おトクな株主優待を見つける方法

配当の場合には、配当利回りを目安にお得な高配当の企業を探すことができた。株主優待でも、お得な企業を探すことは可能なのだろうか。

株主優待では株主優待利回りを利用することができる。株主優待の内容を金額に換算して利回りを出すという考え方だ。優待利回りは以下の算出式で求められる。

「優待の利回り(%)=株主優待の金額÷投資金額×100」

前述の東洋ビジネスエンジニアリングでは、500円相当のクオカードを一年に4回受け取れるため2000円相当になる。株主優待利回りは、2000円÷15万3800円(2月17日時点株価)×100=1.30%となる。

一般的に株主優待に変更がなければ、株式市場全体が底上げされて株価が高くなれば優待利回りは低下し株価が安くなれば優待利回りは高くなる。

証券会社に口座を持っていれば、インターネットで株主優待や優待利回りを調べることができる。他には、会社四季報等の冊子やオンライン版も活用できるが、最新の情報を知るには、企業のホームページのIRコーナーで確認すると正確だ。

優待取引テク「つなぎ売り」も覚えておこう

株主優待を獲得する投資手法のテクニックとして、信用取引で「つなぎ売り」という売買方法を活用することもできる。

例えば、株主優待の獲得を考えて株式を購入したが、株価が株主優待以上に値下がりする場合もある。そうした値下がりのリスクを低減する方法がつなぎ売りだ。つなぎ売りは、信用取引でその株式を売り、現物で株式を買う投資テクニックである。現物取引での買いと信用取引での売りの両方の取引を行うことで、現物で買った株の下落分を信用取引で売った株の利益で補うことができる。現物で株主優待を受け取ることができ、価格変動のリスクを低減することができる。

つなぎ売りを行うには、取引の前提として信用取引の口座を開設しなければならない。また、取引の注意点としては、現物で買う値段と信用取引で売る値段を指値注文にして同じ金額にし、権利付き最終日に権利を確定したら、翌日以降は現渡で信用取引を決済する。この際、現物取引と信用取引には取引手数料が発生する。

株主優待の金額と合計手数料のどちらがお得かは計算しておきたい。計算してみたら手数料の方が高かったという場合もある。なお、信用売りができない銘柄もあるのですべての銘柄で取引できるとは限らないため、事前に調べていただきたい。

株式投資を始めて間もないのであれば、無理に信用取引を利用する必要はない。ただ、損失を被るリスクを限定できる投資テクニックがある点は覚えておきたい。

文・横山利香(CFTe、ファイナンシャル・プランナー)/ZUU online

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