第2新卒の人たちは、まだ社会人経験が浅く、いい会社を見抜く目が養われていない場合もあります。そのため、転職に失敗してキャリアが行き詰まってしまうことも。では実際のところ、第2新卒の転職にはどんな成功や失敗があるのでしょうか?一人ひとりが「自分らしい働き方」に出会えるよう、就業支援をおこなう人材会社・株式会社ディーセントワーク代表の高橋秀成さんに聞いてきました。
誰しもが避けたい「転職の失敗」。どうして失敗してしまうの?
「失敗は成功のもと」ではありますが、人生を左右するかもしれない転職はできるだけ失敗したくないもの。第2新卒という若い時期の転職ならなおのこと、まだ経験値も低いのでこれからのキャリアを考えれば転職を成功させたいですよね。まずは、どうして転職に失敗してしまうケースがあるのか教えてもらいました。
―――第2新卒の人が転職するときの、成功例と失敗例を教えてください。
高橋秀成(以下、高橋):まず、失敗と成功の定義が非常に難しいですよね。入社して半年後は順調だったとしても3年後に倒産しているかもしれないし、入社して数年は「嫌なやつ」と感じていた同僚も、やがては「戦友」になるかもしれないですから。(続)
ですので、入社1年後に多少の愚痴もありつつ“よろしくやっている”のを仮に「成功」とした上で考えると、半年以内に辞めちゃうのは「失敗」となりますが、この失敗例は結構多いです。
「働く」ではなく、「働き続ける」
―――なぜ転職しても半年以内に辞める人が多いのでしょうか?
高橋:とにかく目先のことだけ考えているからです。第2新卒だけでなく中途も含め、目先のことだけ考えて転職している人は、ほぼ間違いなく早い段階で辞めます。そういう人には「働く」ということを改めて考えてほしいのですが、「働く」ってそもそもどういうことかというと、正しい表現は「働き続ける」なんですよ。(続)
アイドルやダンサーだってそうですよね。「なりたい」と思ってステージに上がれたとして、その先の夢や目標がなければ続かない。「AKBになりたい」ってなった人も、その先には「女優になりたい」「歌手になりたい」といった夢があるはず。(続)
「AKBになること」は道程にあるひとつの出来事なだけで、第2新卒の転職もそれと同じ。「コンサルになりたい」ってなったのに、いざなったら「次どうすればいいの?」では続かないですよ。
「転職する」のではなく、転職した会社に“居続ける”視点で考えよう
これまで勤めていた会社を辞めて、いざ新しい会社に転職しようというとき、目先の仕事内容や条件面に意識が向くことは誰しもあること。高橋さんは「そもそも『働くとは』『転職するとは』どういうことなのかを考えるのが大事」と言います。
―――転職で失敗してしまう人は、先を見越すことができていないのですね。
高橋:「転職する」のは“瞬間”のことでしかないのに、そこにばかりスポットライトを当てて、業種や業界、制度ばかり気にしている人が多過ぎるんです。転職したその場所に「居続ける」という観点で考えたら、違った選び方になるはずだと思いますよ。(続)
まず、「居続ける」ためには理由が必要ですよね。「お金持ちになりたい」「社会に貢献したい」「よき仲間を手に入れたい」「結婚して子どもを持ちたい」など、なんでもいいけれど、何かしら理由があるはず。そして、その会社に「居続ける」となると、その場所で一緒に働く人がどんな人たちかはすごく重要な要素になる。一緒に食事に行けるか、行かなくても許されるか、そういうところまで判断する必要があります。(続)
内定が出てからすぐに決める必要なんてないんです。内定をもらったあとに、一度社員と食事に行く機会を設けてもらってもいいし、「もう一回話を聞かせてもらえますか?」というのもありです。ざっくばらんな場で、一緒に食事に行ける同僚がいるか、一緒に飲みに行ける上司がいるか、見極めてもいいんです。
ほとんどの人はやりたいことなんて“ない”
―――どんな会社でどんなふうに働きたいか、理想が思い浮かばない人にアドバイスはありますか?
高橋:多くの人はそもそも「やりたいこと」なんか、持ってないんですよ。だけど、どんな人も「人間としての価値観」は持ってるはず。「こういうことには共感する」「こういう人とは話が合う」もあれば、好感を持つもの、嫌悪するものもありますよね。(続)
多くのエージェントは「次の会社で何をやりたいのか」って聞きますが、自分で考えて選んだはずなのに1社目で失敗した人にそこだけ聞くのは、恋人にさんざん浮気されて傷つけられた人に「で、次どんな人と付き合いたいの?」って聞いているようなものですごく的外れな質問ですよね。(続)
本来なら、そこでしっかりと伴走するのがエージェントの役目なんだから、例えば内定後にざっくばらんに話せる食事の場などを設けることも、エージェントがやるべきことなんです。