子どもをターゲットにした犯罪や事案が頻繁に報道される等、いつ、何が起こるか分からないご時世です。そのため、小学生の子どもをひとりで登校させることに不安を感じる親御さんも多くいらっしゃいます。
かといって、小学校まで送り迎えをすることは過保護かもしれないと考えて、お悩みになることもあるかもしれません。今回の記事では小学校まで送り迎えをするメリットとデメリットについて考察し、ご自身でお子さんの送り迎えができない場合の対処法をご紹介します。
小学校に送り迎えするのは過保護?
小学校にお子さんの送り迎えをすることについては「過保護ではないか」という声も存在します。しかし、「大切なわが子に何かが起きてからでは後悔してもしきれないから」という理由で、小学校にお子さんを送り迎えしている親御さんも一定の数いらっしゃいます。ですから、送り迎えは一概によくないことだとはいえません。
通学路の状況や一緒に登下校するお友達とどこまで一緒に歩くかにもよりますが、お子さんがひとりで歩くことになるケースでは、やはり心配されるママが多いでしょう。通学路が人気の少ない道や治安がよくない地域などの場合は、お子さんの送り迎えをしたほうが確かに安全といえます。
ただし、小学校にお子さんの送り迎えをするとしても、ご自宅の玄関から校門まで車で移動することがよいとは限りません。お子さんに自分の足で歩いてもらうことも大切ですから、車は使わずに徒歩や自転車での送り迎えにしているという親御さんもいます。
あるいは、校門までは行かず、お子さんがひとりになってしまう地点から送り迎えをするという方法もあるのです。買い物や犬の散歩など、ママが外出する用事に合わせて「ついで」のように送り迎えをするというアイディアもあります。また、「小学校2年生まで」「帰宅途中の地点に迎えに行く」など、送迎の期間や場所を決めている方も多いようです。
送り迎えにはメリットもデメリットもあるため、両方をふまえて検討されるほうがよいのではないでしょうか。
小学校に送り迎えするメリット
最初に、お子さんを小学校まで送り迎えすることのメリットを4つ、ご紹介します。
子どもを危険から守りやすい
送り迎えをすることの最大のメリットは、お子さんを危険から守れることです。通学や帰宅の途中で想定できる危険はたくさんあります。通学中や帰宅中のお子さんがひとりになったタイミングでだれかに連れ去られたり、いたずらをされたりといった事案は少なくありません。また、通学路で交通事故に巻き込まれてしまう場合もあります。そもそも、小学校の低学年の場合は、迷子にならずにひとりで家まで帰ってくることができるかどうかも心配です。
「送り迎えをしなくても大丈夫」と確信を持てないような要素がある場合は、臨機応変に送り迎えをしてもよいのではないでしょうか。「通学路で交通事故が起きたときや周辺で事件が発生したばかりのときなどは一時的に送り迎えをする」という親御さんもいらっしゃいます。
集団登校のトラブルを回避できる
集団登校には「通学中に子どもがひとりにならず、不審者による危険を避けることができる」というメリットがあります。しかし、集団登校ならではのトラブルもあるのです。
たとえば、集合場所に到着するのが遅くなって待たせてしまった場合などは、周りのママさんたちに謝りに行かなければならないケースがあります。また、子供たちが集団で歩いているときは、おしゃべりやふざけ合いなどで周りへの注意がおろそかになりやすいため、危機察知が遅れて交通事故に遭う確率が高まるという説もあるのです。
他には、集団登校で一緒になる子供たちとわが子の人間関係がうまくいかず、いじめやいじわるが起きるケースもあります。学校は楽しいのに集団登校が苦痛なために登校を嫌がるお子さんも、中にはいらっしゃるようです。
このように、一見して安全に思える集団登校にもさまざまなトラブルはあります。親御さんが送り迎えをすれば、このようなトラブルを避けられることもメリットといえるでしょう。
学校の情報が入りやすい
