テレビCMや新聞広告で「病気でも入れる」「保険料があがらない」など、さまざまな生命保険が紹介され、雑誌でもランキング形式で「良い保険」の特集記事が掲載されている。どれも魅力的に思えるが、誰にとっても「良い保険」は存在しない。では、生命保険はどのような視点で選べばよいのだろうか。
1. 「どんな」保障を「いつまで」「どれだけ」欲しいか検討する
保険はいくつかの設計書をだしてもらって、保険料の予算との折り合いだけで選んでいる人も未だに多い。しかし、死亡や医療保障などがセットになっているタイプだと、よく考えると必要ではない保障が入っていることもある。
代表的なものに災害特約がある。地震や火災などの災害、不慮の事故などによるケガで死亡した場合、他の死亡保障に上乗せして保険金が支払われるものだ。ケガで亡くなったことで残された家族がより困るような環境があるのならば特約をつける意味もあろうが、死亡原因が何であれ遺族の必要保障額は変わらない。
「月400円ほどでお守りになる」と言われ、なんとなくつけているケースが多い。月400円でも10年かければ4万8000円だ。どんな保障をいつまで、どれだけ欲しいかしっかり見極めていくことが重要だ。
2. 準備済みの「保険」を把握する
毎月の給与から引かれている社会保険で、すでに大きな保障が準備できている。会社員の加入している健康保険の場合、ケガや病気で仕事ができない場合、3日以上継続して休むと4日目から1年6カ月、直近1年間の平均報酬月額の3分の2が給付される「傷病手当金」の制度がある。
つまり「病気で働けなくなったときの保険」と言える。この期間より長期の保障が必要だと考える場合、生命保険による保障の準備が欠かせない。
ただし、国民健康保険にはこの制度はないので自営業者は注意が必要だ。さらに障害認定を受けると国民年金、厚生年金ともに障害年金の制度もある。厚生年金は障害等級3級でも給付があるが国民年金は障害等級1級、2級のみと保障に違いがあるので気をつけてほしい。
死亡保障としては「遺族年金」がある。平均報酬月額30万円で配偶者と18歳未満の子どもが2人いる場合、厚生年金では月額13万円が支払われる。子どもが18歳になると給付額は減り、2人とも18歳になると約3万円になる。
教育資金が一番必要な時期に保障が減ってしまうので、保険を考える上でいつまで、いくらもらえる見込みなのかしっかり把握しておくことが重要だ。国民年金の場合、同ケースの遺族年金は約10万円だが、子ども2人が18歳になると給付額はゼロとなるので保障額を十分検討したい。
どれもこれも生命保険でカバーしようと思うと、保険料が膨らんでいく。