人生100年時代と言われて老後の時間が長くなるだろうとわかってはいても、まだ先のことで何も準備をしていない人もいることでしょう。雑誌やインターネットでiDeCoを知ったけれど、どんな制度でなぜ人生100年時代にピッタリな制度なのかわからないという声も聞きます。今回は、人生100年時代の武器になるiDeCoのメリット・デメリットについて解説します。

iDeCoの仕組み

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iDeCoは個人型確定拠出年金の愛称で、自分で積み立てる年金制度のことです。毎月決まった金額を60歳まで積み立て、70歳までの間に一時金や年金で受け取ることができます。希望者が加入できる制度であることと、積み立てた金額は自分の運用方針やリスクにあわせて金融商品を選んで運用することが公的年金とは違います。

掛け金は最低5,000円から1,000円単位で上限金額まで自分で決めることができ、1年に1度変更することが可能です。

加入区分

国民年金の加入区分により、自営業などの1号被保険者、会社員や公務員などの2号被保険者、専業主婦(主夫)などの3号被保険者ごとに加入区分が異なります。加入区分によって掛け金の上限が異なるため、会社員から自営業へ変わったり、専業主婦(主夫)から会社員へ変わったりした時は届出が必要になります。

加入対象

iDeCoに加入することができる人。

1号被保険者 20歳から60歳未満の人で、国民年金に加入している自営業やフリーランスなど
2号被保険者 60歳未満の厚生年金に加入している会社員や公務員など
3号被保険者 60歳未満の厚生年金に加入している人の被扶養配偶者など

しかし、2022年からは加入期間が拡大されて2号被保険者は65歳未満、1号被保険者と3号被保険者は、国民年金の任意加入の場合65歳未満まで延長されます。

加入できない人

年金の制度に加入していてもiDeCoに加入できない人もいます。障害年金を受けている人を除き、国民年金の保険料の免除や一部免除をされている人や、農業者年金に加入している人です。

会社員の場合は、勤務先に企業型の確定拠出年金制度がある人(規約でiDeCo加入を認めている場合を除く)やマッチング拠出をしている人などは加入することができません。

加入区分 加入できる人 加入できない人
1号被保険者 20歳から60歳未満の人で、
国民年金に加入している
自営業やフリーランスなど
国民年金の保険料の免除や
一部免除をされている人
農業者年金に加入している人
2号被保険者 60歳未満の厚生年金に
加入している会社員や公務員など
勤務先に企業型の確定拠出年金制度がある人
(規約でiDeCo加入を認めている場合を除く)
3号被保険者 60歳未満の厚生年金に
加入している人の被扶養配偶者など

拠出限度額

iDeCoでは毎月決まった金額を積み立てていきますが、加入区分によって掛け金の上限金額が異なります。1号被保険者の自営業やフリーランスの人は厚生年金のような2階建部分がないため、毎月6万8,000円までと比較的多く積み立てることができます。また、3号被保険者の人は毎月2万3,000円まで積み立てることができます。

2号被保険者の場合は、厚生年金だけでなく、勤務先の年金制度の有無や種類によっても変わります。勤務先に確定拠出年金企業型の制度がなく他の年金制度もない人は毎月2万3,000円までです。

また、勤務先に確定拠出年金企業型の制度がある人は2万円ですが、さらに、他の年金制度がある人は1万2,000円までになります。とくに、会社員は勤務先の年金制度に注意が必要です。

加入区分 対象になる人 月額 年間
1号被保険者 自営業・フリーランスなど 6万8,000円 81万6,000円
2号被保険者
(企業年金あり)
企業型確定拠出年金のみある人 2万円 24万円
企業型確定拠出年金以外ある人 1万2,000円 14万4,000円
2号被保険者
(企業年金なし)
企業年金制度のない人 2万3,000円 27万6,000円
2号被保険者 公務員 1万2,000円 14万4,000円
3号被保険者 専業主婦・専業主夫 2万3,000円 27万6,000円

iDeCoのメリット・デメリット

(画像提供:bbuilder/stock.adobe.com)

老後の自分年金制度のiDeCoにはたくさんのメリットがあります。

iDeCoのメリット

・掛け金が全額所得控除になる
毎月拠出する掛け金は、上限金額まで全額所得控除になります。たとえば2号被保険者の会社員で毎月上限金額が1万2,000円の人の場合、14万4,000円が所得控除となり、所得税と住民税が軽減されます。所得税は所得が多いほど税率が高いため、所得の高い人には大きなメリットになります。

・配当金、売却益などが非課税になる
iDeCoでは投資信託を選んで運用することができます。運用中に配当金を受け取ったり、売却したりしたときに税金がかかることはありません。また、定期預金の利息にも税金はかかりません。

・受け取るときにも税金の優遇がある
iDeCoで積み立てた資金を受け取ることができるのは、基本的には60歳を過ぎてからです。そのときは退職所得控除や公的年金等控除の対象となり税金の優遇制度があります。

  • 将来の受け取り金額が積み立てた金額よりも増えることがある
    投資信託など収益性のある商品で運用した場合には、運用が好調に行けば積み立てた金額よりも増える可能性があります。

iDeCoのデメリット

メリットの多いiDeCoですが、当然デメリットもあります。

・60歳まで引き出すことができない
老後の年金を作るための制度なので、60歳になるまでは引き出すことができません。しかし、加入期間中に、死亡した場合、障害状態になった場合などは60歳にならなくても受け取ることができます。

・途中で解約することができない
毎月の積み立てが厳しくなったからと言って簡単に解約することはできません。しかし、掛け金を最低金額の5,000円にすることや、掛け金を停止することもできます。掛け金を停止すると、「運用指図者」となり、運用だけを続けますが、積み立てはいつでも再開することができます。

・手数料がかかる
iDeCoでは、口座開設手数料、毎月振替にかかる手数料、口座の管理にかかる手数料、投資信託の信託報酬などの手数料がかかります。また、iDeCoの運営管理機関を変更するときや受け取るときにも手数料がかかる場合があります。

・元金の保証がない
iDeCoで運用できる商品の中には、定期預金や保険のように元金が保証されたものもあります。しかし、元金保証の商品で運用しても振替手数料が掛け金から差し引かれるため、実際の掛け金よりも積み立て金額は少なくなります。また、投資信託などの収益性のある商品の場合も将来の受け取り金額は運用次第になるため保証されていません。

メリット デメリット
掛け金が全額所得控除になる 60歳まで引き出すことができない
配当金、売却益などが非課税になる 途中で解約することができない
受け取るときにも税金の優遇がある 手数料がかかる
将来の受け取り金額が積み立てた金額よりも増えることがある 元金の保証がない