産後は子育てによって体力を消耗することから痩せるのではないかと思っている人も多いかもしれません。たしかに育児は大変ですが、それ以上に産後のストレスによって太ってしまう場合もあります。

ストレスがたまると、コルチゾールというストレスホルモンが分泌されるからです。このホルモンには、脂肪を積極的に蓄える作用があり、普段よりも体重が増えやすい状態になってしまうのです。

さらに、育児によるストレス解消のため、過食や暴食に走ってしまうケースも多く、外出もできないのでカロリー消化する機会も持てません。ダイエットすることもできず、鏡越しにどんどん太っていく自分の姿を見てさらに自己嫌悪に襲われるという負のループに陥ってしまうこともあるでしょう。

うつになる

産後のストレス過多な状況が続くと、うつ病を発症する恐れもあります。産後は誰もがストレスをためやすい状況にありますが、次のような状況が2週間以上続く、どんどん悪化するという場合には、うつ病を発症している可能性が疑われます。

【症状の例】 気分が落ち込む、感情の浮き沈みが激しい、赤ちゃんをかわいいと感じられない、寝付けない、物事への集中力や対応力がなくなる、低下する、以前は楽しんでいたものが楽しめない、重度の不安に陥りパニック発作が起きる。

基本的に、産後うつは自力で治せるものではありません。うつ病発症の可能性がある場合は速やかに医師の診断を受けましょう。適切な治療を行うことが早期回復の近道となります。治療中は、ママの育児負担を軽減するために家族でサポートしていくことが不可欠です。うつ病の状態で赤ちゃんのお世話をすることは難しく、赤ちゃんの健康にも影響を及ぼしてしまいます。