長引く新型コロナウイルスの影響で、「生活が苦しい」「事業が成り立たない」「仕事がない」など厳しい状況にいる方も少なくありません。そのような方をサポートするため、国や自治体などが数々の支援策を打ち出しています。ここでは、申請すればもらえるかもしれない「給付金」「助成金」「補助金」をご紹介します。
事業者(企業、個人事業主)がもらえる給付金
事業者向けの支援策は数が多く、もらえる金額が大きいものもあるので、しっかりチェックしておきましょう。
事業継続
・持続化給付金……事業全般に広く使えるお金がもらえます。
対象者:前年同月比で事業収入が50%以上減少した月がある事業主
給付額:中小企業なら最大200万円、フリーランス含め個人事業主なら最大100万円
申請先:持続化給付金の申請用ホームページから電子申請
(難しい場合は全国各地の申請サポート会場で入力サポートを受けられる)
・家賃支援給付金……2020年7月14日に申請受付開始。家賃の負担が苦しいときに役立ちます。
対象者:賃料の支払いがあり、一定の売上減少条件を満たした小規模事業者
給付額:中小企業なら最大600万円、個人事業者なら最大300万円
申請先:詳細は準備中(2020年7月10日現在)。問い合わせは専用ダイヤル0120-653-930。
・雇用調整助成金……以前からある制度ですが、新型コロナの特例措置が追加されています。
対象者:休業を実施かつ事業規模が縮小した事業主
助成額:雇用を維持した中小企業主には休業手当の全額を助成(上限:1人1日1万5,000円)
申請先:都道府県労働局またはハローワーク
職場環境などの改善
・持続化補助金……持続化給付金と名前が似ていますが、別の制度です。
対象者:販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者
補助額:最大150万円(ナイトクラブやライブハウスなどは最大200万円)
申請先:最寄りの商工会議所
・働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
対象者:新型コロナ対応でテレワークを導入した中小企業
助成額:テレワーク導入にかかった費用の1/2(最大100万円)
申請先:テレワーク相談センター
併せて、IT導入補助金も要チェックです。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金) 特別枠
対象者:製品供給継続、非対面型ビジネスへの転換、テレワーク環境の整備のための設備投資や商品開発に経費の1/6以上を使った事業者
補助額:かかった費用の2/3~3/4
申請先:ものづくり補助金総合サイトから電子申請
業種別の支援策
イベント中止や外出自粛の影響を受ける業界を中心に多数あります。以下はその一部です。
・文化芸術関係者に対する継続支援事業
対象者:音楽、演劇、美術などの実演家や技術スタッフなどのフリーランス
給付額:最大150万円
申請先:文化庁(2020年7月10日より電子申請スタート予定)
・農林漁業者 経営継続補助金
対象者:販路の開拓や回復などに取り組む農業、林業、漁業の事業者
補助額:最大100万円
申請先:農協、森林組合、漁協など
子育て
・小学校などの休校によって働けないとき
企業:小学校などの臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援助成金(1日あたりの上限:1人1万5,000円)
フリーランス:新型コロナウイルス感染症による学校休業等対応支援金(1日あたりの上限:7,500円)
小学校や保育園が休みでも仕事を休めないときは、「ベビーシッター利用者支援事業の特例措置」というベビーシッター料金の割引券がもらえる制度もあります。
個人がもらえる給付金
全員一律で10万円が支給された「特別定額給付金」以外にもありますよ。
子育て・学費支援
・学生支援緊急給付金
新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入が減少し、学費を払うことが難しくなった学生に対し、10万円(住民税非課税世帯の学生は20万円)を支給する制度です。
・高等教育修学支援新制度
もともと収入が低い家庭だけでなく、新型コロナなどで「家計が急変」した家庭も対象になります。一定の条件を満たせば、高校や大学の授業料減免や返済不要の奨学金の支給を受けられます。
・ひとり親世帯臨時特別給付金
児童扶養手当を受給しているひとり親家庭などを対象に、1世帯5万円、第2子以降1人あたり3万円が支給されます。収入の減少度によっては、さらに5万円が追加されます。この給付金は、申請不要です。