小学校への送り迎えをしていないと、小学校に行く機会は授業参観日や運動会など機会が限られてしまいます。そうすると、学校に関する情報源は担任の先生や学校からのお便りやお子さん自身のお話しかなく、他の情報を入手しにくくなるでしょう。
一方、小学校までお子さんを送って行ったり迎えに行ったりすれば、校門越しにでも学校の様子を見ることが可能です。また、掲示板などを眺めたり、送迎に来ている他のママさんたちと情報交換をしたりするチャンスも、送り迎えをしたほうが多くなります。何気ない会話からも、学校や子どもたちに関する近況を把握できる場合もあるのです。
子どもとコミュニケーションが取れる
車でお子さんの送り迎えをすれば、ご家庭内でするのとはまた違ったコミュニケーションを、ママとお子さんだけで取れる時間が生まれるかもしれません。徒歩で送迎する場合でも同様に、歩きながら親子だけの会話ができます。特に、下のお子さんがいらっしゃる場合、ママとふたりきりの時間は上のお子さんにとって大切なものになるでしょう。
家に帰ってからでは改めて聞きにくいようなことをお子さんに話してもらいやすいことも、送り迎えをするメリットです。小学校からの帰り道であればお子さんの記憶も新しいため、一日のできごとを自然な流れで話してもらいやすいでしょう。
小学校に送り迎えするデメリット
次に、小学校まで送り迎えをするデメリットを4つ取り上げてご紹介します。
過保護だと言われることもある
周りの親御さんの中でお子さんの送り迎えをしていない人のほうが多い場合、「過保護・甘やかしではないか」と批判されてしまうケースもあります。特に、車での送迎は駐車場所の問題などもあり、批判されやすいようです。送り迎えの是非についてインターネット上の掲示板などを見ても、賛否両論となっています。
しかし、送り迎えをしたほうがよいかどうかについては、地域の状況やお子さんの性格など、さまざまな要因で条件が変わることです。親御さんとしてご自分のお子さんには送り迎えが必要だと感じる場合は、周りに何か言われたとしても気にする必要はありません。
送迎の時間を作る必要がある
登校時と下校時にお子さんの送り迎えをするとしたら、毎日の朝と夕方に送迎のための時間を作らなければなりません。しかし、小学生のお子さんの下に幼いお子さんを抱えて、おひとりで子育てをなさっているママなどの場合は、下のお子さんに手がいっぱいになっていることが多いでしょう。すると、上のお子さんを送迎するための時間を作ることは、なかなか難しいかもしれません。
また、ご夫婦で共働きをなさっている場合も、お仕事の都合でお子さんの送迎が難しい日も出てくるのではないでしょうか。ときには、急な残業やご夫婦間での連絡ミスによってお子さんが待ちぼうけとなってしまい、行き場をなくすような事態も起こり得ます。
子ども同士の交流が少なくなる
集団登下校には上級生や他クラスの子どもたちとお子さんが交流できるというメリットがあります。また、仲よしのお友達と連れ立って登下校することも、学校生活の大きな楽しみといえるのです。
しかし、親御さんが送り迎えをすれば、その分、お子さんがお友達と一緒に登下校をする機会もなくなります。それによって、子ども同士の交流が減ってしまうというデメリットも出てくるでしょう。小学生にとって、お友達との関係は非常に重要なものですから、小学校まで送り迎えをするかどうかについては、お子さんのご意見も尊重したほうがよいかもしれません。
渋滞に巻き込まれることもある
車で送り迎えする親御さんが多くなれば、小学校の駐車場が混雑したり、校門周辺に路上駐車をする車が増えて学校のご近所から苦情がきたりといった問題も出てきます。また、送り迎えをする時間帯に渋滞が発生することもあり、渋滞に巻き込まれて登下校が遅れてしまうケースもあるのです。
ですから、渋滞による遅れを考慮して早めに出発する必要があり、時間的な負担が増えてしまうこともあります。距離によっては車で送迎するよりも徒歩や自転車のほうが早い場合もあるでしょう。