人生の3大費用の1つと言われている住宅購入費。独立行政法人住宅金融支援機構の「2019年度フラット35利用者調査」によれば、住宅の平均購入価格は建売住宅で約3,494万円、マンションで約4,521万円となっています。できることならその負担を少しでも軽くしたいところ。実はその負担を軽減するために用意されているさまざまな制度があります。どのようなものがあるか確認していきましょう。
「すまい給付金」は消費税増税負担を軽減するための制度
国土交通省が実施する「すまい給付金」は、2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられた際に、増税による住宅購入の負担を軽減するために導入された制度です。2019年10月、消費税はさらに10%に引き上げられたことで、この制度の実施期間は2021年12月までに引き渡され入居が完了した住宅までが対象となっています。
なお、消費税が8%のときと10%のときとでは対象者の収入要件などに違いがあります。ここでは、すまい給付金の申請期限が住宅取得から原則1年のため、現時点で対象となる消費税10%の場合を前提とします。
すまい給付金の対象者とは
給付金の対象者はおもに以下の2つに該当する人です。
- 住宅を取得し不動産登記上の持ち分を有し、その住宅に自ら住んでいる
- 収入が一定以下(収入額の目安は775万円以下)
(住宅ローンを利用しない人の場合のみ、年齢が50歳以上で収入額の目安が650万円以下という要件があります)
すまい給付金の対象となる住宅とは
購入住宅のおもな要件は以下の3つです。なお、新築か中古か、住宅ローンを利用するか利用しないかで細かいところで要件に違いがありますので注意が必要です。
- 消費税が適用される住宅(たとえば売主が個人による自宅の売却には消費税がかかりません)
- 床面積が50平方メートル以上
- 第三者機関の検査を受け一定の品質が確認されている(例:住宅瑕疵担保責任保険加入住宅など)
すまい給付金ではいくらもらえるのでしょう
給付額は以下の計算式で求められます。
給付基礎額は実際には都道府県民税の所得割額によって決定しますが、ここでは収入額を目安として給付基礎額がいくらになるのか以下を参考にしてください。
給付基礎額 | 【参考】収入額の目安 |
---|---|
50万円 | 450万円以下 |
40万円 | 450万円超525万円以下 |
30万円 | 525万円超600万円以下 |
20万円 | 600万円超675万円以下 |
10万円 | 675万円超775万円以下 |
参考の収入額の目安は、夫婦(妻は収入なし)で中学生以下の子どもが2人のモデル世帯のものです。また上記表は住宅ローン利用者の場合です(たとえば、このモデル世帯で夫の収入が450万円以下で夫の持分割合100%の住宅の場合、給付額は50万円となります)。住宅ローンを利用しない場合は異なりますので注意してください。
「地域型住宅グリーン化事業」は長期優良住宅などの木造住宅を対象にした制度
地域型住宅グリーン化事業は、長期優良住宅などの木造住宅を新築もしくは購入する場合などに国土交通省が補助金を出す制度です。また名前に「地域型」とあるように、地域における中小工務店等が連携して木造住宅生産体制を強化し、地域経済の活性化などを図るといった狙いもあります。
この事業は年度ごとに事業計画がされているため、事業内容については当該年度の事業内容が発表されるまでは前年度と同じ内容か、また実際に事業が実施されるかどうかはわかりません。
なお、この事業は木造建築物(非住宅)も対象としますが、ここでは2020年度の木造住宅に対する補助内容について確認していきます。
地域型住宅グリーン化事業の対象者とは
この事業での補助金の対象となる人はおもに以下の3つのいずれかに該当する人です。
- 木造住宅を新築する
- 新築の木造住宅を購入する
- 所定の省エネ基準を満たす住宅に改修する
地域型住宅グリーン化事業の対象となる住宅とは
この事業の対象となる木造住宅は以下の4つの種類となります。
- 長期寿命型(新築の長期優良住宅)
- 高度省エネ型(新築の認定低炭素住宅及び性能向上計画認定住宅)
- ゼロ・エネルギー住宅型(新築および改修となるゼロ・エネルギー住宅)
- 省エネ改修型(省エネ基準(既存)を満たす住宅への改修)
ここで注意が必要なのは、この事業で補助を受けられる住宅は、あらかじめ国の採択を受けた事業者グループが供給する住宅でなければならないということです。
依頼する中小工務店等が地域型住宅グリーン化事業の採択を受けた事業者グループに属しているか確認が必要です。また、上記4つの種類のいずれかに該当する住宅であるかの確認も必要となります。
地域型住宅グリーン化事業ではいくらもらえるのでしょう
対象となる木造住宅の種類ごとに以下の補助上限額が決まっています。
長期寿命型※ | 高度省エネ型※ | ゼロ・エネルギー住宅型※ | 省エネ改修型 |
---|---|---|---|
110万円 | 110万円 | 140万円 | 50万円 |
※長期寿命型、高度省エネ型、ゼロ・エネルギー住宅型については、次のような補助金加算や補助上限額などがあります。
- 20万円(上限)加算:主要構造材(柱・梁・桁・土台)の過半に「地域材」を使用する場合
- 30万円(上限)加算:キッチン、浴室、トイレ又は玄関のうちいずれか2つ以上を設置する場合
- 施工事業者の施工経験によって、補助上限額が異なる場合があります。