持つべきものは、頼れるメンター! 「後輩たちへ」

長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

皆さんこんにちは!

今回から計3回の連載を担当します、Mentor For公式メンターの西部 沙緒里です。本業は「働く女性の健康支援」を手掛けるベンチャー企業、株式会社ライフサカスの代表をしています。

2018年、Woman typeで私自身のインタビューを掲載いただきました。ですので、自己紹介は上記の記事に譲るとして、取材当時からの自身の変化と発見、そこから読者のみなさんへ今、お伝えしたいことについて書いていきます。

30代半ばで乳がん・不妊治療を経験した私が、アラサー&アラフォー女性に伝えたいこと
(画像=『Woman type』より引用)

【この記事を書いた人】
西部 沙緒里さん

博報堂をへて16年(株)ライフサカス創業。「現代女性の健康と生殖」をテーマに、不妊体験などを紹介するウェブメディア『UMU』運営、企業や学校で研修・講演活動も担う。Mentor For公式メンター、中小機構人材支援アドバイザー。女3人ユニットでポッドキャスト番組『edamame talk』も放送中

乳がん宣告、不妊治療……

30代半ば、リアルに感じた“ライフステージの変化”

全体をくくるテーマはズバリ、「アラサー・アラフォー女子のための、逆境を転機に変える方法」にします。巷で流行りの言葉で言えば、“レジリエンス”でしょうか。

私はこの数年、自社で主宰するリアルストーリーWEBメディア『UMU』の中で、不妊、産む、産まないにまつわる、まさに「逆境」=「ままならない境遇、人生の想定外」を経験した数多の女性と、そのパートナーの肉声を伝えてきました。

かくいう私自身、30代半ばから、女性のライフステージで起こるさまざまな問題に翻弄され、逆境や想定外の連続でした。

時系列に書いていくと、

・会社員だった37歳で突如「乳がん」の宣告
・ひと山越えた直後、今度は「不妊」に直面
・辛い「不妊治療と仕事の両立」に苦しむ
・ようやく妊娠が発覚したのが、タイムリーにも「会社設立の1週間後」
・闘病~不妊治療期間の「体力ロス」が戻らない上、怒涛の創業期と高齢妊娠&出産~新生児育児期が「完全に丸かぶり」に(もはやカオス……)

と、例えるなら、リセットボタンの無いRPGゲームの主人公になり、ひたすら泣きながら敵に立ち向かい続ける……そんな感覚の数年間でした。

これらに加え、約1年前。事業で失敗し、創業を支えてくれた大切な仲間たちと離れる、ということを経験しました。多くの人に迷惑も心配も掛け、消えたくなるほどの心境で、やむを得ない場合を除きしばらくは外出さえできませんでした。

30代半ばで乳がん・不妊治療を経験した私が、アラサー&アラフォー女性に伝えたいこと
(画像=『Woman type』より引用)

ですが、そこから暗黒の時間を過ごし、あらゆる負の感情を感じきった時、不思議と湧き上がる感覚がありました。それは、何も無いこんな自分だけど、でも「生きている」という、鮮烈な実感でした。平穏な時には、認識さえしていなかったことかもしれません。

その時、私は一つの気付きを得ます。「最悪の出来事も最高の出来事も、どちらも自分の“底力”に立ち帰らせてくれる点においては同列で、正も負も、良いも悪いも本当は無いのかもしれない」、と。

そんな発見の後、少し時間が経過して、家族以外の人と連絡が取れるようになりました。すると現実に変化が起こり始めたのです。新たな出会いがひらけたり、お仕事をいただいたり、食事をおごっていただいたり(笑)と。そして、四季が一巡した今、より多くのプロジェクトに携わり、かつ、去年にはなかった肩書きまでがいくつか加わることとなりました。