優秀な人財が次々と去って行く

銀行の人事考課にも問題がある。「金利の低下と資金需要が低迷するなかで、金融商品の販売に力を入れなければならない」多くの銀行経営者が口を揃えてそう語る。

ところが、実態は酷いものだ。銀行内部では未だに「出世コースは融資」という前時代的な考えが幅をきかせている。金融商品販売は人件費の安い女性行員を上手く使って、やらせておけば良い。そんな考えが未だにはびこっている。

そもそもお金に色はついていない。銀行は許認可事業であり、銀行独自の個性的な商品で他行と差別化を図ることは難しい。それならば、低い金利で融資をしてくれる銀行が良いということになる。出世コースにいる融資担当者は、少しでも多くの融資を獲得するために不毛な金利競争を繰り広げ、銀行の収益を圧迫し続けているのだ。にもかかわらず、彼らは高い評価を得ている。

一方で金融商品の販売で銀行の収益に貢献している女性行員の評価は概して低い。融資と金融商品販売、それぞれの担当者がどれだけの給料をもらい、どれだけの収益を銀行にもたらしているのかを明らかにすれば暴動が起こるのではないか。

現場の優秀な女性行員ほど、銀行の人事考課に疑問を抱いている。自分の能力をより高く評価してくれる先が他にあるのであれば、転職という選択肢は当然だろう。その結果、銀行から優秀な人財が次々と去って行く。

日本の金融業界が大きく成長するために

金融商品を販売する部署にいる我々は、デリバティブの仕組みを活用することで、お客様の多様なニーズに応えることができる。外貨を安く、安定的に調達したい。金利が下落しても、ある程度の収益は確保したい。株が下落したときのリスクに備えたい。そんなニーズに応えることができる。

デリバティブを利用した金融商品はけしからんという風潮がある。かつて、地方公共団体や学校法人、宗教法人が少しでも高いリターンを狙ってむやみやたらと投資を行い、巨額の損失をだしたことがあった。恐らく、当時は販売サイドにも問題があったはずだ。

しかし、その仕組みを正しく理解し、正しく活用すれば、デリバティブは有効だ。単に融資で企業の資金需要に応えることだけが銀行の仕事ではない。金融商品を駆使して、顧客ニーズに応え、顧客が抱えるリスクを軽減することができるのだ。

金融商品を販売する我々が取り組んでいることは、決して融資に劣るはずはない。むしろ、より高度で高い可能性を秘めていると私は胸を張りたい。「それでも金融は素晴らしい!」そう声を大にして言いたい。その想いを銀行全体で共有できたなら、日本の金融業界はきっと大きく成長するに違いない。

文・或る銀行員/ZUU online

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