小さな子どもをもつ親が、子育て費用において負担を感じているのが「保育園・幼稚園代」でしょう。では、具体的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。また幼稚園の私立と公立ではどの程度費用が異なるのか、さらに幼稚園と保育園の違いをチェックして子育てにかかる費用を考えていきましょう。後半では、幼児教育・保育の無償化制度についても解説します。
子育て費用とは?
子育てには何かとお金がかかります。子育てにかかる費用というと、人生の三大資金とも言われる「教育費」を思い浮かべるかもしれませんが、実際には教育費以外にもさまざまな費用が挙げられます。
衣服、服飾雑貨 | 医療費 | 学校教育費 | レジャー、旅行費 | おこづかい |
食費 | 保育費 | 学校外教育費 | お祝い行事関係費 | |
生活用品費 | 子どものための 預貯金、保険 |
学校外活動費 | 子どもの 携帯電話料金 |
このうち、学校教育費・学校外教育費・学校外活動費が教育費の項目です。それ以外は子どもを育てる上で必要なお金で、子どもを大学卒業まで育てるのにかかる費用は多岐に広がることがわかります。
幼少期の子育てで、負担に感じるトップは「保育園・幼稚園代」
では、幼少期の子育てにおいて一番負担となっている項目は、どんなものでしょうか?明治安田生命保険相互会社の「子育てに関するアンケート調査(2020年)」(0歳から6歳までの子どもがいる既婚男女1,100人を対象)によると、「子育てにおいて負担が大きいと感じている費用」は「保育園・幼稚園代」が43.3%でトップでした。
一方で、2019年も同質問において「保育園・幼稚園代」はトップでしたがその割合は66.9%で、2020年(43.3%)は大幅に減少していることがわかります。新型コロナウイルスの影響もあって自宅で過ごす時間が増えざるを得なかったのはもちろんのこと、2019年10月に施行された「幼児教育・保育の無償化」も影響していると考えられるでしょう。この「幼児教育・保育の無償化」については、この記事の最後で紹介します。
幼稚園に通うには、いくらかかる?
ここからは具体的に、幼稚園に通園している間にかかる学習費を見ていきましょう。学習費は主に教育費、給食費、園外活動費の3つに分かれます。
<教育費>
幼稚園での教育のために各家庭が支出したすべての費用です。
一般的に、公立・私立幼稚園ともに「授業料」の支出が最も多く、そのほかには「遠足・見学費」「学校納付金等(入学金、私立幼稚園であれば施設整備資金、学級費、PTA会費)」「図書・学用品・実習材料費等(授業のために購入した図書、文房具類など)」「教科外活動費(学芸会・運動会・芸術鑑賞会など)」「通学関係費(交通費、制服及びランドセルなどの通学用品など)」などがあります。
<給食費>
主食費・副食(おかず・おやつなど)費があります。
<学校外活動費>
自宅学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などにかかる費用です。公立・私立幼稚園ともにスポーツやレクリエーション活動に対する支出が最も多いです。
公立の場合
公立幼稚園 | 平均 | 年齢別 | ||
---|---|---|---|---|
3歳 | 4歳 | 5歳 | ||
学習費総額 | 22万3,647 | 18万8,342 | 21万7,121 | 24万3,625 |
教育費 | 12万0,738 | 12万727 | 11万5,978 | 12万4,578 |
給食費 | 1万9,014 | 2万733 | 1万8,769 | 1万8,496 |
園外活動費 | 8万3,895 | 4万6,882 | 8万2,374 | 10万551 |
公立は学習費総額が年間約20万円から25万円です。この学習費であれば、そこまで負担は大きくないでしょう。ただし、住んでいる地域に公立がないと通園できません。さらに公立は人気で、入園の競争率が高い幼稚園もあります。また、条件がそろわないと公立に通うことはできないという地域もあるでしょう。
私立の場合
私立幼稚園 | 平均 | 年齢別 | ||
---|---|---|---|---|
3歳 | 4歳 | 5歳 | ||
学習費総額 | 52万7,916 | 55万1,652 | 49万1,275 | 54万1,850 |
教育費 | 33万1,378 | 39万7,035 | 28万6,945 | 31万4,736 |
給食費 | 3万880 | 3万291 | 3万1,130 | 3万1,174 |
園外活動費 | 16万5,658 | 12万4,326 | 17万3,200 | 19万5,940 |
私立は学習費総額が年間約50万円から55万円です。公立と比べると2.5倍かかります。アンケート結果にもあったように、私立の学習費の負担は大きいです。
幼稚園では、学習費以外にもこんな費用がかかる
幼稚園に通園するには上記の教育費や給食費以外にも、幼稚園によってこまごまとした支出があるでしょう。たとえば、着替えの衣類や体操着、給食用品類、水筒、ランチョンマットのほか、収納ボックスや自転車・ヘルメットなど、幼稚園の教材や道具などを収納するものや、子どもを通園させるため必要な(親の)費用についても加味する必要がありそうです。