夫婦共働きでも、日本ではまだまだ家事や育児がすべて妻の役割になっているという家庭が多いのではないでしょうか。そのような場合、必ずしも妻の立場が夫よりも弱いという訳ではなく、「ワンオペ家事から抜け出したい!」と妻は思いつつも、なかなか解消法が見いだせないというのが実情のようです。そこで、ワンオペになりがちな家庭に見られる傾向の解説と、大変なワンオペ家事から抜け出す方法を紹介いたします。
1.ワンオペになりがちな家庭に見られる傾向
「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略語で、そもそも小さな飲食店などの店舗を一人で切り盛りしている状態を表すときによく使用する言葉です。「ワンオペ家事」とはそこから派生した言葉で、妻が家事や育児を夫の協力を得られずにすべて一人で切り盛りすることを示します。このようにワンオペ家事になってしまう家庭には、夫の行動にありがちなさまざまな問題が存在します。まずは、そのような家庭に見られる傾向を詳しく見ていきましょう。
夫の家事意識が低い
ワンオペ家事になりやすい家庭の特徴としてまず考えられるのは「男性の家事意識が低い」ということです。
そのような男性の傾向として「結婚するまで実家暮らしでいたため、家事などをすべて母親任せでいた人」や「脱いだ靴下をそのまま床に脱いだままで置くなど、家庭内で小さなことでも他人に任せる人」「料理や掃除、洗濯などを今まで一度もしたことがなく、そもそも自分でやろうとも思ったことのない人」などが挙げられます。
このような夫を持った場合、妻は夫と家事を分担するよりも自分でやってしまうほうが早くて確実だと判断するようになります。また、夫に協力してもらおうと頼んでも、やってくれるはずがないと諦めてしまっているかもしれません。そのため、家事意識の低い夫がいる家庭には、妻がワンオペ家事になっている傾向が多く見られます。
男は仕事という考えが強い
さらに、日本の男性にありがちな「男性は仕事、女性は家庭」という自分の父親世代と同じ価値観に縛られてしまっている人にも、妻がワンオペ家事になっている傾向があります。そのような男性は、一見してとても頼りがいがあるような男性に見えます。
しかし、「妻がどんなに多忙でも家事や育児は妻の役割であり、収入面で貢献するのが男の役割だから家事を手伝う必要はない」という考えに固着しています。そのため、妻は「手伝ってほしい」と伝えることもできず、夫へ家事を頼むことを諦めてしまっているケースも多いようです。
逆に夫の立場からすると「普段仕事で疲れきっているのだから家ではゆっくりと休みたい」という気持ちがあるのでしょう。「収入面では自分がしっかりと稼いでいるのだから、妻が家事や育児がそこまで大変なのであれば、無理して働かずに仕事を辞めて家に居ればいいのに」という考えが根底にあるのかもしれません。
妻が我慢してしまう
家事の能力が高く、責任感の強い女性の場合は、家事を協力しようという考えを全く持たない夫を説得するよりも「自分が我慢してしまったほうが楽かもしれない」と思い込む傾向にあるようです。
仮に夫と家事について話をする場があったとしても「家事分担の折り合いがつかないのではないか?」「口論したあげく、ケンカになってしまうのではないか?」などと不安になり、自分ですべてを背負ってしまったほうが家庭の幸せを保つことができると思ってしまうのです。
近くに頼れる人がいない
次にまた、近くに頼れる人がいないという環境もワンオペ家事になる原因の1つです。以前は両親や祖父母との同居が当たり前の時代がありましたが、昨今では都会を中心に、核家族という形態が普通になってきています。
そのため「近くに自分の親や兄弟姉妹が住んでいない」「夫にも頼ることができない」という八方塞がりの状態になり、どうすることもできずにただひたすら一人で我慢して家事や育児を続けなくてはならないという女性が増えてきています。
2.ワンオペが続くとどんな問題が起きる?
では、妻のワンオペ家事が長く続いている家庭では、どのような問題が起ってくるのでしょうか。起こりうる問題点について、次のようなことが考えられます。
夫婦仲に亀裂が入る
1つ目として「夫婦仲の関係が気まずくなること」が予想されます。その理由として、妻が家事や育児でオーバーフローを起こしているにもかかわらず夫が全く助けないという現状に妻が不公平を感じたり、不満をつのらせてしまったりするであろうと容易に想像できるからです。
さらに子どものいる前での口論や、ケンカなどが日常になり、その果てには同じ家にいながら必要最低限の会話しかしない冷戦状態の夫婦に発展する可能性も見えてきます。
妻が倒れる
2つ目は妻が仕事や家事、育児をすべて一人で長期間続けていれば「過労で倒れる」という可能性も考えられます。
家事や育児は想像以上に時間がかかります。その結果として、十分な睡眠時間が取れなかったり、しっかりと休息時間を確保することができなかったりすることで疲れがピークとなり、体調不良を起こすこともあります。