投資で得た利益を一定期間非課税で受け取ることができる「NISA(ニーサ)」。これは個人投資家のための税制優遇制度のことで「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、投資の目的にあわせて、どれを選ぶべきか異なります。今回は、それぞれの特徴と利用できる期間、さらにNISA制度を活用するメリット・デメリットをまとめて解説します。
NISAの種類は3つ
現在、NISA制度には「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります。まずは3種類のNISAの特徴を詳しく見ていきましょう。
一般NISA
一般NISAは、年間120万円までの投資で得た利益(配当金や売却益など)が最長5年間非課税になる制度です。単に「NISA」と表記されている場合、基本的には一般NISAのことを指します。
一般NISAの対象は、日本に住む満20歳以上の人です。一般NISAは、3種類のNISAの中でも1年間に投資できる金額が最も大きく、取引できる金融商品の種類も多いという特徴があります。一般NISAの非課税対象となるのは、主に株式と投資信託です。
一般NISAは、投資信託の銘柄の選択肢が多いことも魅力のひとつです。ただし、非課税になる投資信託の銘柄や取引手数料は金融機関ごとに異なるため、NISA口座を開設する前によく確認しておきましょう。
つみたてNISA
つみたてNISAは、年間40万円までの投資で得た利益が最長20年間非課税になる制度です。一般NISAと同じく、日本に住む満20歳以上の人が対象です。
つみたてNISAは、少額を長期間コツコツと積み上げて資産形成するのに向いています。つみたてNISAを利用すれば、まとまった資金がなくても、少額から資産運用を始められます。
つみたてNISAで選べる投資信託の銘柄は、一般NISAと比べると少ないですが、そのぶん長期的に安定して運用しやすい銘柄が厳選されています。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは、年間80万円までの投資で得た利益が最長5年間非課税になる制度です。対象は日本に住む0~19歳の未成年者で、多くは親権者が代理で運用します。
ジュニアNISAを利用することで、子どもの将来を見据えた資産形成ができるほか、祖父母や両親から子どもに資産を贈与する機会にもなります。ジュニアNISAの投資可能額は年間80万円なので、毎年子ども名義で満額投資を行ったとしても、贈与税はかかりません。
注意点として、ジュニアNISA口座の資産は、名義人である子どもが18歳になるまでは払い出しができないという点があります。もし途中で払い出した場合、過去に非課税となったはずの利益も課税対象となるので、注意しましょう。
NISAを利用できる期間
先ほども触れた通り、NISAは種類ごとに非課税になる期間に制限が設けられています。
一般NISAの場合
一般NISAの場合、非課税になる期間は最長5年間です。年間120万円×5年間で最大600万円まで非課税で投資ができます。
また非課税期間が終わった後でも、条件を満たせば翌年の非課税投資枠にロールオーバーすることが可能です。ロールオーバーとは、口座残高を翌年の非課税投資枠に移行して、非課税期間をさらに5年間延長する仕組みのことです。
ただし、現行の一般NISAは2023年で終了し、2024年以降は新NISA制度に移行する予定です。そのため2024年以降は、新たな仕組みに従って新NISAへのロールオーバーを検討することになるでしょう。
つみたてNISAの場合
つみたてNISAの場合、非課税になる期間は最長20年間です。年間40万円×20年間で最大800万円まで非課税で投資ができます。つみたてNISAの場合は一般NISAと異なり、非課税期間終了後のロールオーバーはできません。
現在、つみたてNISA口座で投資ができる期間は2037年までとなっていますが、NISA制度の改正にともない、投資ができる期間は2042年まで延長されました。
ジュニアNISAの場合
ジュニアNISAの場合、非課税になる期間は最長5年間です。年間80万円×5年間で最大400万円まで非課税で投資ができます。
ただし、ジュニアNISAは2023年末での廃止が決定しており、今から新たに口座を開設しても、投資できる期間は5年未満になってしまいます。
制度廃止後は、名義人が20歳になるまで非課税で金融資産を保有し続けられるほか、18歳未満の払い出し制限が撤廃されます。