ラシク・インタビューvol.97

パーソルホールディングス(株) ママお仕事がんばって(MOG)事業推進室 金子 麻由子さん

ラシクでも度々話題に登場する『育休中の過ごし方』。記事ランキングでも常に上位に入るぐらい、ワーママにとって気になる話題のひとつ。ベビー系のおけいこはもちろん、復帰後のキャリアアップを計る上で資格を取得したり、復職後のイメトレを兼ねて育休インターンに参加したり…… 過ごし方の幅も随分増えてきました。ラシクで”育休インターン” を初めて紹介したのが2015年8月(「ママたちの育休が今とーっても熱かった!」参照)。あれから2年経ち、ワーママの中で認知度も経験者も年々増えています。

弊社でも育休インターンを募集しており、今回お話を伺った金子麻由子さんも昨年、第二子の育休中に参加してくださっていたお一人。復帰後「育休インターンの経験を活かして新規事業 ”ママボラン” を立ち上げました」と嬉しい一報が。 ”ママボラン” とは育休インターンに参加したい育休ママと法人のマッチングサービス。これはぜひ、お話を伺わねば! ということで行ってまいりました。

ママボランの立案は……なんと育休中の復職ママとのランチ会

マミートラックに陥った経験から、新規事業を立ち上げ。育休中の不安を自信へとつなげる ”ママボラン”とは
(画像=MOGメンバー 左:山本さん、真ん中:稲田さん、右:金子さん、『LAXIC』より引用)

編集部:LAXIC(ラシク)の育休インターンではお世話になりました。そしてこの度は、新規事業立ち上げおめでとうございます! もともと、育休中のボランティアに関する構想があって弊社の育休インターンに参加してくださっていたのですか?

金子 麻由子さん(以下、敬称略。金子):いえいえ、LAXICさんの育休インターンに応募した当初は、まだ構想もありませんでした。

年に1度『0to1』という社内向け新規事業コンテストがあるのですが、育休中に同僚4人と一緒に応募したんです。結果、新規事業ではなく、社内的に社会的問題を解決する『CSV』事業という形で実施が決定しました。私は7月に育休復帰したのですが、そのタイミングで事業室が立ち上がったんです。

編集部:育休中に企画して、復職と同時に立ち上げってのも驚きです。

金子:4人の同僚ママたちと起案したのですが、当時二人は育休中、1人は復職したばかり、1人は産休入り…という状況でした。現在の室長と産後半年ぐらいにランチした時に「そろそろ『0 to 1』の申し込みの時期ですね」という話になり、その流れから応募することになったんです。ほかの二人は元所属していた部署の同じメンバーだったので私が誘いました。

編集部:育休中のランチでそんな話になるなんてすごいですね。普通だと 「子どもって可愛いけど大変よね?」で終わってしまう……(苦笑)

金子:育休取得者の9割以上が復職する会社なので、”復職に対する熱意” が高いのかもしれません。

一人目の復職の時は、漠然と「ワーママってこんなもの…」

編集部:育休中に新規事業を立ち上げるなんて、すごくアクティブだなと思うのですが、出産前までは働くことについてどう思っていたのでしょうか。

金子:独身時代は女性扱いされるのが嫌で、男性と同じように働きたいと思っていたこともあって地元の新聞社に就職しました。その頃は「家庭なんかどうにかなる」と思っていました。結婚して上京し、転職したのですが、一人目を妊娠した時につわりがひどくて、どうやっても妊娠前と同じようには働けない。これは「特別扱いしないでほしい」とか言っていられないな、と(苦笑)。でも出産後、復職した時にマミートラックに陥ったのです。

私自身もどういう働き方をしたらいいかわからず、上司もどうしてあげたら良いかわからない、みたいな状況で。今思うと配慮してくれてサポート業務に就かせてくれましたし、とても恵まれていたと思うのです。子どもが熱を出したら休まないといけないし、時短勤務で、みんなに迷惑かけてしまうことも多くて…… そういうものだと思って割り切って仕事をしていたのですが、半年ぐらい経って、せっかく生まれた可愛い赤ちゃんと離れてまでやる仕事かな…… と。

編集部:すごくわかります。

金子:半年後ぐらいに上司が変わった時に思い切って「できるかわからないけどWEBの編集をやりたい」と相談したんです。上司も「やってみないとわからないからやってみよう」と言ってくれて。前ほど時間はかけられないけど方法を考えて、他のメンバーやパートナーさんに助けてもらって、最終的にやってみたら、やりたいことができたんです。

マミートラックに陥ったのも会社のせいではなく、もっと自分がどうなりたいかを考えて、伝えるべきだったんですよね。その後、弊社が運営する転職サイト「DODA」の中にWoman Careerという女性向けのサイトを作ったんですが、その頃から自分の中で女性×働き方みたいなのがテーマになってきました。

そして、一人目のマミートラックに陥った理由は、育休中の過ごし方が良くなかったのでは?って思ったのです。だから、二人目を妊娠した時は「育休中に何かやろう」と。

編集部:自己分析して原因追求して、対策をとっているところがすばらしいですね。

二人目育休インターンに参加し、同志たちに勇気付けられた!

編集部:育休インターンをはじめたのは、まさにそういう理由だったのですね。でもどうやって育休インターンを知ったんでしょうか?

金子:今、一緒にママボランをやっているメンバーで、半年早く育休に入っていた先輩ママがスリールさんで育休インターンを経験していて、紹介してもらったんです。そのあと「育休中」「インターン」で検索したらラシクさんにたどり着いて、サイトを見て内容がいいなぁと応募しました。

編集部:実際にいくつか登録された育休インターンではどんな活動を?

金子:スリールさんではメルマガの配信をしていましたし、ラシクさんでは保活イベントに参加しました。インターンではないですが、育休MBAにも参加しました。

編集部:実際に経験されてみてどうでした?

金子:育休中に同じ意識の人と会えるのが、とても良かったんです。メンター同士になれる仲間と出会えた。子どもを連れて児童館とかに行っても、まず育休中のママなのか?ということを含めて探り探りなんですよね。仕事のことや育休中の過ごし方までなかなか踏み込めない。

編集部:確かに。育休中にボランテイアっていうと「え?」みたいな反応がまだまだ普通だと思います。

金子:そうなのです。私たちも、育休中に休んでいたらだめってことを言うつもりは全くなくて。でも一方で、ワンオペで子どもと二人っきりで辛くなっちゃう人がいるのも事実です。それなら社会と少しでも繋がれたらいいなと。

編集部:ママがニコニコしている方が断然いい。

金子:今、バリキャリでもゆるキャリでもない、育児も仕事も前向きに楽しみたいってタイプの方が増えていると思うのです。一人目の育休を取った5~6年前と比べると、育休中のママ向けサービスがすごく増えましたし。ワーママだからと言って肩身狭く思わないで、やりたいことをやれる選択肢を見つけてほしいし、視野を広げてほしいなと。自分らしく、自分が満足して仕事と育児の両立ができるのが一番ですよね。

編集部:まさに、ラシクの読者層です! 学生インターンも同じで、当初は意識が高い存在だったけど、今では当たり前。インターンを経験していないと、就職活動もできないぐらいですから。

金子:徐々に裾野が広がればいいなぁと思っています。