これとは別に、児童手当を受給している世帯への1万円上乗せ支給(子育て世帯への臨時特別給付金)も受けられます。
会社を休んだら
・休業手当
感染防止のための対応など会社の都合で休業することになった場合、会社側は給料の約6割の休業手当を支払うこととされています。
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
会社の指示で休業したものの、休業手当を受け取れなかった労働者への救済措置です。1日あたり最大1万1,000円を受け取れます。
・休業給付、傷病手当金
新型コロナウイルスに感染して会社を休むことになった場合も、給付が受けられます。職場がクラスターになるなど仕事が原因なら労災の休業給付(給料の約8割)、仕事以外の場所での感染なら傷病手当金(給料の約2/3)です。
仕事を失ったら
・基本手当
失業保険や失業手当と呼ばれているものです。新型コロナウイルスなどによって業績が悪化し解雇されたなど会社の都合で失業した場合は、自己都合による退職よりも早く受け取れ、受け取れる期間も長くなります。金額は年齢や月収によりますが、1日あたりの上限は8,330円です。
・ハローワークの就職活動支援関連(就職促進給付)
就職のために引越しをしたときの「移転費」、遠隔地まで面接に行ったときの「広域求職活動費」、就職のための教育訓練を受けるときの「短期訓練受講費」、就職活動のために子の保育サービスなどを利用したときの「求職活動関係役務利用費」などの支給が受けられます。
・再就職手当
基本手当の受給期間中に就職先が見つかった場合、申請すれば残り期間に応じて基本手当の60~70%分の「再就職手当」が支給されます。
・未払賃金立替払制度
新型コロナウイルスの影響で会社が倒産し、給料が受け取れないままになっている方が対象です。未払い賃金の8割を、会社に代わって国が支払ってくれます。
家賃の支払いが厳しいとき
・住居確保給付金
家賃の支払いが滞るなど住居を失う可能性がある方を対象に、最長9ヵ月にわたって家賃相当分を支給する制度です。
・生活困窮者自立支援制度・生活保護
生活が苦しい方が最低限の暮らしができるよう一定の金額を支給するのが生活保護ですが、そこまで行く前の段階で生活困窮者自立支援制度の対象になります。状況に応じて衣食住の提供、家計相談、就業訓練、子どもの学習支援などが無料で受けられます。
自治体独自の取り組みも要チェック
国だけではなく、市町村や都道府県でも独自の支援策を用意しています。
・新宿区
歌舞伎町がある新宿区では、新型コロナウイルス感染者に見舞金10万円を支給しています。ちなみに、新型コロナウイルスに感染してしまった場合の治療費や入院費は全額公費で支払われるため、自己負担はありません。
・品川区
「しながわ活力応援給付金」として、区民全員に1人3万円(中学生以下は5万円)を支給します。
・北海道
旅行需要の落ち込みを回復させるため、北海道民限定で旅行費用がお得になる「どうみん割」が実施されます。
自治体の求めに応じてお店を休んだ事業者に、「休業協力金」を支給する市町村も多数あります。金額や条件は自治体によって違います。自分の住んでいる地域の情報をチェックしてみましょう。
その他の団体や民間企業が行っている支援策
政府のように直接お金を給付するのではなく、無料で相談サービスや自社商品を提供している団体や企業があります。
・NPOなど
売り先がなくなって余った食べ物を困っている人に支給する「フードバンク」のほか、生活困窮者支援のNPOでは、新型コロナウイルスで困っている人に、食べ物だけでなく住むところや仕事も提供しているケースも。
・民間企業
民間企業ではコワーキングスペースの提供、自宅学習ツールの利用、動画視聴や雑誌閲覧などを無料で提供しているところがあります。「VS COVID-19 #民間支援情報ナビ」というサイトで簡単に検索できますよ。
支援策をうまく使って危機を切り抜けよう
新型コロナウイルス関連の救済措置は、ここでご紹介したもの以外にもたくさんあります。各種支払いの免除や無金利の貸付なども数多くあり、影響が長引くにつれて、どんどん新しい制度が増えていっている状況です。
「もうだめだ……」とあきらめてしまわずに、自分が活用できそうな支援策がないかよく調べてみましょう。市区町村役場などに問い合わせて教えてもらうこともできますよ。終わりが見えず辛い状況ですが、何とか踏ん張って切り抜けたいですね。
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
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